goo

No1056『わが人生3つの失敗』~夢を追いかけて~

インド映画。原題の『Kai Po Che』とは、
凧あげをした時に、ほかの凧と競って、
相手の凧の糸を切った時に叫ぶ言葉だそうだ。

踊りあり、歌ありのボリウッド映画とは、ひとあじ違ったヒューマンドラマ。
3人の青年の友情、夢、喧嘩、和解といろんな要素を、
インドのグジャラート地方を舞台に
2001年に起きたインド西部地震(死者2万人)や
ヒンドゥ教徒と、イスラム教徒間の確執で
2002年のヒンドゥー教徒の乗車する巡礼帰りの列車が、イスラム教徒によって焼き討ちされた事件や
その報復に、ヒンドゥー教徒が、イスラム教徒の店舗、住居等を無差別に襲撃し、死者2,000人に達したという
グジャラート暴動など
実際の事件を踏まえて、社会情勢が緊迫する中で描いていく。

3人は、クリケットが大好きで、
クリケットの用具を売るお店を開き、クリケットの選手養成所をつくろうと夢を抱く。
資金づくりや、地震や、いろんな困難にへこみながらも、
励ましあって、少しずつ夢の実現へと近づいていく3人の姿がリアルに描かれる。

イシャンという、クリケットの元選手が、短気でわがままで、欠点だらけで、
そばにいたら、振り回されて、さぞ大変な存在だけれど、憎めない。
おじさんが議員候補になるオーミも、堅実家のゴヴィンダも、
イシャンにあこがれている。

そんなイシャンが、イスラム教徒の中に、才能ある選手として見つけたのがアリ。
イシャンとアリとの絆、アリを守ろうとするイシャンの思いが、
クライマックスで、ドラマを大きく盛り上げていく。
ヒンドゥー教徒のイシャンとゴヴィンダが、イスラム教徒のアリを
暴動の中、守ろうと必死になる。
イシャンの姿は、新しいインドのイメージを体現した姿ともいえる。

この映画でも、『GF*BF』と同じように、
最後、10年くらい、時間の経過をとばして、現代になっている。
小さな少年だったアリは青年になっていて、打席に立つ姿がまぶしいし、
観客としては、そこに、イシャンの姿を重ねずにはいられない。

自分が遂げられなかった夢を、アリに託すイシャン。
アリが、試合で活躍した時の、くしゃくしゃの笑顔が写真のとおり。
情熱を失わないことのすばらしさに息をのむ快作。

野球好きとしては、
クリケットがどういう競技のルールは、よくわからなくても、
投げたボールに向かって、思い切り打つという場面が同じなら、興奮は高まるばかりだった。
インド代表のクリケットチームを、ラジオやテレビで町中の人たちが応援していて、
みごと、窮地をしのいで、オーストラリアに勝った時、
皆が喜び、歌い騒ぐ光景が印象に残った。
スポーツは国を一つにするというのは、何処も同じ。

インドのベストセラー小説『The 3 Mistakes of My Life』の映画化で、
邦題は、そこからとっているようだ。
私の能力不足で、3つの失敗というのが、いまひとつよくわからなかった。

英題は『Brothers …for life』。
このほうがしっくりくるような気がする。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 春間近…また一... No1057『ボク... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。