新作DVDレンタルにて。
イギリスのサッチャー政権下にあった炭鉱ストライキ中に、その労働者を支援しようと立ちあがったLGSMの若者たちと、炭鉱田舎町の住人たちとの交流を描く。
嘘みたいな実話だ。オープンで前進的な同性愛者たちと、保守的でマッチョな労働者階級の人たちは、一見交わることのない水と油だ。その2つが手を取り合い友情を育み、さらには社会を動かす大きなムーブメントを起こしていた。。。新たな歴史の始まりはいつでも抵抗する人間たちの団結によって生み出されてきたことを実感するが、本作で描かれる史実の前段には異なる価値観をもった人間同士の繋がりがある。「共通の敵を持つ者は見方同士」というLGSMの動機は理解しやすく、彼らが起こした活動はとても勇気あるものであるが、それ以上に印象的だったのは、彼らの善意を偏見なく素直に受容しようとする炭鉱の人たちだ。しかも、その理解の先頭にいたのが年の離れたおじちゃんおばちゃんたちだ。「君たちは友情をくれた」の思わぬ名演説が素敵。同性愛者たちと労働者たちの間にあった壁が取り払われる過程が時に可笑しく、時に感動的である。おばちゃんたちのゲイワールド探訪シーンは少々やり過ぎだが、異なる人種間の理解と絆の形成は、観る者に活力を与えてくれる。欲をいえば、同性愛者の偏見派に、もう少しスマートなキャラクターを配したほうが感動もひとしおだったかもしれない。イメルダ・スタウントンとビル・ナイ演じる中年男女が、もくもくとサンドイッチを作りながら、知られざる真実を吐露するシーンが温かくて好きだ。
【70点】
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