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No1262『グッド・ライ~いちばんやさしい嘘~』~強くあること。優しくあること。~

艱難辛苦にぶつかった時、
内なる自分をどこまで強く持てるか。。。
それは、きっと、自分が強いことではなく、
自分と誰か、何か、との絆を
どこまで強く信じられるか…だと思った。

大地との絆、自然との絆、祖先との絆でも、
映画の神様、音楽の神様、自分にとっての神様との絆でも、
家族、恋人、友人との絆でも、
なにか、自分の核たるものとの絆を
強く信じられたら、
きっと、どんな状況でも、自分を保てるはず…と
この映画を観て、あらためて思った。

1983年スーダンの内戦で、
両親も住む家も失い、難民キャンプで育った若者3600人を、
アメリカ各州に移住させるという計画が
2000年にアメリカとスーダンとの協力で生まれ、
そこでの実話を基にした物語。

監督が、私の大好きな『ぼくたちのムッシュ・ラザール』(感想)の
フィリップ・ファラルドーということで観に行った。

深い人間味あふれる、とてもいい映画で、何度も涙が出た。
映画の日ということで、
こんなマイナー映画に来るのは、シネコンでは少数で、
レイトショーはひとり客が大半だったが、
少し離れた席の、知らないお兄さんも鼻をすすったりしていて、
こういう映画こそ、たくさんの人に観てほしいと思った。

アメリカでのお話の映画かと思いきや、
映画は、17年前に遡り、スーダンでの子どもの頃から始まる。

いきなり、内戦で、両親を失い、砂漠の中を、
何百キロも、歩いて隣国に逃げようとする。
途中、病気で幼い弟を喪ったり、
鉄砲を向ける兵士に遭遇して、必死で逃げたり、
飢えと乾きで、大変な目にあいながらも、
兄弟と、兄弟のように仲良くなった仲間たちとの、
数人でのサバイバルの逃避行が続く。

この前半での子ども時代の大変な体験を、
丁寧に淡々と描いているからこそ、
後半、アメリカで、彼らが、
異文化の中で、幾つもの困難にぶつかりながらも、
自分を保ちつつ、どう生き抜くか、
その生き様、心のありようが伝わり、
みごたえがあった。

とりわけ、主人公の青年マメールと兄との思い出は
涙をおさえられない。

兄弟、家族、先祖との絆を誇りに大切にして、
決して見失わない。
他人にやさしく、純粋で、正義感が強く、
聖書を大切にし、神様を信じる
彼らのありようは、尊くみえた。

出演者たちの顔がだれも魅力的で魅かれる。
内的に豊かな魅力を感じさせる顔ばかり。

アメリカに移住した3人の青年と、うち一人の姉。
彼らを演じた役者も、実際に、スーダンの難民だったり、
少年兵にさせられたりしていたそうで、
だからこその風格だろうか。

とりわけ、3人の一人、ジェレマイアの
無口で、落ち着いていて、動じないたたずまいは、すてきだった。

アメリカの受け入れ側の人々もすてきだ。
彼らに仕事を紹介するキャリーを演じる
リース・ウィザースプーンはもちろん、
脇役で、牧場をやっているジャック役の
コリー・ストールの温厚でおだやかな表情。

前半が、しっかりと後半への重みへとつながっていくヒューマンドラマ。

豊かな生き方とは、なんだろうか。
最後のマメールの選択について、深く考えさせられた。

 

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