国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

国際金融資本の世界覇権消失により、シンガポールも滅亡に向かい始めた?

2007年02月18日 | 東南アジア・南アジア・オセアニア
シンガポールと周辺国の関係が悪化しているのは、シンガポールを拠点として東南アジア地域から搾取していた国際金融資本の衰退と無関係ではあるまい。タイ南部のクラ地峡の運河計画が実行に移されなかったのはシンガポールの地政学的優位を崩壊させる危険があり国際金融資本からの圧力があったことが大きいだろう。運河を建設した場合は、運河周辺のイスラム系少数民族の分離独立運動を煽る戦略だったのではないだろうか?先日タイでクーデターを実行したソンティ陸軍司令官はこの地域出身のイスラム教徒であることも興味深い。 第二パナマ運河建設が断念された経緯から考えて、現状ではクラ地峡運河建設が実行される可能性は低いだろう。ただ、クラ地峡に石油パイプラインと石油備蓄基地を建設する計画、あるいはビルマのインド洋沿岸からベトナム東岸を結ぶ鉄道路線によるランドブリッジ計画が実行されるならば、石油やコンテナの輸送がマラッカ海峡からシフトすることが考えられ、シンガポールの地政学的優位は一挙に失われるだろう。東アジアと中東を結ぶ超大型石油タンカーは水深の浅いマラッカ海峡を避けて現在ロンボク海峡を通過しているが、クラ地峡の石油備蓄基地を利用すれば航海距離をかなり短縮できそうである。 今月に入り、シンガポールは法人税税率の引き下げや人口予測の上方修正で明るい未来を演出するのに必死である。しかし、タイ・マレーシア・インドネシアという周辺三カ国との関係が悪化している事を考えると、シンガポールの繁栄はもはや終焉を迎えたと見て良いだろう。ベトナムとの関係強化計画も、華僑に対する強い反感がベトナムに存在することを考えると成功する可能性はまずない。華僑は所属国家への愛国心よりも華僑の連帯意識を重視する、東洋のユダヤ商人的存在である。欧米人の手下として地域に同化せず東南アジアの住民から搾取してきた華僑たちは、東南アジアを去ることになるだろう。 . . . 本文を読む
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