どんなに素晴らしい新技術やアイデアが生み出されたとしても、必ずしもそれがビジネスとして成功を収めるとは限らない。
その商品やサービスを取り巻く生態系のチェーンが途切れることなく完成することが不可欠である。
いくつかのビジネス事例を「エコシステム」という切り口で分析し、エコシステムを形成して勝つために必要となる方法論が解説されています。
自分はこの本の電子書籍版を、iPhoneのKindleアプリで読んだのですが、スマートフォンにおけるApple、電子書籍におけるAmazonというのは、まさにエコシステムの形成に成功することでそれぞれの世界における王者となったことが本書の中で事例として採り上げられています。
iPhoneはスマートフォンの先駆者ではないし、Kindleが世に出るよりもずっと前から電子書籍ビジネスに対するトライは為されていた。
しかしそれら先行者は、「エコシステムを作る」という視点が無く、そしてそれゆえ勝者たり得なかった。
Appleはまず、MP3プレーヤーとして後発であったiPodをブロードバンドとコンテンツが到来した適切なタイミングで市場に投入し、iTunesを組み合わせることでエコシステムを構築する。
そして、iPodのエコシステムを「拡張」することによってiPhoneのエコシステムに繋げていった。
Amazonは、著者と出版社と巻き込むことでエコシステムを始動させ、それ以前にKindleよりも優れたハードウェアを提供していた電子書籍プラットフォーマーが成し遂げることのできなかったビジネスの成功を実現した。
こうした有名な事例だけでなく、ミシュランのランフラットタイヤ、吸入インスリンなど、単体としては優れた製品でありながらエコシステムを構築できずに普及ができなかった失敗例や、金融フレームワークをエコシステムに組み込むことで普及を実現したデジタル映画配信システムなどの成功例、そして、エコシステムを再構築することで成功へと挑んでいるベタープレイス社の電気自動車事業など、様々なビジネス事例が紹介されています。
それを知ることができるだけでも価値あり。
自分の場合、個人的に「プラットフォームを新たに作る」ビジネスに長く関わってきたので、この本で語られていることの重要性と難しさをとてもよく実感することができます。
特に、パートナーのうちたった1プレーヤーがコストに見合う「相対的」便益を見いだせないためにエコシステムが途切れてしまう「アダプションチェーン・リスク」については痛いほどよく解ります。
そういう痛い経験を積み重ねると、どこがアダプションチェーン・リスクになるのかは割とすぐ見抜くできるようになるんですよね。
この本では、エコシステムを有利な形になるように再構築する道筋も解説されていますが、なかなか口で云うほどには簡単ではない。
それが簡単に出来れば皆AppleやAmazonになれてしまいますよね。
まあでも幾つか頭の整理や企画書作成などに使えそうなツールも紹介されていますし、何となく頭では解ってたことを(それほど精密ではありませんが)体系だって言語化してくれているという点では有用な一冊だと思いました。
その商品やサービスを取り巻く生態系のチェーンが途切れることなく完成することが不可欠である。
いくつかのビジネス事例を「エコシステム」という切り口で分析し、エコシステムを形成して勝つために必要となる方法論が解説されています。
自分はこの本の電子書籍版を、iPhoneのKindleアプリで読んだのですが、スマートフォンにおけるApple、電子書籍におけるAmazonというのは、まさにエコシステムの形成に成功することでそれぞれの世界における王者となったことが本書の中で事例として採り上げられています。
iPhoneはスマートフォンの先駆者ではないし、Kindleが世に出るよりもずっと前から電子書籍ビジネスに対するトライは為されていた。
しかしそれら先行者は、「エコシステムを作る」という視点が無く、そしてそれゆえ勝者たり得なかった。
Appleはまず、MP3プレーヤーとして後発であったiPodをブロードバンドとコンテンツが到来した適切なタイミングで市場に投入し、iTunesを組み合わせることでエコシステムを構築する。
そして、iPodのエコシステムを「拡張」することによってiPhoneのエコシステムに繋げていった。
Amazonは、著者と出版社と巻き込むことでエコシステムを始動させ、それ以前にKindleよりも優れたハードウェアを提供していた電子書籍プラットフォーマーが成し遂げることのできなかったビジネスの成功を実現した。
こうした有名な事例だけでなく、ミシュランのランフラットタイヤ、吸入インスリンなど、単体としては優れた製品でありながらエコシステムを構築できずに普及ができなかった失敗例や、金融フレームワークをエコシステムに組み込むことで普及を実現したデジタル映画配信システムなどの成功例、そして、エコシステムを再構築することで成功へと挑んでいるベタープレイス社の電気自動車事業など、様々なビジネス事例が紹介されています。
それを知ることができるだけでも価値あり。
自分の場合、個人的に「プラットフォームを新たに作る」ビジネスに長く関わってきたので、この本で語られていることの重要性と難しさをとてもよく実感することができます。
特に、パートナーのうちたった1プレーヤーがコストに見合う「相対的」便益を見いだせないためにエコシステムが途切れてしまう「アダプションチェーン・リスク」については痛いほどよく解ります。
そういう痛い経験を積み重ねると、どこがアダプションチェーン・リスクになるのかは割とすぐ見抜くできるようになるんですよね。
この本では、エコシステムを有利な形になるように再構築する道筋も解説されていますが、なかなか口で云うほどには簡単ではない。
それが簡単に出来れば皆AppleやAmazonになれてしまいますよね。
まあでも幾つか頭の整理や企画書作成などに使えそうなツールも紹介されていますし、何となく頭では解ってたことを(それほど精密ではありませんが)体系だって言語化してくれているという点では有用な一冊だと思いました。
ワイドレンズ: 成功できなかったイノベーションの死角 | |
Ron Adner,清水 勝彦 | |
東洋経済新報社 |