カフェのT君が、ガレット用に違う蕎麦粉がないかと
言っていたので、じゃあ蕎麦屋さんから分けてもらお
うかとこちらが提案して、今度持ってくるよ、という
ことになった。
そこで早速、いつもの蕎麦屋に行き主人に頼んだ。
田舎蕎麦用の蕎麦粉をわけて下さいな、と。
主人は快く承知した。
「おーよ、好きなだけ持って行きな」とは言わないが、
500グラムほどいただいた。
そこで「いくらになります?」と聞くと、「いいよ」
と言う。
「T君が普通に払うんだから、普通に請求してくれれ
ば」と言ったが主人は「いいよいいよ松本イイヨ」と
言う。
そこで私は「じゃあ、T君に主人専用のガレット券で
も発行してもらって、ということにしますか?」と提
案した。
主人も「ああ、それでいいよ」と言った。
場面は変わりT君のカフェ。
「蕎麦粉貰ってきたよ」(私)
「ああ、ありがとうございます、でいくらです?」(T君)
「なんか、いいってよ」(私)
「ええっ、それじゃ悪いですよ」(T君)
「ということになると思ったから、主人専用のガレット券
発行で話はつけてきた」(私)
「ああ、そうですか」(T君)
当然、そんな券があるわけではなく、T君手書きのもの
を作ってくれれば良いということなのだ。
カフェラテなど飲んで暫くまったりしていると、T君が
蕎麦粉のガレットを試食用に出してくれた。
そう言えばまだ試食してなかった。
デザート用の基本の、バターと砂糖のガレットだ。
砂糖は、グラニュー糖で良いんじゃない、とアドヴァイ
スしたっけ。
見栄えを考え、粉砂糖も振りかけてあるが、グラニュー
糖のじゃりっとした食感がアクセントになり、なかなか
いける。
一度だけ、リュクサンブール公園の屋台で食べたことが
あり、その砂糖の効果が印象に残っていたのだ。
「T君、問題ないんじゃないの」(私)
「ええ、まあ」(T君)
まだ、何やら不満があるようだ。
「もう少し、皮がぱりっとしたほうが、っていうこと?」
(私)
「そうなんですよ」(T君)
そもそも違う蕎麦粉を探していた理由も、そのことがあ
るから。
「でも、充分許容範囲だよ、それに持ってきた蕎麦粉を
使えば改善されるとも思わないし」(私)
荒挽きの蕎麦粉で、香りは間違いなく強くなるが、荒挽
きだからぱりっとするかとなると、それは別問題という
気がする。
「それより焼き方じゃないの、器具の問題もあるし、薄
さとか温度とか」(私)
「やっぱりそうですかね」(T君)
「専用のフライパンだと、縁があるから、そこで蒸発し
た水分が停滞して蒸らし状態になるからじゃないの、つ
まり構造的な限界だよ」(私)
「なるほど」(T君)
と、一見論理的な尤もらしい理屈を言って感心させて、
ちょっと気分良くなった私であったが、T君殆ど口から
出任せだから。
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