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息もできない 【感想】

2011-04-07 00:03:10 | 映画
久しぶりの韓国映画、「息もできない」をレンタルDVDで観る。

毎年注目しているキネマ旬報の年間賞。
昨年の外国語映画賞で堂々の1位となった本作。
ちなみに2位は「インビクタス」。。。。??
相変わらず日本の映画評論家はイーストウッド贔屓だ。

本作は他世界各国の大小様々な映画賞を受賞し、
高い評価を受けているようだ。

監督のヤン・イクチュンは、主演、製作、脚本、編集のすべてをやっており、
映画製作の資金調達のため、自宅を抵当に入れたという。

本作は、そんなヤン・イクチュンの情熱が、映画の完成度に見事に結実したといえる。
彼はすんごい映画を作った。

ヤン~演じるのは、借金のとりたてを生業とするドチンピラの「サンフン」。
サンフンのチンピラぶりが尋常でない。言葉よりも先に鉄拳。
暴力の雨あられを降らせ、警察官までもボコボコにするほど。
言葉を発すれば誰かれ構わず「この野郎」「このアマ」を連呼。
人に対する「甘さ」や「情け」を全く持たないようなキャラクターだ。
借金のとりたてではエース級の活躍をするが、すべては彼の徹底した暴力によるもの。
そんなサンフンが、とある女子高生「ヨニ」と出会い、どうこう~という話だ。

野獣のサンフンが天使のヨニに出会い、改心してイイ人になるとかいう、
既視感のある短絡的な話ではない。

ヨニもサンフンの売り言葉に買い言葉。サンフンに殴られても、負けずに勝ち気。
お互いツッパリ合い、強がり、互いの境遇を理解し合うよな場面もないが、
不思議と次第に引かれあっていく。
2人の関係は友情なのか、愛情なのか、どちらとも言えないような感じ。
はっきりしているのは、2人が互いにとって必要な存在であったという事実だけ。
そして、2人がそれぞれ抱えてしまった心の闇が、運命的に2人を引き合わせたと
察するのは容易で、心を打つ。

また、俳優としてのヤン・イクチュンも文句なく素晴らしい。
迷いのない狂気(表情がタダタダ怖い)と、
終盤以降の発散される感情の起伏を見事に表現した。

音楽を多用しない、複雑な演出もしない、キャストの演技にフォーカス。
手持ちのカメラでキャストに肉薄し、息遣いや痛みを間近に感じるフレームワーク。
すべてのシーンをワンテイクで撮ったという、画面から発せられる緊張感。。。

中盤からそれぞれの家族、友人が加わり、人間関係が絡み合い、
ドラマティックで、エモーショナルな終盤へと続く展開。

まさに「息もできない」圧倒的な130分間。

ポン・ジュノの「殺人の追憶」を初めて観た以来の韓国映画の衝撃かも。
また新たな才能が生まれた。
ヤン・イクチュンは今後、要注目の映画人だ。

ただ、作品は素晴らしいのだが、
個人的に相当な体力、メンタルを消費したため、
再見はそうないだろう。

【70点】




















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