世界保健機関(WHO)は6月2日、新型インフルエンザの警戒水準(フェーズ)について現行の「5」から、世界的大流行(パンデミック)認定を意味する「6」への引き上げに向けた検討を再開した。フクダ事務局長補代理は同日の定例記者会見で、欧州や日本、オーストラリアでの感染状況を例に挙げ「フェーズ6に近づいている」(“We are getting closer to phase six.”“The countries in transition are moving towards community-type spread and include the UK, Spain, Japan, Chile and Australia.”“But we are still waiting for evidence of widespread community activity, so that's why we are not in phase six yet.”)と言明した。
別のWHO当局者らによると、特にオーストラリアで感染ルートが特定できない「持続感染」が確認されるおそれが出ており、WHOは水準引き上げの条件が整ってきたとの判断を強めている模様だ。
患者の全般的な症状の重さについてフクダ氏は「軽微(マイルド)というより中間(モデレート)」と述べ、これまで「大半の患者は軽微」などとしていた表現を強め「軽微」よりやや重いとの判断に傾いている(“This infection can be fatal - in those who have underlying medical conditions, pregnant women and in some people who were otherwise healthy.” )ことを明らかにした。
WHOは感染者の地理的な拡大という従来の基準を基に、5月初旬には大流行を宣言する方針をほぼ固めていた。しかしその後、英国など一部の加盟国が「安易な大流行宣言は社会を混乱させる」などと慎重な対応を要求。これを受けWHOは、症状の重さや南半球での感染拡大を加味した「新基準」の検討に入っていた。
フクダ氏は今後「軽微(mild)」「中間(moderate)」「重度(severe)」の3段階の表示方法などによる症状の評価方法を早急に確立、水準を引き上げても各国政府の過剰反応を招かないような「より状況に応じた」対応指針を提供すると説明。大流行宣言に向けた環境整備を急ぐ方針を示した。