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「国立感染症研究所 感染症情報センター(IDSC)」のサイトの「インフルエンザウイルス分離・検出速報 2009/10シーズン(季節性+AH1pdm) 」のページによると、「2010年第35週(8/30-9/5)~2010年第39週(9/27-10/3)(2010年10月7日現在報告数)」で、新型インフルエンザ(AH1pdm)のウイルスが10県から43例分離・検出されたと報告しています。沖縄県が9例と多く、報告例の21%になります。次いで、5例の福島県、4例の千葉県、神奈川県、3例の静岡県、奈良県と続いていきます。
しかし、検出されるインフルエンザウイルスは、A型(AH3亜型)の方が多く、16都県から72例報告されています。これも沖縄県が16例とと多く、報告例の22%になります。次いで、9例の千葉県、8例の奈良県、7例の熊本と続いていきます。B型(ビクトリア系統株)は例年と同様少なく、5県から5例報告されています。
インフルエンザウイルスの分離・検出例は122例で、A型が全体の59%、新型(AH1pdm)が35%を占めていることになります。海外に渡航中に感染して、帰国後発症した「輸入例」は、122例のうちの12例で、A型(AH3亜型)が6例、新型(AH1pdm)が5例、B型(ビクトリア系統株)が1例報告されています。
インフルエンザウイルスを感染した細胞内に閉じ込めて増殖を阻止する「ノイラミニダーゼ阻害薬」である「オセルタミビル(oseltamivir、経口薬、商品名「タミフル」)」は、中外製薬から供給されています。中外製薬は、「新型インフルエンザが大流行した前季に引き続き警戒が必要」として、今季(2010年10月~2011年3月)は前季並みの1,240万人分を生産したそうです。
新型インフルエンザが大流行した昨シーズンの患者数は約2,000万人で、「インフルエンザ治療薬」を供給する4社は、2010/2011年シーズンに備えて約2,300万人分の治療薬を供給する態勢を整えたようです。ザナミビル (Zanamivir、吸入薬、商品名「リレンザ」) は「グラクソ・スミスクライン社、ラニナミビル(Laninamivir、吸入薬、商品名「イナビル」)は「第一三共」、ペラミビル(Peramivir、点滴注射薬、商品名「ラピアクタ」)は「塩野義製薬」がそれぞれ供給します。
この4種の「ノイラミニダーゼ阻害薬(Neuraminidase inhibitors)」にはすべて“-amivir”という接尾辞がついていますが、“-vir”という接尾辞は「抗ウイルス薬」につき、“-ami-”はノイラミニダーゼ(Neuraminidase)に由来します。なお、オセルタミビルの商品名「タミフル(Tamiflu)」は、“oseltamivir”+influenza”に、ザナミビルの商品名「リレンザ(Relenza)」は、“relieve influenza”(インフルエンザを緩和する)に由来しているようです。
インフルエンザに感染する可能性を低くするには、手洗い励行、人込みでのマスク着用などの対策とともにインフルエンザワクチンの接種が必要です。感染しても、ワクチン接種で免疫がついていれば、症状が軽く済みます。そこで、インフルエンザの本格的なシーズンに入る前に、我が家では昨日、いつものように、インフルエンザワクチンの接種を受けてきました。
インフルエンザワクチンは、「財団法人化学及血清療法研究所」(化血研)、「学校法人北里研究所生物製剤研究所」(北里)、「財団法人阪大微生物病研究会」(微研)、「デンカ生研株式会社」(デンカ)の4社が製造していますが、私たちが接種されたのは、「化血研」のロット番号「L45B」というもの。
費用は、大人用に0.5mlで1人3,000円、12歳になった我が子「健人」に0.3mlで2,500円(1回目)で、合計3,000×2+2,500×2(子供は免疫が大人と比べてつきにくいので数週間あけて2回接種)=11,000円となりました。注射は痛くはなかったのですが、財布には痛かった。妻は「あら、3,500円のところもあったのよ。予約がいらないから、そっちにしようとも思ったんだけどね。かかりつけの小児科になんとか無理を言って、今日の予約が今日とれたのよ。」と言い、1,000円以上の節約に満足げです。
我が家には、身体が丈夫とは言い難い「健人」がいるので、感染症には警戒し、ワクチン接種のおかげか、または普段の感染症に対する予防対策(帰宅時の手洗い励行、人込みでのマスク着用など)のおかげか、ここ10数年、インフルエンザに感染しないで済んでいます(感染しても症状にでない場合(不顕性感染)があるから、「発症」していないというのが正しいのでしょう。発症の度合は、体調の異変を感じないところから死に至るところまであり、連続しています)。
厚生労働省のサイトに「新型インフルエンザワクチン接種事業(平成22年度)に関するお知らせ」というページがあり、次のように書かれています。
知っていただきたいこと~インフルエンザワクチンのメリットと注意点
発症や重症化などをある程度防げますが、100%ではありません。インフルエンザウイルスが体の中に入って細胞で増える(感染)と、数日後に熱がでたりのどが痛くなったりするインフルエンザの症状があらわれます(発症)。ワクチンには、この発症をある程度おさえる効果がみとめられています(感染したら必ず発症するわけではなく、症状がでないまま済んでしまう人もいます)。
また、かかっても重症になる(肺炎や脳症などの重い合併症があらわれること)のを防ぐのに一定の効果が期待できるほか、まわりの人に感染が広がるのをおさえる効果も期待できます。
【注意】ワクチンだけで100%、新型インフルエンザを防ぐことができるわけではありません。「ワクチンをうったから、もう大丈夫」「絶対に新型インフルエンザにかからない」と考えず、手洗い、せきエチケットなど、基本的な対策とあわせて、新型インフルエンザの予防に努めてください。
「新型インフルエンザワクチン接種事業(平成22年度)に関するQ&A」というページには、次のようなQ&Aが書かれています。
(問7)昨年、新型インフルエンザにかかった人でも、インフルエンザワクチンを接種したほうがいいですか?
新型インフルエンザに対する免疫は、ワクチンを接種すること以外に、実際に新型インフルエンザにかかることでも獲得されます。平成21年度に新型インフルエンザにかかった方は、すでにいったん免疫が獲得されたと考えられますが、時間がたつにつれ、抗体価(免疫力をあらわす指標のひとつ)は少しずつ低下していきます。このため、今年度もインフルエンザワクチンの接種を受けられたほうが、免疫力は高まると考えられます。
ワクチンを接種しても抗体価の上がらない(免疫がつかない)人がいます。抗体価を上昇させることは、ウイルスを侵入させないためと侵入を許しても身体中に広がせないために必要です。 しかし、人の身体はいろいろのようです。私は花粉症で毎年、花粉の飛ぶ時期にはくしゃみ、鼻水などで悩まされます。花粉症が広く知られていなかった頃は、毎日のマスク姿に怪訝な顔をされたこともありました。私は、ウルシの木に近づくだけでウルシにかぶれますが、ウルシの木の枝を手にしてもかぶれない人もいます。抗体価の上がらない体質の人にはワクチン接種は効果がありません。ワクチンを接種したのに感染して重症化したという事例もありうるわけです。
ワクチンを接種して抗体価が上がったとしても、インフルエンザに感染しないという保証はありません。免疫には「細胞性免疫」と「体液性免疫(液性免疫)」の2つがあります。抗原(インフルエンザウイルス)を認識して結合する働きを持つ「抗体」が血清中に溶解して存在する「液性免疫」は、「不活化ワクチン」を接種することで獲得できます(できることが多い)。しかし、この免疫は長持ちしません。ワクチン接種後、徐々に低下し、5か月ぐらいで効果を発揮しなくなるようです。日本のワクチンはこの不活化ワクチンです。
これに比べ、ウイルスの毒性を弱めて接種する「生ワクチン」は「細胞性免疫」も同時に獲得すると言われています。細胞性免疫は長持ちします。インフルエンザに感染すると、当然この細胞性免疫をも獲得します。徐々に低下するとしてもかなり長く存続します。そこで、「今年度もインフルエンザワクチンの接種を受けられたほうが、免疫力は高まる」という表現になっていると思われます。
現在はアメリカでのみ使用されている点鼻スプレー式のインフルエンザ弱毒生ワクチン(Live Attenuated Intranasal Vaccine 、LAIV)の「フルーミスト(Flumist)」は、2歳から5歳までの幼児を対象に行った2004/2005年シーズンの大規模な研究では、注射式のワクチンと比べ、インフルエンザ感染率が半減したと報告されています(注射式ワクチンの接種群と点鼻式ワクチンの接種群でインフルエンザ感染率を比較した。“In a study of kids 2 to 5 years of age, compared to the flu shot, FluMist cut the risk of getting the flu in half. 出典は製造販売元の「メドイミューン(MedImmune)」社のサイト)。
(参考) 「点鼻インフルエンザ生ワクチン」も日本で使われるようになるのでしょうか。」
(この項 健人のパパ)
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