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 新型インフルエンザの発生・流行時には、必要なワクチンが迅速に供給されることが必要です。それには、有効性と安全性の高い新型インフルエンザワクチンの迅速な開発と製造のできる体制を確立することが急務です。厚生労働省は、「新型インフルエンザワクチンの開発・生産体制整備臨時特例交付金に係る基金(「新型インフルエンザ基金」)」を用意し、「一般社団法人未承認薬等開発支援センター(「PDSC」)が、助成金を交付することになりました。

 厚生労働省は、2010年7月6日に、新型インフルエンザワクチンの開発・生産体制の整備に向け、「財団法人化学及血清療法研究所」、「学校法人北里研究所生物製剤研究所」、「財団法人阪大微生物病研究会」(これに「デンカ生研株式会社」を加えれば、インフルエンザワクチンを製造している国内メーカー4社になる)、「武田薬品工業株式会社」、「株式会社UMNファーマ」、「テルモ株式会社」の6社に交付金を助成すると発表しました。

 交付金の詳細について、UMNファーマのニューズリリース(2010年07月07日、『厚生労働省の「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業(細胞培養法開発事業)」に採択されました』)を見てみます。

 株式会社UMNファーマ(本社:秋田県秋田市、社長:金指秀一、資本金:24億8,471万円)の細胞培養法開発事業が、平成22年7月6日付で厚生労働省医薬食品局血液対策課が公募していた「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業」に採択されました。
 今回の助成事業は、ワクチン開発の現状と今後の予定、工場設置準備の現状と今後の予定、ワクチンの国内での承認経験などを新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業評価委員会が総合的に評価し選定されたものです。この採択結果を踏まえて、未承認薬等開発支援センターが交付決定額を評価し、約33億円を上限として助成金が当社に交付される見込みであり、ワクチン生産施設工事費および工事事務費、関連設備整備に必要な消耗品費・備品費・委託料、スケールアップした生産施設の設計費として支弁されます。
 本助成事業で建設する生産施設は、鉄骨造3階建、延床面積は約3,000㎡で、今後決定する臨床推奨用量やワクチンの抗原タンパクの収量にもよりますが、年間数十万~数百万人分のワクチン原薬の製造を見込んでいます。今後、さらに多くの国民の皆様にワクチンが供給できるような製造スケールの実生産工場の整備を進め、生産を拡大していく予定にしております。
 当社の組換えインフルエンザワクチン(H5N1株) UMN-0501はすでに第Ⅱ相臨床試験を終え、国際的に使用されている、インフルエンザワクチンの有効性の評価基準を満たす免疫原性が確認されています。当社代表取締役社長 金指秀一は、「今回の厚生労働省からの助成金を有意義に活用させていただき、世界的な流行が懸念される高病原性鳥インフルエンザ(H5N1株)の流行に備え、生産施設の整備を迅速かつ着実に進めてまいります。」と述べております。


 このUMNファーマと化学及血清療法研究所、北里研究所、武田薬品工業の4事業実施団体は、細胞培養法開発事業で交付金が支給されます。昨年度第2次補正予算などで約1190億円を確保している厚生労働省は、国立病院機構三重病院名誉院長「神谷齊」を座長とする「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業評価委員会」の評価結果を受けて、助成金の交付先を最終的に採択したものです。

 「細胞培養法開発事業」は、細胞培養法を開発することにより、現在の鶏卵培養法では1年半~2年を要する全国民分の新型インフルエンザワクチン生産期間を約半年に短縮するための事業で、(1)実験用生産施設整備事業(2)増殖性試験等基礎研究実施事業がまず実施されます。今回の助成金の対象は実験用の施設を整備する事業で、実際に生産する工場の整備では新たに事業が公募される予定です。

 鶏卵培養法での生産能力強化等を図るための製剤化施設拡充等事業である「鶏卵培養法生産能力強化事業」では、化学及血清療法研究所に交付金が支給されます。厚生労働省によると、1か月当たり約250万人分の生産能力が来年度中に増強される見込みといいます。

 新型インフルエンザワクチンの有効性や安全性を高めること又は早期に供給することに資する「第3世代ワクチン」の開発等を推進するための基礎研究実施事業である『「第3世代ワクチン」開発等推進事業』では、鼻にスプレーしたり(点鼻ワクチン、アメリカで既に実用化)、肌にシートを貼り付けたりする新しいタイプのインフルエンザワクチン(「第3世代ワクチン」。注射に比べて痛みがなく、簡便で効果も高い)の実用化を支援するもので、今年度の第2次補正予算案などで50億円を計上しており、「経鼻投与ワクチン」を開発する阪大微生物病研究会と「皮内投与ワクチン」を開発するテルモに臨床試験の費用などを補助して、3年後の実用化を目指しています。



 「アストラゼネカ(AstraZeneca PLC)」社は、イギリスのロンドンに本社を置く、売上高世界6位(2008年、年度によって順位は変動)の製薬企業です。アストラゼネカは、2007年にアメリカの「メドイミューン(MedImmune)」社を買収し、傘下に収めました。メドイミューン社は、点鼻スプレー式のインフルエンザ弱毒生ワクチン(Live Attenuated Intranasal Vaccine 、LAIV)「フルーミスト(Flumist)」の製造をしており、このフルーミストはアメリカでのみ認可を獲得していましたが、新型インフルエンザ(H1N1型)向けにも開発しており、アメリカで認可されれば、2010年9月には販売開始される見通しで、ヨーロッパでは2011年半ばまでには導入されると見られています。

 テロの手段として、「天然痘」などのウイルスが使われることも予想され、国家の安全保障として、ワクチンを国内で必要量をすべて製造できる体制を確立しておくことは必要と思われます。強い毒性を持ったウイルス感染症に対処できる体制は、テロを想定しなくとも整えておかなければならないでしょう。2009年~2010年シーズンに起こった「新型インフルエンザパニック」は、毒性の弱いウイルスであったので、結果としては、「いわゆる水際作戦・学校閉鎖等、感染症拡大防止対策の効果の限界と実行可能性を考慮し、感染力だけでなく致死率等健康へのインパクト等を総合的に勘案して複数の対策の選択肢を予め用意し、状況に応じて的確に判断し、どの対策を講じるのかを柔軟に決定するシステムとすべきである。」(平成22年6月10日、厚生労働省「新型インフルエンザ(A/H1N1)対策総括会議報告書」から)という反省も生まれていますが、「流行の初期においては、病原性や感染力等疫学情報が不明又は不確かな場合が多いので、万が一病原性が高かった場合を想定し、最大限の措置を選択せざるを得ないことに留意が必要である。」というのも確かだと思われます。

 「サノフィ・パスツール(Sanofi Pasteur)」社のプレスリリース「初の皮内インフルエンザワクチン「Intanza/IDflu」がEUで承認」(2009年2月26日)を見てみます。
 サノフィ・アベンティスグループのワクチン事業部門であるサノフィパスツールは、欧州委員会が初の皮内マイクロインジェクションによるインフルエンザワクチンを承認したと発表しました。このワクチンには接種の際の利便性や使いやすさといった利点があり、それにより欧州での接種率の向上に寄与するでしょう。この季節性インフルエンザを予防する新ワクチンは、“Intanza/IDflu”として販売される予定です。
 今後、“Intanza/IDflu”は EU諸国で季節性インフルエンザ予防ワクチンとして成人(18歳以上)および高齢者(60歳以上)に接種されます。サノフィパスツールの社長兼CEO であるウェイン・ピサノ(Wayne Pisano)は「“Intanza/IDflu”の承認取得は、最適なワクチン接種方法のひとつとして、皮内経路を認知させる重要な一歩です。」と述べています。
 “Intanza/IDflu”ワクチンの承認は、7,000人以上の成人(18歳以上)および高齢者(60歳以上)を対象にした臨床試験をもとに、2008年12月に欧州医薬品庁(EMEA:European Medicines Agency)から肯定的な見解が示されたことによるものです。これらの臨床試験では、安全性と免疫応答性が評価され、EMEAが定めた基準をすべて満たしました。
 この使いやすく革新的な充填済み皮内マイクロインジェクションワクチンは、季節性インフルエンザの予防に対して標準医療を向上する目的で開発されました。ウェイン・ピサノは次のように述べています。「“Intanza/IDflu”は、高い効果と安全性から、臨床試験で接種された成人や高齢者に広く受け入れられました。また、インフルエンザウイルスの抗原投与を容易にすると報告されていることから、医療関係者から高く評価されています。また患者さんにとっても接種時の違和感が少ないため、“Intanza/IDflu”によって接種率が向上し、より多くの人を疾患から守り、命を救えると期待されます。」
 

(注)皮内マイクロインジェクション(intradermal microinjection system) では、皮膚の真皮層に抗原を投与します(administer the antigen into the dermal layer of the skin)。経皮(trascutaneous)、皮内(intradermal、ID)、皮下(subcutaneous)、筋内(intramuscular)と深くなり、「皮内」は、表皮(epidermis、0.12mmほど)、真皮(dermis、2mmほど)、下皮(hypodermis、0.08mmほど)、脂肪組織(adipic tissue、6.5mmほど)、筋肉(muscle)と層をなす人体の「真皮」に薬液などを到達させます。

               (この項 健人のパパ)

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