ricetta della vita

イタリア料理教室「COMODO」主宰 
美味しい話をしましょう

ぐら~~っつぇ

2009-08-02 | イタリア語
初めて訪れたカプリ島での出来事。イタリアそのものも初めてだったので、私には何もかもが新鮮だった。なかでも、とりわけこのカプリ島は思い出深い。写真をとったり景色を眺めたりうろうろしていたとき、それは目の前で起こった。

狭い小道に観光客や滞在者が行き交っていた。そこで、無邪気に遊ぶ推定年齢5、6歳の男子を発見。だいたいにおいて子どもってものはまっすぐに歩かないし、興味の赴くまましゃがんで小動物かなにかを追いかけたり、果てはなぜかその小動物に視線を合わせようとしたりするものだが、その子もそのようなことをしていたのだと思う。まあ、ここまでは、子どもの行動って世界どこでも同じだね、で終わるのだが、その子の後ろにはベビーカーを押した上品なシニョーラがいらっしゃった。

シニョーラは前に進みたいが道幅が狭くて男の子を追い越せない。「ぺ~るめっそぉ~」「すく~ずぃ~」(暑さも手伝ってやや間延びした感じで)と何度言っても男の子はイタ語がわからないらしく、シニョーラからは暑さのせいではない湯気が垣間見える。すると、男の子の母親(前を歩いていた)が彼を呼び、それでやっとシニョーラが進むことができた。

そのときシニョーラが言い残した「ぐら~~っつぇ」にちょっと吹き出してしまった。だって、その言葉は男の子はもう母親と一緒に前方に行ってしまったし、じゃあ誰に向かって「ぐら~~っつぇ」って言ったのかというと、きっと自分に向かってだね。日本語でいうところの「はいはいどうも」みたいな感じといったらわかるかな?やっと行ってくれたわよ、ホントにもう!という気持ちが伝わってきたね!

単純な話だが、「grazie」がすべて上機嫌で発せられるわけじゃないということを学びました。その後、イタ語を学習するようになり、「Mamma mia」にもいくつか種類があって声の調子だけでどんな気持ちで言っているかを判断しろとテキストに書いてあったっけ。やはり、イタリア語の音の響きっておもしろすぎです!!!


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2 コメント

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本当言葉のニュアンスだけはどんなに勉強しても、... (がっちゃん)
2009-08-03 08:10:08
本当言葉のニュアンスだけはどんなに勉強しても、身に付かないことの一つです。
例えばハイだって、
「ハイッ」って言えば元気良い感じだし
「はーーーい」っていうのも呼びかけに応じるときも使えば、イヤイヤやるの
「は~い」もアリだし。
「ハイハイ」の二度もネガティブなときもあれば、相槌としてもありえますものね。
このシニョーラの感じはまさにおっしゃる通りだと思います。
まさに「やれやれ」ですね。
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がっちゃんさん こんにちは (永とも)
2009-08-03 22:39:31
がっちゃんさん こんにちは
このエピソードは、私がイタ語を始めた理由のひとつかもしれません。シチリアやローマでさえも英語が通じなかったことがもちろん大きいのですが、現地の人(みな日本にいたら絶対に遭遇しないようなキャラクターばかり!)に多分毒されたんだと思います(笑)。
まあ、このシニョーラみたいな人も探したら日本にもいるかもしれませんが、“カプリ島と勝手気ままな子どもとイラつく上品なシニョーラ”の構図というのはそうそう味わえない体験でしたし、どんな状況でどんなふうに言葉が出るのかネイティブじゃないからこそ近づきたいと思うんですよね~。
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