国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

ロシアのウラジオストクへの巨額投資計画は極東のペテルブルグ建設とソ連時代の終焉を意味する?

2007年02月05日 | ロシア・北方領土
ウラジオストクは日本海に面する良港、ハバロフスクはアムール川とウスリー川の合流点に位置する河川交通の要衝である。この両都市の関係は、バルト海に面する良港であるサンクトペテルブルグとモスクワ川に面するモスクワのそれに類似している。サンクトペテルブルグはピョートル大帝が1703年に建設、モスクワから遷都した都市であり、ロシア革命後にボルシェビキ政権がモスクワに遷都して首都の地位を失っている。ウラジオストクもロシア革命以前は間違いなく極東の政治・経済・交通の中心都市であり、ソ連時代になってその地位をハバロフスクに奪われたという類似した歴史を持っている。恐らく、資本主義国に囲まれ孤立したソ連としては、首都や「極東の首都」が海に面した良港であることは安全保障上望ましくないだけでなく、首都の住民が外国のヒト・モノ・情報にアクセスしやすいことは政治的に望ましくなかったのであろう。 サンクトペテルブルグ出身のプーチン大統領はロシア第2の金融機関ブネシュトルゴ銀行や長距離通信の独占企業ロステレコムなどの国営企業を次々とサンクトに移転させている上、国営天然ガス独占企業体であるガスプロムの本社移転も計画されており、遷都の噂も絶えないという。仮に公式に遷都が行われないとしても、ロシア経済の中枢とも言えるガスプロムの本社移転は首都機能の部分的な移転と言えるだろう。 今回のロシア政府の極東投資計画は、ロシア極東の政治・経済・文化・学術・交通などの首都機能がハバロフスクからウラジオストクに集約されることを意味すると考えられ、モスクワからサンクトペテルブルグへの首都機能移転と東西対象の相似形を形成している。 これは私の想像だが、近い将来に極東連邦管区の本部もハバロフスクからウラジオストクに移転され、ウラジオストクはロシアの東の玄関口、極東のサンクトペテルブルグとして繁栄を極めるのではないだろうか?そして、首都と極東の首都が内陸から海に面した都市に戻ることは、資本主義国の包囲網の中で首都を内陸に置くことを必要としたソ連時代との完全な決別と、西欧や日本との幅広い交流を持っていたロシア帝国時代への復帰を象徴するのではないだろうか? . . . 本文を読む
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