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ヒトラー暗殺、13分の誤算 【感想】

2016-05-15 12:00:00 | 映画


新作DVDレンタルにて。
第二次世界大戦中、ヒトラー暗殺未遂事件を起こしたゲオルク・エルザーを描く。胸を打つ重厚な人間ドラマ。
ユダヤ人ではなく、ドイツ人であった男がどうしてヒトラー殺しを計画したのか。そして平凡な家具職人であった男が、単独犯で70名近い死傷者を出す爆破テロをどのように起こしたのか。。。事件発生を起点として過去に遡り、そのいきさつが明らかになっていく
ヒトラーを「神」と崇めるナチスの台頭は、対立党派との摩擦に始まり、独裁による武力の制圧によってドイツ国内に迎合とさらなる反発を生み出していたという事実を再認識。ゲオルクはドイツ国民としてその自由と希望をもたらすためにナチスの最高司令官を暗殺しなければならないと決断する。ゲシュタボを目の前にしても「ヒトラーは有害物」と言い切るゲオルクの強さに圧倒される。本作ではそのターゲットであったヒトラーの姿はほとんど映されず、ゲオルク逮捕後の取り調べの様子からヒトラー像が見えてくるというのがユニークだ。国内外に多くの敵を作っていたことはヒトラーは自覚していたはずで、強い強迫観念を持っていたことは有名だ。逮捕後すぐの銃殺刑を望んでいたゲオルクに対して、自白と共犯者を執拗に吐かせようとする。その拷問描写が生々しく痛ましい。暗殺に関わった不安分子を根絶やしにしたいというヒトラーの執念だ。そうしてヒトラーという悪は生き抜いてきた。
個人の勇気によってもたらされたという点がこの事件の最大の意義と思える。そこには青年の友情や恋愛など普遍的な人生があって、その人生を謳歌していたからこそ、ナチスの脅威をいち早く察知できていたのだと想像する。但し、事件によって命を奪われたのは罪のない人間たちという側面もあって、彼は100%英雄視される存在ではない。映画はその事実に対してもきちんと向き合っていて、主人公の贖罪の想いが丁寧に描かれている。ゲオルク演じたクリスティアン・フリーデルの熱演も素晴らしかった。
【70点】

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