ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

fou fou

2012年02月10日 | 芸術

 

先日「レオナール.フジタ」のドキュメンタリーをBSでやっていた。例によって、タレント(今回の場合は女優の寺島しのぶ)が足跡をたどるという作りでどうしたものかと思ったが、興味が勝り見ることにした。見てみると、本人は本当にフジタに関心があるようで、いつものような嘘っぽさはなくその点では良かった。唯反面、思い入れが強い場合、同じように感じてる人にとっては良いのだが、そうではない人にとっては鬱陶しく感じるという危険性がある。自分だけの「レオナール.フジタと私の物語」だ。しかし今回はそれほどではなかったので、この手のドキュメンタリーでは良いほうではなかったかと思った。

で、fou fouというのが、フジタの愛称でお調子者という意味というのを今回初めて知った。フジタの綴りもfujitaではなくfoujitaで、当然そこからfouをとっているのだろうし、フランス語の発音でフジタとなるような綴りでもあるし、今まで知らなかったことが今回いろいろ分かった。それにしても今までずっとfujitaだと思っていた。考えてみればこれだと確かにフュジタになってしまう。

本物に関しては、嘗て一般家庭で見たのが唯一のフジタ体験だ。日常空間にフジタがある風景。それは猫の素描で、所謂フジタホワイトではなく、黒い線で描いただけのものだったが、猫(フジタの好きなモチーフ)の形(フォルムと言えばより尤もらしい)とか紛れもなくフジタの描いたものだったと記憶している。因みにその作品は、その後葬式のごたごたの最中紛失(要するに誰かが盗んだ)してしまった。あの時くれればよかったのに、と思った人は多かったろう。

戦争画を描いたということで随分批判されて、結果日本を去りフランスに永住してしまったのだが、フジタが一番嫌ったのは、多分日本の権威主義的な画壇であったのではないかと番組を見ていて思った。日本で偉そうにしていても海外では全く評価されないのが当時の日本の洋画であることを考えると(今も体質的には変わらない)、フジタに対しては相当な嫉妬羨望を感じていたであろう。

 

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