
Netflixの海外ドラマ「デッド・トゥ・ミー」のシーズン1を見終わったので感想を残す。
最近、イマイチ興味を惹かれるNetflixドラマがなく、見始めても途中で離脱するシリーズが多いなか、久しぶりに最後まで見た。
各30分×全10話。
愛する夫をひき逃げによって殺された女性が、ひき逃げ犯を探すために奔走するという話。
犯人捜しのミステリーではなく、少し狂った人たちを描いたコメディというべきか。Wikiによると「ダークコメディ」とされている。
ひき逃げした犯人は主人公と同世代の女性で、もう1人の主人公として登場。夫を殺された女性は「ジェン」、その夫を殺した女性は「ジュディ」という。この2人が織りなすドラマが描かれる。
ひき逃げされた事実は明らかだが、その犯人に繋がる証拠が見つからず、警察による捜査は完全に手詰まりな状態。悲しみと怒りに震えるジェンは、車体にキズがついた車を写真にとっては、犯人につながる手がかりを見つける毎日を送っている。ヒステリックなおばさんという印象が強く、乱暴な運転をして悪態をつかれた車を見つけるなり、躊躇なく、破壊行為に及ぶ。
一方、ジュディは、自分が殺した男の奥さんと知って、ジェンに近づく。アメリカでよく描かれるグループセラピーで偶然知り合ったテイで、同じ痛みを持った者同士、仲良くしましょ、といった具合である。老人介護施設で働く彼女は、一見柔和でノーマルな人に見えるけれど、ジュディがジェンに近づいた理由は、彼女の悲しみを和らげる手伝いをする、ある種の罪滅ぼしのようなもの。「いやいや、あんたがその悲しみの元凶だから」というツッコミも届かず、ジュディはジェンと友情関係を築こうとする。
要は、2人ともヤバイ人。
2人が抱える、大切な人を失った痛みはしっかり響くものの、ちょっとネジのハズれた2人の個性に、共感とは遠いところで物語が進行。その後、2人は同居するまでの親友関係に発展し、その距離が近づけば近づくほど、ジュディの正体がジェンに知られるスリルが膨らんでいく。共犯であるジュディの元夫や、ジュディの新たな恋人になる刑事、そして知られざる夫の秘密などが絡んでいき、2人の関係性に変化をもたらしていく。
夫婦の関係や、子どもとの関係など、普遍的な家族の在り方に言及するなど、脚本は良くできているけれど、感情移入ができないばかりか、どのキャラクターにも魅力を感じない影響が大きく、海外ドラマ特有の引力は乏しい。
ジェンとジュディを演じる2人は、自身も理解できないであろうキャラクターを良く演じている。特に、ジュディ演じるリンダ・カーデリーニは無自覚で残酷なズルさを、良心の顔にカモフラージュしていて巧い。最近だと「グリーンブック」や「エンドゲーム」にも出ていたっけ。「ER」の頃が懐かしい。
30分という短尺なので見やすいのだが、10話というエピソードの数で見せるにはややイベント不足。最終話の結末を見る限り、シーズン2に続くと思われる。シーズン1同様、”犯罪隠し”がドラマの軸になると思うが、その領域から一歩出たダイナミックな展開に期待したい。
【65点】
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