POWERFUL MOMが行く!
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 日本の医薬品市場で、2012年1月~3月の売り上げは病院・開業医・薬局などの医家向製品では2兆2900億円ほど、2012年4月~6月で2兆3600億円ほどなのだそうです。そのうち、薬価ベースで脂質調整剤及び動脈硬化用剤の売り上げが1000億円ほど(2012年1月~3月、4月~6月)。売り上げ金額の多い上位10製品に「リピトール」(薬価:10mg1錠113.6円)が入っており、約200億円を売り上げています(1月~3月)。

 世界最大の売り上げ(2010年度の売り上げは約120億ドル。1ドル80円換算で約9600億円)を誇るファイザーの高脂血症治療薬「リピトール(Lipitor)」の市場独占期間が2011年11月30日に満了を迎えました。2012年4月~6月には日本では「リピトール」は上位10製品から姿を消すことになります。後発品(ジェネリック)が販売されました。例えば、第一三共エスファ株式会社の「アトルバスタチン10mg」は、1錠あたりの薬価が68.9円です。

 通常、成人はリピトール10mgを1日1回服用します。その成分「アトルバスタチン(atorvastatin)」は、肝臓でのコレステロールの合成を抑えます。コレステロールの生合成は夜間に亢進するので、夕食後の服用が効果的とされます。リピトールは、重い肝臓病の人は使用できません。病状を悪化させたり、副作用が出ることがあるためです。また、肝臓病、腎臓病、甲状腺機能低下症、筋ジストロフィー、酒量の多い人、高齢の人などは使用に注意が必要です。まれな副作用ですが、筋肉が障害を受ける「横紋筋融解症」になることがあります。服用して、足のふくらはぎなどに筋肉痛が現れたら、すぐに受診する必要があります。

 心筋梗塞を起こす危険性を低下させるために、リピトールなどのスタチン系薬剤は服用されるもので、喫煙習慣、肥満、高血圧、糖尿などがあることが服用の条件といっていいでしょう。コレステロール値が多少高いだけで、前述のリスク要因が少ないのであれば、必ずしも服用を必要としません。心筋梗塞の発症の少ない日本人女性では特に服用する必要は少ないともいわれます(久山町研究では、1年に1000人中1人弱の死亡例。男性でも2人弱)。


(注)「年齢調整死亡率(人口10万対)」は、年齢構成の異なる年次間で死亡状況の比較ができるように年齢構成を調整した死亡率です。年齢調整死亡率を用いれば、年齢構成の相違を気にすることなく、より正確に年次比較をすることができます。(注終わり)
(注) 高血圧の状態が続くと、心臓の筋肉が太くなり壁が厚くなって、負担に耐えようとしますが、心臓の肥大が進み、心臓が大きくなりすぎると、筋肉が伸びきって負担に耐えきれなくなり、十分に収縮できなくなります。これが「高血圧性心疾患」です。(注終わり)
(注)心疾患は、心臓の疾患の総称で、「心臓病」とも言います。心疾患には、狭心症、心筋梗塞などがあります。脳血管疾患は、脳の疾患の総称で、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血などがあります。(注終わり)

 妻には、喫煙習慣がなく、基準値が-15.9~13.2である「肥満度」では3.2、基準値が90~139である「最高血圧(収縮期血圧)」が118、糖尿もありません。しかし、LDL-C(LDLコレステロール)の基準値が70~139であるところが、169mg/dl。妻はこの数値を心配しますが、このケース、コレステロール低下薬であるスタチン系薬剤の服用は必要ないといえるでしょう。HDL-Cの基準値が45~75であるところが、79mg/dl(日本人間ドック学会の判定区分では、HDL-C 40~119mg/dLを「異常なし」としている)。LDL-Cが高く、HDL-Cが低ければ、危険信号が出たと考えるべきでしょうが、ともに高いのです。

 「大阪府八尾市住民検診の追跡調査」(1997年に日本疫学会学術総会で大阪府立健康科学センタ-内藤義彦部長(現在は武庫川女子大学(兵庫県西宮市にある)の生活環境学部食物栄養学科教授)が発表)は、大阪府立成人病センター集団検診部が八尾市の住民約1万人を検診して、その後約11年間追跡したコレステロール値別の死亡率の研究ですが、それによると、総死亡率は「コレステロール低値群」で高く、コレステロール値の上昇とともに低下する傾向にあるのです。総死亡率が一番低かったのは5つに区分されたコレステロールの高い方から2番め「総コレステロール 240~279mg/dL」でした。異常なしと判定される総コレステロールの基準値は「140~199mg/dL」(日本人間ドック学会の判定区分)であるのに関わらずです。



 これは、コレステロール値が低いと、抵抗力が落ちて肺炎や結核などの感染症にかかりやすいことと、血管壁が弱くなって脳血管障害(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)を起こしやすくなることが死亡率に反映されていると考えられています。また、コレステロールの量が不足すると細胞膜が弱くなり、癌を招きやすいとも言われ、癌死亡率はコレステロール値の低下に反して上昇していきます。一方で、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)での死亡率はコレステロール値の上昇とともに増加していきます。

 どうしたらいいのでしょうね。平成23年の全死亡者の28.5%は、「癌」(悪性新生物)で亡くなっています。全死亡者のおよそ3.5人に1人は癌で死亡したことになるのです。一方で、心疾患で亡くなるのは、15.5%。これはおよそ6.5人に1人です。危険度からいうと、心疾患を恐れてコレステロール値を薬を使ってまで下がることはないとも言えます。しかし、これを女性だけのデータにすると、癌で亡くなるのは24.1%(男性は32.5%で、-8%近い差がある)に対し、心疾患で亡くなるのは17.5%(高血圧性心疾患を除いていない。男性は13.9%で、+4%近い差がある)です。6.5%ほどの差に縮まります。



 しかし、平成23年人口動態統計月報年計の「性・年齢階級別にみた主な死因の構成割合」を見ると、「悪性新生物」によって亡くなる中年女性は40%ほどもいることがわかります。それに対して、心疾患による死亡は10%にも及びません。心疾患による死亡は「還暦(60歳)」を過ぎてから、増加してくるもののようです。

 妻にはこう言います。「LDLコレステロールの数値が高くても気にする必要がないよ。医者の勧めに従うことはないさ。君は充分食生活に気をつけているからね。」

 いや、ちょっと待ってください。この話しは妻が私に伊藤園のトクホ、「スタイリースパークリング」を買ってきたことから始まっています。心配すべきは私の身体でした。モノグルコシルヘスペリジンが中性脂肪の気になる年齢に達している私に効果があるかについて調べていたのです。話しが逸れてしまったので、次回に仕切り直しです。続きます。

(参考)「トクホって? チュウセイシボウって? モノグルコシルヘスペリジンって?(1)

(参考)特保って? チュウセイシボウって? モノグルコシルヘスペリジンって?(2)

(参考)特保って? 中性脂肪って? モノグルコシルヘスペリジンって?(3)

(参考)「スタイリースパークリング」という飲み物と「モノグルコシルヘスペリジン」

(参考)禁煙? 運動? モノグルコシルヘスペリジン? そしてフラミンガム心臓研究(1)

(参考)コレステロールには、悪玉も善玉もなく、人体に欠くことができない物質(1)

(参考)コレステロールには、悪玉も善玉もなく、人体に欠くことができない物質(2)

(参考)家族性高コレステロール血症とHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系薬剤)

             (この項 健人のパパ)

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