久々にMCUらしいスペクタクルなアクション劇。変更を余儀なくされた脚本とは思えないほど、描くべきテーマが明確で、迷いなく映画化されたのが凄い。C・ボーズマンの逝去はとても残念なことだったけれどもに、彼自身にも前作にもそれほど思い入れのない自分には、スクリーンと観客の熱気から伝わる追悼の想いはやや場違いな感じもした(オープニングで鼻をすする音がこだます)。一方、劇中ではティ・チャラ(ボーズマン)の映像を多用することなく、観客の記憶の中にある彼の残像に留める演出は監督クーグラーのなせる技と感心した。
個人的に見どころにしていたのは水中族との戦いである。アフリカ系のワカンダとラテン系のタロカンという対立構図が新鮮。「アクアマン」と被る世界観だが、水中族の衣装、メイクが非常に楽しく、がっつり水圧を感じる海中世界もなかなかユニーク。水なのに爆弾って大胆なフィクションだ。
希少鉱物を巡り、対立していく2つの部族だが、正直、その喧嘩を吹っ掛けたのはワガンダ側であり、その無意味さも含めて描こうとしていたのかもだけど、どうにも気持ちが入らない。「空飛ぶハルク」こと、ネイモアが普通にカッコよくて、ティチャラの後継者であるシュリの成長譚はあまり入ってこなかった。3時間という長尺はやや長く感じ、アクション映画としては存分に楽しめた。
あとから知ったことだけど、MCUのフェーズ4は本作でラストだという。「え?フェーズ4ってあったんだ」というぐらい、まだ「エンドゲーム」からのロスから抜け切れておらず、いまだに本流のスピンオフを見ている感覚が抜けない。この調子で、かつての興奮を味わうことができるのだろうか。
【65点】
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