震災の影響もあって、久しぶりに映画館に行く。
浦和のパルコ上にあるユナイテッドシネマ浦和に行く。
例によって会社帰りに寄るが、
節電志向により映画館が夕方以降の上映に
限定しているからなのか結構な混み様。。。
どうやら岡田君の「SP」が目当てのようで若い男女が多い。
相変わらず綺麗な映画館だ。
館内の席のレイアウトが横に長いが、スクリーンから程よく離れており、
端っこにいても角度があまり気にならない。とてもよいな。
アカデミー賞が終わり、早1ヶ月。
賞レースを賑わせ、個人的にも気になる作品が、今月から5月にかけて、
ようやく日本でも順次公開される。
「トゥルー・グリッド」「ザ・ファイター」「キッズ・オールライト」
「ビューティフル」「ブルーバレンタイン」「ブラックスワン」「127時間」・・・
どれも面白そうだ。
その中で、コーエン兄弟の西部劇「トゥルー・グリッド」を観る。
本作は1969年に製作された「勇気ある追跡」という映画のリメイクらしく、
ベースの作品があるからだろうか、コーエン兄弟には珍しく直球の西部劇に挑んだ印象だ。
普通によかった。感動した。
完成度の高い西部劇でありながらもコーエン節が、ほどよく効いているし。
本作は、父親を殺した犯人を14歳の少女が2人のオヤジを連れて追走するロードムービーだ。
冒頭、大人になった主人公の少女(おばさん)が、
過去のその出来事を振り返るところから物語が始まる。
昔のリメイクということで、当初、私は、父を殺された哀れな14歳の少女に同情し、
2人のオヤジが「可愛い少女のために俺ガンバル!」的な
ベタな話を予想していたが、嬉しいことにその予想は外れる。
少女が犯人を追うために、一緒に犯人を探してくれ!と依頼をするが、
2人のオヤジが少女と旅をともにするきっかけは、
犯人を捕まえることで得られる報酬が目的であったり、
少女の話術に根負けした結果であったりと、意外とドライだ。
しかし観終わってから振り返ると、
それは旅を通して育まれる3人の性別年齢を超えた不思議な友情と、
物語のクライマックスに、一層の感動を覚えさせる布石のようにも思えた。
コーエン兄弟の前々作「ノーカントリー」同様、
素晴らしいキャスティングであったことも印象に残る。
ジョシュやバリーの使い方はちょっと贅沢過ぎと思うが。
殺された父の仇討ちに燃える14歳の少女「マティ」演じるヘイリー・スタインフェルド。
凄腕といわれているが、大酒飲みで曲者老齢保安官「ルースター」を演じるジェフ・ブリッジス。
プライドの高いテキサスレンジャー「ラビーフ」を演じるマット・デイモン。
本作で際立つのは前評判どおり、やはり「マティ」演じるヘイリー・スタインフェルド。
決して可愛いとは言い切れない、田舎っぽい顔立ち。
しかし「マティ」という、責任感が人一倍強く、14才でありながら、
父亡き後、家族を必死に守ろうとする強い信念と、大人に負けない強靭な精神力、
純粋さ、正直さ、優しさを併せ持つ魅力的なキャラクターを見事に体現。
本作の見所は彼女のパフォーマンスといっても過言ではないだろう。
だけど、このテの固まったキャラで脚光を浴びた人って、他の映画であんま成功しないんだよな。
彼女も残念ながらそんな気がする。「プレシャス」のガボレイみたいに。。。
ジェフ・ブリッジスは当然ながら巧い。
マット・デイモン。本作で改めて彼を想う。
アクション映画で主役を張れるようなスター性を持ちながらも、
「インビクタス」や本作のように脇役として映画のアクセントとなる
キャラクターを演じるのが本当にうまい。キャラごとのオーラがまるで違う。
彼の出演作がこれまでもこれからも多いのは、そういう点が監督たちに好かれるからだろう。
ニール・ブロンカンプ監督の新作「エリュシオン」(2013年の最注目作品)にも出演するし!
本作のキャストのパフォーマンスは、
アドリブを許さないほど完璧主義なコーエン兄弟の演出によるところも大きい。
序盤シーン、殺された父を前に、葬儀屋から「お父さんにキスするか?」と気遣われても、
「魂の抜け殻にもしても仕方ない」と哀しい顔もせず気丈に一蹴するマティ(ヘイリー)。
そのあと、父の遺品の中から拳銃を見つけ、触れたとたん、マティの瞳に涙が微かに滲む。。。
うまいな~~。グッときてしまう。
コーエン兄弟の、いつもの生々しさも健在だ。
ワシが死肉をついばむシーンの肉を引きちぎってる感。
至近距離での突然の殺人、指が吹っ飛ぶ感じ。
馬をいじめる子どもを容赦なくコバーンが蹴りつけるシーン。
馬がかけがえのない相棒だった時代を印象づける必要なシーンだが、
その子どもに対する暴力、リアルさに思わず顔を引きつった。
また西部劇の魅力を余すところなく、映像で見せる。
地平線まで広がる荒野、馬の美しさ。。。
3人の旅が終わり、冒頭の、おばさんになったマティのシーンに戻る。
その後日譚も感動的で、私にとって忘れがたい映画となった。
【85点】
浦和のパルコ上にあるユナイテッドシネマ浦和に行く。
例によって会社帰りに寄るが、
節電志向により映画館が夕方以降の上映に
限定しているからなのか結構な混み様。。。
どうやら岡田君の「SP」が目当てのようで若い男女が多い。
相変わらず綺麗な映画館だ。
館内の席のレイアウトが横に長いが、スクリーンから程よく離れており、
端っこにいても角度があまり気にならない。とてもよいな。
アカデミー賞が終わり、早1ヶ月。
賞レースを賑わせ、個人的にも気になる作品が、今月から5月にかけて、
ようやく日本でも順次公開される。
「トゥルー・グリッド」「ザ・ファイター」「キッズ・オールライト」
「ビューティフル」「ブルーバレンタイン」「ブラックスワン」「127時間」・・・
どれも面白そうだ。
その中で、コーエン兄弟の西部劇「トゥルー・グリッド」を観る。
本作は1969年に製作された「勇気ある追跡」という映画のリメイクらしく、
ベースの作品があるからだろうか、コーエン兄弟には珍しく直球の西部劇に挑んだ印象だ。
普通によかった。感動した。
完成度の高い西部劇でありながらもコーエン節が、ほどよく効いているし。
本作は、父親を殺した犯人を14歳の少女が2人のオヤジを連れて追走するロードムービーだ。
冒頭、大人になった主人公の少女(おばさん)が、
過去のその出来事を振り返るところから物語が始まる。
昔のリメイクということで、当初、私は、父を殺された哀れな14歳の少女に同情し、
2人のオヤジが「可愛い少女のために俺ガンバル!」的な
ベタな話を予想していたが、嬉しいことにその予想は外れる。
少女が犯人を追うために、一緒に犯人を探してくれ!と依頼をするが、
2人のオヤジが少女と旅をともにするきっかけは、
犯人を捕まえることで得られる報酬が目的であったり、
少女の話術に根負けした結果であったりと、意外とドライだ。
しかし観終わってから振り返ると、
それは旅を通して育まれる3人の性別年齢を超えた不思議な友情と、
物語のクライマックスに、一層の感動を覚えさせる布石のようにも思えた。
コーエン兄弟の前々作「ノーカントリー」同様、
素晴らしいキャスティングであったことも印象に残る。
ジョシュやバリーの使い方はちょっと贅沢過ぎと思うが。
殺された父の仇討ちに燃える14歳の少女「マティ」演じるヘイリー・スタインフェルド。
凄腕といわれているが、大酒飲みで曲者老齢保安官「ルースター」を演じるジェフ・ブリッジス。
プライドの高いテキサスレンジャー「ラビーフ」を演じるマット・デイモン。
本作で際立つのは前評判どおり、やはり「マティ」演じるヘイリー・スタインフェルド。
決して可愛いとは言い切れない、田舎っぽい顔立ち。
しかし「マティ」という、責任感が人一倍強く、14才でありながら、
父亡き後、家族を必死に守ろうとする強い信念と、大人に負けない強靭な精神力、
純粋さ、正直さ、優しさを併せ持つ魅力的なキャラクターを見事に体現。
本作の見所は彼女のパフォーマンスといっても過言ではないだろう。
だけど、このテの固まったキャラで脚光を浴びた人って、他の映画であんま成功しないんだよな。
彼女も残念ながらそんな気がする。「プレシャス」のガボレイみたいに。。。
ジェフ・ブリッジスは当然ながら巧い。
マット・デイモン。本作で改めて彼を想う。
アクション映画で主役を張れるようなスター性を持ちながらも、
「インビクタス」や本作のように脇役として映画のアクセントとなる
キャラクターを演じるのが本当にうまい。キャラごとのオーラがまるで違う。
彼の出演作がこれまでもこれからも多いのは、そういう点が監督たちに好かれるからだろう。
ニール・ブロンカンプ監督の新作「エリュシオン」(2013年の最注目作品)にも出演するし!
本作のキャストのパフォーマンスは、
アドリブを許さないほど完璧主義なコーエン兄弟の演出によるところも大きい。
序盤シーン、殺された父を前に、葬儀屋から「お父さんにキスするか?」と気遣われても、
「魂の抜け殻にもしても仕方ない」と哀しい顔もせず気丈に一蹴するマティ(ヘイリー)。
そのあと、父の遺品の中から拳銃を見つけ、触れたとたん、マティの瞳に涙が微かに滲む。。。
うまいな~~。グッときてしまう。
コーエン兄弟の、いつもの生々しさも健在だ。
ワシが死肉をついばむシーンの肉を引きちぎってる感。
至近距離での突然の殺人、指が吹っ飛ぶ感じ。
馬をいじめる子どもを容赦なくコバーンが蹴りつけるシーン。
馬がかけがえのない相棒だった時代を印象づける必要なシーンだが、
その子どもに対する暴力、リアルさに思わず顔を引きつった。
また西部劇の魅力を余すところなく、映像で見せる。
地平線まで広がる荒野、馬の美しさ。。。
3人の旅が終わり、冒頭の、おばさんになったマティのシーンに戻る。
その後日譚も感動的で、私にとって忘れがたい映画となった。
【85点】
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