国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

東欧へのミサイル防衛システムの配備計画を巡る米・東欧と独露の対立が意味するものは何か?

2007年02月23日 | 欧州
米国がポーランドとチェコに弾道弾迎撃ミサイル(ABM)の配備を予定していることが米露両国間の対立を激化させている。ハドリー米大統領補佐官は「ロシアではなく北朝鮮やイラン(からのミサイル)を想定したものだ」と発言している。しかし、イランと欧米の対立は冷戦と同様の茶番劇である可能性が高いと私は疑う。イランは中東一の軍事大国であるイスラエルに加えトルコ・サウジアラビア・パキスタンなどのスンニ派の大国に囲まれており、これらとの関係が安全保障上の最大の懸念だろう。ミサイル防衛システムはその建設・維持に莫大な費用がかかるとされる。イラク戦争の戦費で米国経済が破綻寸前になっていることを考えると、今後このミサイル防衛システムが米国主導で本当に建設されるとは思えない。欧州の中心であるドイツの同意が得られていないのも致命的である。更に、ロシアはミサイル防衛網を突破できるとされる新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)のトーポリMの配備を開始している。トーポリMは、ミサイル防衛システムよりも遙かに安価であろう。このようにコストパフォーマンスの低いミサイル防衛システムを建設するより、他の手段を取る方が有益であることは自明である。では、このミサイル防衛システムを巡る米国・東欧とロシアの対立は何を意味しているのだろうか?私は、レーガン政権初期の米ソ対立、あるいは現在の米国とイランの対立と同様に、対立を演出すること自体を目的とする茶番劇ではないかと考える。米国の経済的破綻による計画中止でロシア側の勝利に終わるという結末まで含めたシナリオが既に用意されており、米露や東欧主要国はそれに従って対立を演じているだけではないかと想像される。江田島孔明氏が主張する「米軍とロシアの反国際金融資本連合」「ソ連・東欧圏共産主義国家崩壊がKGBの自作自演」との説とも矛盾しない。国際金融資本・英国・イスラエル連合は米国の戦略を知りつつもそれに乗る以外に方法がないため、ポーランドやチェコの反ロシア政策を煽っているのではないか?あるいは、国際金融資本自身も敗北を悟り、わざと負ける戦略で被害を小さくして、来るべき独露連合の支配する欧州での生き残りを図っているのではないだろうか? . . . 本文を読む
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