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「恨」と「明日」〜平成27年度自衛隊音楽まつり

2015-11-21 | 自衛隊


前回のエントリをアップし終わってから、こんな記事に気がつきました。
音楽まつりに我が軍楽隊が出るということで取材した韓国の新聞に掲載されたものです。

清明な秋の日だった。
13日午後、東京千代田区日本武道館は、
‘2015自衛隊音楽まつり’を観るために訪れた日本人客で満員だった。
この日、陸・海・空自衛隊の軍楽隊、防衛大儀仗隊などが総 出動して多様な舞台を披露した。
特に陸上自衛隊中部方面音楽隊は韓国でも大きな人気を博した日本アニメ
などの主題歌を演奏して大きな拍手を受けた。 


しかし、この日の核心は韓・米・日三角安保体制に編入されていく韓国の姿だった。
韓国政府は先月20日、韓-日国防長官会談で、今年、自衛隊軍楽祭りに
韓国海軍軍楽隊を8年ぶりに参加させることに決めた。
行事の司会者は日本国歌、君が代演奏が終了後「今回の行事には韓国を含む過 

去最大の5つのゲストバンドが参加して新しい未来の道を開く」と宣言した。 

この日の行事には、韓国海軍を含む米-日同盟の固い友情を象徴するように
日本各地に位置した駐 日米軍の軍楽隊が大挙参加した。
神奈川県座間基地の在日陸軍軍楽隊は有名ミュージカル、
沖縄キャンプフォスターに本部を置く米第3海兵機動展開部隊軍楽隊は
男性的な魅力で‘海兵隊賛歌’を演奏した。 


また、駐日米軍司令部がある東京横田基地の米空軍太平洋音楽隊、
横須賀に席をおく米海軍第 7艦隊音楽隊も登場して
等米国映画の主題歌を演奏した。 


クライマックスは韓国海軍が登場した最後の立会‘海、未来、連帯の道’だった。
韓国海軍は‘アリラン’等、韓国伝統民謡を演奏して扇の舞いなど多様な韓服踊りを披露した。
その後、手塚裕之2等海佐(海軍中佐)の指揮の下、
海上自衛隊東京音楽隊、米第7艦隊音楽隊と等を演奏した。 

米日海軍が前に出て歌を歌い(韓国)海軍の軍楽隊が後から支えて演奏する姿だった。 

単なる軍楽隊の行事だったが、先月18日、日本海上自衛隊の観艦式出席に続き
十分な議論なしで三角安保体制に巻きこまれていく軍の姿を象徴するような苦々しい光景だった。 


東京/キル・ユンヒョン特派員 

ソース:ハンギョレ新聞(韓国語) 米・日軍楽隊の前韓国軍苦々しい‘アリラン’  より


わたしは何を隠そう、現在の日本のマスコミは疑うこともなく文字通り
「マス」「ゴミ」だと思っている者の一人ですが、

韓国のマスコミというのも酷いものだと、この記事を読んで思いました。

前回韓国海軍のパフォーマンスの感想を書く際、純粋にパフォーマンスの質を
評価したならば、本来もっと手厳しい評価をすべきところ、なまじ日韓関係が悪く、
国民の「韓国疲労」が高い今、必要以上の酷評は個人的な悪感情から来たものだと思われるのが嫌で、
つい抑え気味に書いてしまいました(そうだったのよ)。

しかし、実際に現場で見ている分には周りの反応は普通でしたし、帽子に紐をつけた人の
踊りにはときおり歓声もあがり、最後には他国軍隊と全く変わらない暖かい拍手が起こり、
少なくとも観衆の日本人たちに「苦々しい」雰囲気はなかったと信じます。

まるで武道館の天井に掲げられた日本の国旗に対抗するかのような特大韓国旗が
舞台を覆った時には、さすがに微妙な空気が一瞬漂ったのは事実ですが・・。

(観艦式もそうだったけど、さすが中華思想の民だけあって、大きければ勝ち、
イコールでかい国旗、ということになるのかもしれません)

しかし、特派員として東京にいて、音楽まつりを通して鑑賞したこの韓国紙記者は、
日本人の歓迎などは当然のことという前提で、それどころか、
第3章で日米海軍のパフォーマンスを支えたのが我が韓国軍であったとし、

その姿を

「まるで三角安保体制に巻きこまれていく軍の姿を象徴するような苦々しい光景だった」

とこじつけて嘆いてみせたのです。
まず、突っ込ませていただけるなら、韓国が日米韓防衛の三角形の一角を担っている、
という、この自信過剰はなんなのでしょうか。


言わずもがな日米は同盟国であり、安保条約を結んでいます。

米韓はもうすぐ終わりそうとはいえ、一応朝鮮戦争後は同盟を結んでいます。

でも日韓は別に辺で繋がってないのよ?

それどころか韓国は今や日本の公式見解でも「価値観を共有していない単なる隣国」
にすぎず、さらには先般中国の軍事パレードに
朴大統領が出たことで、
すっかり「あちら側(赤チーム)」決定されかかっているわけですが?


この記者の「苦々しい」とはつまり、日本とアメリカの防衛体制の中に
嫌が応でも組み込まれるのは不愉快だし、その結果
中国に睨まれるのが怖い、
っていう意味なんでしょうかね?




最近観艦式に続き音楽まつりに参加と、「韓国づいている」自衛隊ですが、

この理由をわたしなりにいつも通り独断と偏見で考察してみます。
この記事によると、参加を決定したのは先月20日、国防次官級会談だったそうです。

20日というと、ちょうど自衛隊観艦式が終了した2日後のことになります。

自衛隊の観艦式は分刻みのスケジュールと緻密な構成により、それを行える艦隊は
世界にも数カ国しかないという練度の集大成であったわけですが、
韓国艦が外国招待の隊列の真ん中という位置でどうであったかというと、
やはり「見る人が見たらわかる」操艦であったという話を洩れ聞きました。

イメージ的に操艦が不安そうなインド海軍とともに受閲艦隊の真ん中に入り、
後ろを米海軍の「チャンセラーズビル」が固めていたのも、それが予想されたからでしょうか。
のみならず、艦長クラスがデッキでスマホ撮影しているなど、
あまり自分がどう見られているかも構わない様子でしたが、なんと韓国海軍、
それから間もなく、自分たちも観艦式を行っておったのです。

声をかけたのは日本側からでしょうけど、韓国側がそれを受けたのはどうも
この観艦式の下調べのためだったみたいですね。

韓国の観艦式の写真で、海自が毎年行う「戦術運動」、駆逐艦3隻が同時に回頭する展示を
(ただし船と船の距離が恐ろしく広い状態で)やっていることからも察せられました。

そういえば参加した韓国軍艦の甲板では熱心に写真と動画を撮りまくってたな。

そういった「下心」が見えたような気がした韓国の観艦式参加ではありましたが、
ともかく、そのように声を掛けあい互いに交流を行うのには理由があります。

一般的に他国軍同士というのは時々互いに顔を合わせておかないと、偶発的な事故から
容易に戦闘状態になだれ込んでしまう可能性があるものなのだそうです。

「暴力装置」という言葉はだてではなく、機能としての軍隊は「顔の見えない状態」

では暴発の危険性をいつもはらんでいる、というのは世界の軍を持つ国の常識でもあります。

過去、世界大戦に突入する前の時期にも、軍同士というのはそのような意味で交流しています。

もちろん一旦交戦状態となればもうそのような友誼は何の意味も持たなくなり、
日本に来て江田島や東京で歓迎されたアメリカの艦船が、その後日本軍によって沈められた、
という例は重巡「アストリア」だけに限ったことではありませんでした。

しかし、軍と軍というものは、国と国が戦争を行うその直前までは友誼を保ち続けます。
例えば自衛隊と中国軍ですら、互いに積極的に軍交流を持とうと努力しているのです。
(少なくとも自衛隊側は)

つまり、現在国同士がうまくいっていない状態であらばこそ、自衛隊と韓国軍は
留学や交歓などで「顔見知り」同士、「keep in touch」の状態を保とうとしているのでしょう。




さて、韓国海軍、アメリカ海軍第7艦隊の軍楽隊の演奏が終わり、

いよいよ海上自衛隊の演奏が行われたわけですが、それについては最終回のお楽しみとして、
その後、どの回でも行われたように、第3部のステージを飾った軍が合同で演奏を行いました。



くだんの韓国紙記者は「韓国海軍がクライマックスだった」と書いていますが、
これは何のことはない、今年海自が最後のステージを務める順番だったので、
海軍つながりでここに入ることが決まったというだけのことです。

まあ、毎年来ているわけでもないこの記者にそこまではわからなかったのでしょう。

合同演奏の曲目は「Tomorrow」。
ミュージカル「アニー」の名曲で、第3部のテーマである「未来」そして「道」とつながり、
なんといっても三宅由佳莉3曹がCDにも吹き込んでいる得意曲でもあります。
米海軍のステージで「Sir. Duke 」をパワフルに歌った歌手とのデュエットで。



この雰囲気、実に三宅さんらしいですね。

♪ 明日になれば必ず太陽は輝く

♪ 明日のこと 考えるだけで悲しい気分も晴れる

♪ 明日になれば太陽は昇る だから明日まで頑張ろう

♪ 明日 明日 大好きな明日 お前はまた明日やってくる

最後の「You're always a day away」の部分、 「おまえは1日後にやって来る」
という意味だと思い、このように訳してみました。 



今これを見て、米海軍軍楽隊には軍楽隊オリジナルの制服がないらしいと知りました。
そういえばバンドも、水兵服の中に時々下士官が混じっていましたし、
そういう統一性はあまり気にしないみたいです。

彼女も、せっかく皆の前で歌うのだから一人だけでもフルドレスを着せて
あげればよかったのに、とふと思いました。

そのとき、後ろのモニターに映し出された見覚えのある顔が・・・。



武居海幕長ではございませぬか。

で、この横にいる軍人さんは、どうみても自衛隊の人ではない・・・
かといってアメリカ海軍の将官でもなさそうだし。
ってことはやっぱりこれ、韓国海軍の偉い人でしょう?
武居海幕長とは留学時代に知り合いだったとかいうんじゃないんですか? 



三宅3曹の後ろでは、韓国海軍の軍楽隊が一緒に演奏をしているのですが、
冒頭写真の水兵くんたちの中で確実に二人が、三宅さんをガン見してます(笑)
わかる、わかるよー。三宅さん可愛いもんね。

彼らがこの日ステージに立ったことで、自衛隊や日本の聴衆に対して
良い印象を持って帰ってくれればいいなと心から思いました。




とにかく、この秋晴れの一日、この韓国紙記者は、この音楽まつりを目の当たりにして、
韓国海軍軍楽隊が一生懸命演奏をし、日本の聴衆がそれを暖かく迎えたことなどより、
おそらく海上自衛隊の旭日自衛隊旗を「苦々しく」見、「君が代」斉唱を「苦々しく」聞き、
武道館の日の丸を「苦々しく」見上げて、つまり徹頭徹尾「苦々しい」思いしか抱かなかったようです。


見たところ圧倒的にメガネ着用率が多く、どちらかというと純朴な雰囲気の
韓国海軍軍楽隊の皆さんは、エンディングで全員が日本語で歌ったイグザイルの「道」のとき、
他のアメリカ軍の隊員と同じようにおそらくアルファベットか自国語の読み方をつけた
歌詞を、ほとんど全員がきちんと口を開けて歌っているのが確認されました。

音楽をする人間であれば、このような雰囲気の中で演奏し、それをたくさんの人に
聞いてもらうことは、それだけで心踊る体験であるはず。
ましてや、万座の聴衆から拍手を貰って、うれしくなかったわけがありましょうか。
それは韓国の軍楽隊であっても同じはずです。

この少し前に、宇宙ステーション「きぼう」から油井宇宙飛行士が、


「宇宙から見た地球は美しい。そして国境なんか見えないのです」

と語っていたことは、第3部の「絆」というテーマに繋がる意味もあったと思ったのですが、
こんな会場の中にいながら、一人だけ「苦々しく」こんなことを考えながら
いかにこのコンサートをネタにいちゃもん記事を書くか頭をひねっていた人がいたとは。


韓国軍楽隊の演奏した韓国最強の曲「アリラン」のテーマは「恨」だというし、
なんていうか・・・・根本的に日本人とは違うんだなあとだけ言っときます。


続く。