POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





妻「まだ書いてるのね。厭きないんだ。」
私「・・・」
妻「ホントに何が好奇心に火を点けるかわからないんだから。」
私「・・・」
妻「飽きっぽいのに、1か月も続いているわよね。」
私「・・・」
妻「ミャンマーはどうなったの。あんなに本を買い込んだのに。」
私「・・・」
妻「熱中するなら旅行のことにして欲しいわ。来年の旅行、どこに行くつもりなの。そろそろ決めなくちゃ。」
私「・・・」

 ビタミンにA、B、C、D、E、Kなどの種類があるように、複合タンパク質型(非タンパク質性の構成要素を含むタイプの酵素)酵素の非タンパク質部分である「補酵素(コエンザイム、助酵素)」(多くはビタミンから作られる)にもA、R、Fなどの種類があります。そのなかで、パントテン酸(pantothenic acid、vitamin B5)とアデノシン二リン酸(Adenosine diphosphate, ADP)、およびシステアミン(cysteamine、2-mercaptoethylamine)から構成される「補酵素A(コエンザイムA、coenzyme A、CoA)」は、ヒトにとって非常に重要な補酵素です。



 主に肝臓で生合成されるコレステロールは、「内因性コレステロール」と呼ばれ、食物由来の(胆汁酸と複合体を形成して腸管より吸収される)「外因性コレステロール」の2~4倍程度体内に存在します。体内のコレステロールは、その多くが体内で作られているのです。それゆえ、食事療法で体内のコレステロールを減らそうとしてもその10%程度を減らすことができるに過ぎないといいます(運動療法と組み合わせても15%程度)。

 単純に考えて、LDLコレステロールの値が140mg/dL以上を脂質異常として、正常域に食事療法で戻せるLDLコレステロール値は155mg/dL程度の人までであり(155の10%は15.5だから、155-15.5=139.5)、食事療法+運動療法では165mg/dL程度の人までだということになります(165の15%は24.8ほどだから、165-24.8=140.2)。



 コレステロールは、酢酸と補酵素Aが結合した「アセチルCoA(Acetyl-CoA、アセチル補酵素A)」から、転移酵素(トランスフェラーゼ、transferase)、合成酵素(シンターゼ、synthase)、還元酵素(レダクターゼ、reductase)、リン酸化酵素(キナーゼ、kinase)、脱炭酸酵素(デカルボキシラーゼ、decarboxylase)、異性化酵素(イソメラーゼ、isomerase)、酸素添加酵素(オキシゲナーゼ、oxygenase)、水酸化酵素(ヒドロキシラーゼ、hydroxylase)、脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ、dehydrogenase)などといった酵素の助けを借りて、多くの反応段階を経て、合成されます。



 その解明に人生の多くをかけた人たちがいるはずなのですが、「ああ、そうなの。で、それが、何?」と冷たく返答してしまいそうになる話しがしばらく続きます。「アセチルCoA(Acetyl-CoA、アセチル補酵素A)」は、どのような過程を辿って、「コレステロール(cholesterol)」になるのでしょう。



アセチルCoA
 ↓ アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ(Acetyl- Coenzyme A acetyltransferase)
 ↓ (アセチルCoA2分子からアセトアセチルCoAと補酵素Aを生成する反応を触媒する酵素)
アセトアセチルCoA
 ↓ HMG-CoA合成酵素(HMG-CoAシンターゼ、HMG-CoA synthase)
 ↓ (アセチルCoAとアセトアセチルCoA からHMG-CoAを生成する反応を触媒する酵素)
ヒドロキシメチルグルタリルCoA (HMG-CoA)
 ↓ ヒドロキシメチルグルタリルCoA還元酵素(hydroxymethylglutaryl-CoA reductase
 ↓ (HMG-CoAからメバロン酸を生成する反応を触媒する酵素。メバロン酸経路の律速酵素)
メバロン酸(mevalonic acid、MVA)

 メバロン酸ができるまでと寄り添っていてくれた補酵素Aが離れていきます。次に現れる“phospho-”(ホスホ、フォスフォ)とは、「リン酸(燐酸)」を意味します。

メバロン酸
 ↓ メバロン酸キナーゼ
5-ホスホメバロン酸(5-phosphomevalonate)
 ↓ ホスホメバロン酸キナーゼ
5-ジホスホメバロン酸(5-diphosphomevalonate)
 ↓ ジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ
イソペンテニル二リン酸(isopentenyl diphosphate、IPP)

 「リン酸(phosphoric acid)」が2つ結合していることから「二リン酸(diphosphoric acid)」、リン酸が高温で脱水縮合すると生成することから「ピロリン酸(pyrophosphoric acid)」(pyro- は「高温」を意味する)と名前を2つ持つ化学式 H4P2O7 の物質がここからはついてきます。

イソペンテニル二リン酸
 ↓ イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ
ジメチルアリル二リン酸((dimethylallyl diphosphate、DMAPP)
 ↓ ジメチルアリルトランスフェラーゼ
 ↓ ジメチルアリル二リン酸とイソペンテニル二リン酸から
ゲラニル二リン酸(geranyl diphosphate, GPP)
 ↓ ゲラニルトランスフェラーゼ
 ↓ ゲラニル二リン酸とイソペンテニル二リン酸から
ファルネシル二リン酸(farnesyl diphosphate)
 ↓ ファルネシル二リン酸ファルネシルトランスフェラーゼ
 ↓ (ファルネシル二リン酸2分子からスクアレンを生成する反応を触媒する酵素)
スクアレン (squalene)

 いい加減飽きてきたのですが、まだまだ続きます。二リン酸は離れ、ステロール骨格ができてきます。官能基同士が反応して、エネルギー的に安定な5員環や6員環を形成することを「閉環反応(ring closure reaction)」というのだそうです。

スクアレン
 ↓ スクアレンエポキシダーゼ
(3S)-2,3-エポキシスクアレン((3S)-2,3-Epoxysqualene)
 ↓ ラノステロールシンターゼ
ラノステロール (lanosterol)
 ↓ 
 ↓
 ↓
コレステロール(cholesterol)

 多くの人にとってどうでもいい話し、でも栄養士や薬剤師にとっては常識である「コレステロールの生合成」の話しをしてきました(私にとっても好奇心が満足すれば、すぐにでも忘れてしまうことですが、薬剤師さんたちは資格を取るために苦労しているんですね)が、実は私が取り上げたいのは、コレステロールの生合成の初期段階の「ヒドロキシメチルグルタリルCoAからメバロン酸を生成する反応」だったのです。すみません、時間を無駄にして、、、

 ヒドロキシメチルグルタリルCoA (HydroxyMethylGlutaryl-CoA、HMG-CoA)からメバロン酸(mevalonic acid、MVA)を生成する反応では、「ヒドロキシメチルグルタリルCoA還元酵素(HMG-CoA還元酵素)」が関与します。この反応を阻害するのが、リピトールなどの「HMG-CoA還元酵素阻害薬」であり、「ヘスペリジン(hesperidin)」(この説は確立していない。「ようだ」ということ)なのです。

 リンゴやブドウなどの果実は粘稠性の「ペクチン(pectin)」を大量に含んでいます。植物の細胞壁などに多く含まれているため、搾った果汁は粘度が高く、濁っています。この果汁を粘度の低い、澄んだものにするのには、「ペクチナーゼ(pectinase)」という酵素が用いられます。三共株式会社(現在は合併して、国内製薬メーカー大手4社の1つ「第一三共株式会社」)は、日本で最初にペクチナーゼを製造販売します(商品名「スクラーゼS」。1954年。2007年以降は三共株式会社の食品用酵素事業を取得した三菱化学フーズ株式会社が販売)。ブドウに生える2種類のカビとハラタケがペクチナーゼを大量につくる(Coniothyrium diplodiella)ことを発見して、特許を取り、商業化に成功させたのが三共の研究員「遠藤 章」氏(現在は、一橋大学イノベーションセンター客員教授)でした。

 いまから半世紀ほど前の1966年に一種の報奨としてアメリカの「アルバート・アインシュタイン医科大学(Albert Einstein College of Medicine、大学院大学“graduate school”)」に2年間留学した遠藤氏は、高血圧、肥満、糖尿病、動脈硬化といった生活習慣病の時代に入っていたアメリカで、「コレステロールに気をつけよう」という公共広告をテレビで見、コレステロール含量を表示している食品を目にします。

 コレステロール低下剤の開発ができないかと考えた30代の半ばの遠藤氏は、(1)食べ物から摂取するコレステロールの量を減らすよりも、体内のコレステロール合成の阻害が、血中コレステロールをよく下げるはずだ、(2)他の微生物を攻撃する武器としてカビやキノコは抗生物質をつくるが、武器としてコレステロール合成を抑える物質をつくるカビやキノコがいるに違いない という予測を立て、コレステロール合成の律速酵素である「HMG-CoA還元酵素」の阻害剤を探し始めます。

 またしても、話しが長くなりました。次回に続きます。

(参考)「トクホって? チュウセイシボウって? モノグルコシルヘスペリジンって?(1)

(参考)特保って? チュウセイシボウって? モノグルコシルヘスペリジンって?(2)

(参考)特保って? 中性脂肪って? モノグルコシルヘスペリジンって?(3)

(参考)「スタイリースパークリング」という飲み物と「モノグルコシルヘスペリジン」

(参考)禁煙? 運動? モノグルコシルヘスペリジン? そしてフラミンガム心臓研究(1)

(参考)禁煙? 運動? モノグルコシルヘスペリジン? そしてフラミンガム心臓研究(2)

(参考)コレステロールには、悪玉も善玉もなく、人体に欠くことができない物質(1)

(参考)家族性高コレステロール血症とHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系薬剤)

                 (この項 健人のパパ)

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