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ホテル試泊体験

2010-09-28 | つれづれなるままに
先日書いた「海軍パイロットとカメラ」の日の記事に対して、ニコン研究会所属、工業用ニッコールレンズ研究家の方から坂井三郎中尉の撮った写真についての興味深い記事をコメントとしていただきました。
この4月にオリジナルネガから写真をプリントした、というものです。
そのページのアドレスもいただいていますので、宜しければコメント欄をご覧ください。



さて本題。
大阪に10月オープンするホテル、セント・レジスに試泊してきました。
試泊とは、正規オープン前のしばらくの間、料金を取らずに関係者や客を招待して「慣らし運転」をするシステムのことです。

御存じない方に説明しておくと、ホテルマンという業種は「職場を転々としてそのたびに出世していく」ものなので、新しくホテルができると既存のホテルから自分のこれまでの部下や、なじみの顧客ごと引っ越してきます。

ですのでこの試泊には今までのホテルでの得意客をホテルマン(ただしあまり下っ端では駄目)が招待する、ということが多いようです。
今回、大阪の某ホテルで知り合いだった方がこのホテルに移ったため、試泊のお誘いをいただきました。

我々は「都落ち」の関東住みなので新幹線で移動です。
「上阪」途中で観たのですが、画像の富士山、ちょっと驚きませんか?
真っ黒の富士山、もしかしたら初めて見たかもしれない・・・・・。
日本大丈夫か。

ホテル入口。
まだオープンしていないので囲いがあります。
このホテル、御堂筋線の本町駅直結なのですが、高級ホテルでありながら交通至便。
むしろ、高級路線を目指すなら不便なところに立地を求める、という従来のホテルとは少し方針を別にするようです。
この辺りは繁華街ではなく、オフィスしか周りにはないので、アッパークラスのビジネスユースを見込んだものかもしれません。

最近のホテルによくあるように、一階と上層階がホテルになっている作り。
インテリアは明るめで、あまり流行を追わないオーソドックスタイプです。

部屋はどちらかといえば狭いのですが、今まで最もホテルの部屋で問題だった「テレビの面積」が壁掛けで解決できるため、それを生かし、バスが窓に面しているなど、解放感のある省スペースな部屋となっていました。


でも、このガラスは「普通のガラス」なので、開けっ放しで夜お風呂を使うと、御堂筋を走る車からは丸見え、とのことでした。

さて、この試泊というもの、驚いたことに「飲食費も無料」です。
夜は二つあるレストランのうち、フレンチでいただきました。
フランス料理そのものが今日本ではあまりありがたがられず、特に「重い感じ」が避けられる傾向にあるので、メインダイニングはここもイタリアンのようですが、一階はカフェ風フレンチ。
「ビストロ」という感じの内装で、料理にも期待をしたのですが・・・・・・


客にはチェックインの時、分厚いアンケート用紙を渡され、各項目について「いい」「悪い」で評価する仕事があります。
ホテルの方も、試運転時に問題をあぶり出さなくてはいけないので、ただで泊めて飲み食いさせるというのは全てこの「評価」が欲しいから。
そう、まさにこれは試泊客の料金代わりの仕事なのですが。

我々が一番厳しい評価を下したのが実はここのフレンチでした。
気難しそうな、星一徹風フランス人シェフが客席をのし歩き、客に挨拶するのですが、みんな「おいしいです」としか言えないですよね、特に日本人は。
でも、このフランス星一徹の料理、はっきり言って
「くどい」。

上の写真の板のようなものが乗ったスープのような、これ「キッシュ」なんですが、上の板はベーコン入りのパイ。これを崩して下の卵クリームスープに混ぜると、あら不思議、キッシュの味が・・・・

しませんでした。

意余って力足りず。

コロッケのようなものは、割ると中にでんでん虫が!
TOに押し付けたら
「砂がある」
といって食べず。

エスカルゴは、日本人には受けないんだよ!
わかってくれ星一徹。

骨付き羊肉はそのまんま「羊の味」。
これもほとんどの日本人には嫌われますわなあ。
もう少し工夫してくれ星一徹。

そしてデザート。

ケーキバイキングで自分で取ったデザートじゃないんですよ。
もうすこし何とかならなかったのだろうか。
日本人のデザートに対する、特に「見た目の美しさ」への要求は厳しいんですぞ。
味も今一つ甘いだけで工夫なし。
最後の頃には食べるのに飽き飽きしてしまうようなフルコースでした。

というわけで、シェフがフランス人、というのが裏目に出ているとしか思えないというか。
他がほとんど「はい」、食事の欄だけ真っ黒に小さな字で書きこまれているアンケートになってしまいました。

このホテルは、何と試泊期間を一か月しています。
以前知っていた大型ホテルは試泊が3日だったので、その長いのに驚きました。
もちろんのこと、この期間客から料金を取らないわけですが、ホテル側にすれば、試運転の間というのは失敗が許される最後の練習期間なので、むしろお金を払ってお願いしたいくらいの貴重な機会なのです。

しかし、スタッフの錬成度はかなり高いレベルにあるのではとお見受けしました。

このホテルは大型ホテルではないので、新人ホテルマンらしきぎこちないサービスをするスタッフは少なくともあまり見当たらず、特にフロント階にはベテラン女性ホテルマンをたくさん配してきめ細やかさを出そうとしていたようです。

長らく男性中心だったホテル業界ですが、ある意味この業種は下手な男性社員より高学歴の能力のある女性を集めやすいという理由で、優秀な女性を多く登用するホテルが最近増えています。

ここもその傾向がありました。
ボンクラ男子学生を一人新人採用するなら、優秀なよそのホテル経験者の女性、ということでしょうか。
ただし、要所要所、責任者は男性であり、外国人です。


オープン前のホテルに客として泊ったのは初めてですが、稼働していないホテルというのは何かまだ「仏作って魂入れず」といった感じがあります。

人が入り、行き来して、いろんなことが起こって、初めてホテルというのは命を与えられるのですね。



今回ホテルのインテリアで一番ウケた絵。

大阪城、グリコ、たこ焼き、カニ(道楽)、科学館?、ビリケン、ユニバーサル、通天閣、太陽の塔、ビジネスパークのビル、かな?