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No1057『ボクたちの交換日記』~お笑いに賭ける熱い思いがストレートに響く~

ぼろぼろ泣いた。
最近映画を観ては泣いてばかりいるけれど、単純に泣けた。

小出恵介がいい。
ウッチャンこと内村光良監督の第2作目ということで、
情に流されないか心配していたが、
ぐいぐい引き込まれ、最後は涙が止まらなかった。

お笑い芸人の物語。
高校時代からコンビを組み、12年が経つ二人。
30歳を目前にしても、鳴かず飛ばず。
コンビの存続を賭け、お笑いコンテストに挑戦する。
勢いに乗って準決勝まで進むが…。

一緒に夢をかなえるんだという、二人の強い思い、絆が、
映画の前半でしっかり伝わってくるからこそ、
二人が別れてからの思いのやりとり、
交換日記に託した、言えなかった本当の思いが、痛いほどに伝わる。

どちらも相手に惚れこみ、
一緒に舞台に立ち、人を笑わせたかったのに、やれなくなってしまったつらさ。

交換日記という言葉のやりとり、かけあいのおもしろさが、
意外にも、映像ともマッチしていた。
彼らの本音を聞かされつつ、せっぱつまった状況の中での切実な思いも伝わり
言葉と映像の相乗効果が生まれていたような気がする。

小出恵介の自由奔放な芸人ぶりと、
伊藤淳史のシャイでまじめな芸人ぶりがちょうど対照的で、いいコンピになっている。
相当に練習したであろう、お笑いのシーンは、結構笑えた。

夢を追いかけ続けたい、諦めたくない…それは、誰もが思っていること。
それでも、どうしても、家族があったり、
夢をあきらめなきゃしかたがない時だって来る。
それでも、夢を追い続けるか、諦めるか、それはその人の選択。
でも、たとえ諦めても、いろんな形で、違う形で、また夢はかなうんだと、映画は教えてくれる。

小出恵介が、一見、コンビでは目立つ側、ひっぱる側でありながら、
実は、シャイな部分、卑屈な部分を抱え、自信がなかったりする。
そういう複雑な感情を、小出が、みごとに演じていて、
自分の才能を信じたいし、ずっと続けたいけれど、
このままでいいのかという迷いがリアルに伝わる。

二人が緑あふれる公園で練習する風景がすてきだ。
伊藤が、ひとり泣きながら、道路のフェンスにぶち当たるシーンもいい。
二人のいろんな思いが、あふれだして、観ているこちらの胸をいっぱいにする。

音楽のいささかもりあげすぎが気になったり、
脚本の最後の展開に、うーん、こう来るかとひっかからなかったわけではない。
それでも、
若い二人のさわやかな熱演に、誰もが心奪われるにちがいない。
ぜひ、若い人たちに観てもらいたい作品。

冒頭、二人が交換日記を始めることになるくだりが好きだ。
相手のポストに日記帳を書いては投函する。
この日記帳もただの大學ノートで、
マジックで「ボクたちの交換日記」と書いてあるだけの、
飾り気がないところがいい。

交換日記は、小出の思いつきなのだが、
伊藤は全然乗ってこない。
「交換日記をやって、普段、面と向かっていえない本音を言い合おう」と書いても、
伊藤からは、
「難しいです」
「いやです」
と一言しか返ってこない。
このそっけない反応を読んで、
思わず、ポストを殴ったり、蹴ったりする小出の動作がいいし、
テンポよく展開していくリズムが楽しい。

FUNKY MONKEY BABYSの主題歌「サヨナラじゃない」もいい歌です。 
3月23日から全国一斉公開です。

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