今年1番楽しみにしていた映画だったが、その高過ぎる期待値を軽々と越えてきた。
もう感無量だ。
圧巻のオープニングからラストまで、色彩と音楽の洪水にのまれる。至高のミュージカル映画であり、夢追い人への賛歌。エモーショナルなミュージカルとダンスシーンに高揚して涙腺が緩む。目撃するのは映画の力だ。
本作の魅力を上げたらキリがないが、映画は総合芸術という言葉を改めて噛みしめる。撮影、照明、音楽、振付、衣装、美術、脚本、編集、演出、演技、映画を形作るあらゆる要素が、持てる技量の到達点にあるかのよう。本作は奇跡の詰め合わせか。次々と現れる、ホンモノの美しさをフィルムに焼き付けたシーンに何度も魅了される。
「情熱は人の心を動かす」という劇中のセリフは、本作にそっくり当てはまる。その情熱の発信源は監督のデミアン・チャゼルに違いない。本作を生み出してくれたことに感謝。前作の「セッション」といい、本作といい、もうあなたの虜です(笑)。
映画は人生の「選択」というテーマにまで踏み込んでおり、これが全くの想定外だった。ミュージカルの悦楽に溺れるだけでなく、軸としてブレない人間ドラマが本作をもう一段階、上のレベルに引き上げた。
劇中のほぼすべて、主演の2人の物語に集約される。夢追い人を体現した、ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンがスクリーンで輝き続ける。それは「銀幕スター」という久しく使われなくなった表現が似合うほど、強力な引力を持っていた。2人があまりにも素敵であり、見とれてしまう自分がいた。エマ・ストーンってこんなに魅力的だったっけ!?
最高に切なく、最高に幸福なラスト。そこで2人が交わす微笑みが、今思い返しても胸に迫ってくる。
フィルム撮影ならではのムラが見える質感と、エンディングの「メイド・イン・ハリウッド」のクレジットにチャゼル監督の想いが透ける。ハリウッド映画は、今までもこれからも観客に夢を見させてくれるのだ。
【100点】
何故か帰り道の景色まで華やかに輝きをはなってました。
映画っていいですね。
すごいわかります、その感じ(笑)。映画には見る人の世界を変えるマジカルな力があって、まさに「ラ・ラ・ランド」はその象徴的な映画だったと思います。映画万歳って感じですね。