再現度の高さと、漫画では表現しにくいアクションの実写化が見事。原作ファンという知人が大絶賛していたので見ることにしたが、”仕上がっている”という表現がしっくりくる。実写にCGを組み合わせる視覚効果も、とても自然に映り、日本映画らしからぬスケールだ。
原作は、以前に「アメトーク」で取り上げられてから、8巻まで読んだ程度。なので、本作のあらすじは把握していた。完全にすべての展開を記憶しているわけではないが、ほぼ、原作通りだったと思う。言い換えると、原作で描かれなかった以上の展開はなかった印象。それに気づき集中力が切れて、「山の神」の説得シーンで一旦寝落ちしてしまった。
原作ファンは満足できる映画と思うし、原作を知らない人には新鮮に映り大いに楽しめる映画だろう。
ただ、原作を知っているが、ファンではない自分にとっては、やや退屈だった。
8巻目で原作を離脱したのは、主人公の「信」に魅力が感じられなかったからだ。平たくいえば”根性”で、戦闘力が上がるシステムが理解できず、信の活躍についていけない。言動の熱量もそうだ。映画では「夢があるから~」としているが、それでも苦しい。実写でそのまま演じると空回りしてしまう役柄を、山崎賢人は巧く人間味を交えて演じている。大健闘だ。
人気が出る漫画の必須条件として上げられるのは、魅力ある脇役の存在だろう。キングダムの場合は、政や王騎あたり。本作では、良くも悪くも完全に主役を喰ってしまっている。山崎賢人にはかなり酷だ。政を演じる吉沢亮の仕上がりったらない。2役の使い分けもしかり、政のカリスマ性をどこまでも磨きぬいている。終盤の大詰め、激闘の最中、味方を鼓舞するシーンは原作を超えた迫力があった。そして、王騎を演じた大沢たかお。本作を見た動機として、彼の久々の映画出演も大きかった。おそらく最も演じるのが難しいキャラクターで、普通に人間がやるとコメディになるリスクのほうが大きい。それを大沢たかおが演じると、これ以上ない正解になる。彼のファンとしては、もっと他の映画に出演してほしいのだが。
配役がハマり、アクションも素晴らしい。映画も30~40億くらいの大ヒットになりそう。続編も必ず作られるだろう。
最後にエンドロールの「筋肉紳士集団」が気になったので、調べてみた。こんな組織があったのか。。。
【65点】
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