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POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 妻がスタイリーという飲み物を買ってきました。そのときの会話です。

私「チュウセイシボウって何なの? チュウセイって、酸性、アルカリ性と言うときの中性?」
妻「そう、その中性。一般にトリグリセリドのことを言うのよ。」
私「トリって、3つという意味のトリ? それとも空を飛ぶやつ?」
妻「何をふざけているの。脂肪酸が3つ付いているのよ。」
私「グリセリドって、グリセリンと関係あるやつか。」
妻「そう。」

 知識の引き出しをあれこれ漁って必死に防戦です。分かったような問いを発していますが、何にも分かっちゃいない。そこで「中性脂肪」を調べてみました。

 炭化水素の水素原子を「ヒドロキシ基(-OH、hydroxy group)」で置き換えた物質の総称を「アルコール(alcohol)」といいます。お酒の主成分である「エタノール(ethanol、CH3-CH2-OH)」は、炭化水素である「エタン(ethane、CH3-CH3)」の水素原子の1つをヒドロキシ基で置き換えたものです(ethane+-ol→ethanol)。炭化水素である「プロパン (propane、CH3-CH2-CH3)」の水素原子の1つがヒドロキシ基で置き換わると、「プロパノール (propanol、CH3-CH2-CH2-OH(1-プロパノール)、CH3-CH(OH)-CH3(2-プロパノール)」になります。

 プロパンの水素原子の3つがヒドロキシ基で置き換わる(3価のアルコール)と、「プロパントリオール (propanetriol、propane+tri+-ol→propanetriol)」になり、その一つが「1,2,3-プロパントリオール(1,2,3-propanetriol、HO-CH2-CH(OH)-CH2-OH)」です。甘味を持つことからギリシャ語の“glykys”(甘い)にちなんで、「グリセロール (glycerol) 」または「グリセリン(glycerine, glycerin)」と呼ばれます(慣用名)。



 酢に含まれる酸で、強い酸味と刺激臭を持つ「酢酸(acetic acid、CH3COOH)」などは、「カルボン酸(carboxylic acid)」に分類されます。カルボン酸は、少なくとも一つの「カルボキシ基(-COOH、-C(=O)-OH、carboxy group)」を有する酸です。カルボキシ基の水素は、水溶液中で解離して「水素イオン(H)」になり、酸性を示すので、この基をもつ化合物はカルボン酸と呼ばれます。

 炭素は英語で“carbon”、水素は“hydrogen”、酸素は“oxygen”と言い、炭素を中心とする官能基の一つ「カルボニル基」は“carbon+-yl→carbonyl”、水素と酸素が結合する「ヒドロキシ基」は“hydr-+-oxy→hydroxy”と造語されています。カルボキシ基は、カルボニル基とヒドロキシ基が結合した構造であるので、“carbo-(nyl)+(hydro)-xy→carboxy”と造語されます。



 脂肪を加水分解すると得られる「脂肪酸(fatty acid)」もカルボン酸のひとつです。リノール酸(linoleic acid)やオレイン酸(oleic acid)などの脂肪酸は、長い鎖状の炭化水素です。例えば、植物油に多く含まれる「リノール酸」は、CH3-(CH2)3(CH2CH=CH)2(CH2)7-COOH という構造をしています。



 脂肪酸のカルボキシ基がグリセロールのヒドロキシ基と脱水縮合したものが「グリセリド(glyceride、グリセライド)」です。1分子のグリセロール(グリセリン)に1分子の脂肪酸が結合したものを「モノグリセリド (monoglyceride)」、2分子結合すると「ジグリセリド (diglyceride)」、3分子結合すると「トリグリセリド (triglyceride、トリグリセライド)」になります。

 グリセリン(グリセロール)は水溶しても電離しないので「中性」ですが、脂肪酸はカルボキシ基を持つので、水溶すると水素イオンが電離し、弱酸性を示します。しかし、グリセリンと結びつくと「中性」を示すので、トリグリセリドを「中性脂肪」と言うのだそうです。ここで疑問が生じます。酸性脂肪とかアルカリ性脂肪というものはないのです。ならば、「脂肪」と呼べばいいものをなぜ「中性脂肪」とわざわざ呼ぶのでしょう。なぜ?

 「中性脂肪」と言われるときは、まず「血液検査の数値」でしょう。「中性脂肪値(TG値)」は、40~130mg/dℓ程度(年齢によって異なる)が正常とされています。中性脂肪値が140~150mg/dℓを超える(年齢によって異なる)と、食事・運動療法が必要になってきます。中性脂肪値はいつ食事をしたかに大きく影響を受ける検査項目です。中性脂肪値は、食後2時間~3時間でピークを迎えます。空腹時(少なくとも12時間以上は何も食べない)の採血が望ましく、血液検査の前には、食事をしないようにしなければなりません。

※ 中性脂肪(neutral fat)には、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドの3つの形態がありますが、血液中に含まれる中性脂肪のほとんどは「トリグリセリド(Triglyceride、TG)」です。したがって、中性脂肪はトリグリセリドとほぼ同じものと言えます。(※終わり)



 中性脂肪値(TG値)が高い、ということは血液の中に脂肪を多く含んでいるということです。中性脂肪値が高いと血液は粘性を増します。粘性の高い血液は、血管の内壁にこびりつき、血液循環を妨げ、血管に血栓ができやすい状態にしていくといいます。

 これは、脳梗塞や心筋梗塞といった死に直結する可能性のある疾病の原因になります。脳梗塞の致死率は60~70%で、心筋梗塞の致死率は30%~40%と推計されています。日本での脳梗塞の発症数は年間約8万人、心筋梗は約15万人といわれ、脳梗塞の発症平均年齢(男性)は60歳代後半、心筋梗塞は60歳代前半なのだそうです。

 ここまで調べてようやく、妻が私にスタイリーという飲料を勧めてきた意図が分かりました。スタイリーという飲料は、中性脂肪を減らす作用のあるモノグルコシルヘスペリジンを含んでいて、モノグルコシルヘスペリジンが中性脂肪を減らす作用のあることの科学的根拠が医学的・栄養学的に広く認められ確立されていることを消費者庁が保証していて(「特保」)、致死率の高い脳梗塞や心筋梗塞の疾病リスクを低下させるには「中性脂肪」を減らさなくてはならないということでした。

 でも、「モノグルコシルヘスペリジン(monoglucosyl hesperidin)」とはいったい何なのでしょう。それは次回に。

(参考)「トクホって? チュウセイシボウって? モノグルコシルヘスペリジンって?(1)

(参考)特保って? チュウセイシボウって? モノグルコシルヘスペリジンって?(2)

(参考)特保って? 中性脂肪って? モノグルコシルヘスペリジンって?(3)

(参考)「スタイリースパークリング」という飲み物と「モノグルコシルヘスペリジン」

(参考)禁煙? 運動? モノグルコシルヘスペリジン? そしてフラミンガム心臓研究(1)

(参考)禁煙? 運動? モノグルコシルヘスペリジン? そしてフラミンガム心臓研究(2)

(参考)コレステロールには、悪玉も善玉もなく、人体に欠くことができない物質(1)

(参考)コレステロールには、悪玉も善玉もなく、人体に欠くことができない物質(2)

(参考)家族性高コレステロール血症とHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系薬剤)

                (この項 健人のパパ)

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