映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
No696『歓待』~来訪者の登場により、きしみ始める家族の姿~
2011-03-06 / 映画
ぼーっとしていたら、
あっという間にアジアン映画祭が始まってしまった。
舞台は、東京下町の従業員1名の小さな印刷屋。
亡父が世話になった知人の息子加川がある日いきなりやってくる。
この加川の登場の仕方も、ふらっと掲示板に近づいてきて、という感じでおもしろい。
つかみどころのない、それでいて、気もきくし、話もうまく、
得体のしれないキャラで、非常にユニーク。
いつしか仕事を手伝ってもらうことになり、住み込みになり…、
主人公小林にとって、
若い妻の夏希と小さな娘エリコ、出戻りの妹清子との穏やかな生活が、
どんどんかき乱されてゆく。
エリコが前妻の娘だったり、夏希にもいろいろ事情があったりと
加川の登場により、家族の込み入った事情もしだいにわかってくる。
と同時に、加川が何を考えているのかが、わからず、
サスペンスのようで、引き込まれる。
加川たちが一家にもたらしたのは、
災いのようにみえて、実は、考え方を変えるいい機会だったのか、
いかようにも解釈できるエンディング。
とにかく、脚本が見事で、
クライマックスの大騒ぎに達した後の、方の付け方については
両論あるだろうが、
早朝、ひとりちゃぶ台につっぷした小林の長回し、
玄関に歩いてくる音、引き戸が開き…と
映画の終わり方は、余韻があって、とてもうまい。
家族という人間関係を中心に
昔ながらのつきあいが残る近所の人たち、地域全体へと視点も広げる。
地域をとりまく浮浪者、外国人に対する地元の意識も
冒頭での会話のあちこちにしのびこませておいて、
クライマックスではじける。
夏希と、義妹とはいえ年上の清子とのぎくしゃくした関係など、
人間関係のきしみを、それとなく感じさせる演出の見事さ。
青年団という平田オリザの劇団員が多数参加していることもあり
役者の演技力は抜群。
舞台となる印刷工場は、東京下町の墨田区で
輪転機の音も、映画の中で、見事に生かされる。
1階と2階という家のつくりを生かした物語の展開と演出も見事だし、
インコの使い方もうまい。
『東京人間喜劇』に比べると、
社会性を盛り込んだり、よりわかりやすく、テーマもはっきりしていて、
きっとより多くの観客に満足してもらえる作品。
(でも、監督自身の本来の趣向や好みは、『~喜劇』のような
もっとつかみにくくて、得体の知れない人間性の深い部分かもしれない)
いやはや職人肌の上手い監督さんが現れた。
3月8日火曜の午後9時から上映あるほか、
4月から東京で公開され、全国でも順次公開の予定だそうです。
乞うご期待。
あっという間にアジアン映画祭が始まってしまった。
舞台は、東京下町の従業員1名の小さな印刷屋。
亡父が世話になった知人の息子加川がある日いきなりやってくる。
この加川の登場の仕方も、ふらっと掲示板に近づいてきて、という感じでおもしろい。
つかみどころのない、それでいて、気もきくし、話もうまく、
得体のしれないキャラで、非常にユニーク。
いつしか仕事を手伝ってもらうことになり、住み込みになり…、
主人公小林にとって、
若い妻の夏希と小さな娘エリコ、出戻りの妹清子との穏やかな生活が、
どんどんかき乱されてゆく。
エリコが前妻の娘だったり、夏希にもいろいろ事情があったりと
加川の登場により、家族の込み入った事情もしだいにわかってくる。
と同時に、加川が何を考えているのかが、わからず、
サスペンスのようで、引き込まれる。
加川たちが一家にもたらしたのは、
災いのようにみえて、実は、考え方を変えるいい機会だったのか、
いかようにも解釈できるエンディング。
とにかく、脚本が見事で、
クライマックスの大騒ぎに達した後の、方の付け方については
両論あるだろうが、
早朝、ひとりちゃぶ台につっぷした小林の長回し、
玄関に歩いてくる音、引き戸が開き…と
映画の終わり方は、余韻があって、とてもうまい。
家族という人間関係を中心に
昔ながらのつきあいが残る近所の人たち、地域全体へと視点も広げる。
地域をとりまく浮浪者、外国人に対する地元の意識も
冒頭での会話のあちこちにしのびこませておいて、
クライマックスではじける。
夏希と、義妹とはいえ年上の清子とのぎくしゃくした関係など、
人間関係のきしみを、それとなく感じさせる演出の見事さ。
青年団という平田オリザの劇団員が多数参加していることもあり
役者の演技力は抜群。
舞台となる印刷工場は、東京下町の墨田区で
輪転機の音も、映画の中で、見事に生かされる。
1階と2階という家のつくりを生かした物語の展開と演出も見事だし、
インコの使い方もうまい。
『東京人間喜劇』に比べると、
社会性を盛り込んだり、よりわかりやすく、テーマもはっきりしていて、
きっとより多くの観客に満足してもらえる作品。
(でも、監督自身の本来の趣向や好みは、『~喜劇』のような
もっとつかみにくくて、得体の知れない人間性の深い部分かもしれない)
いやはや職人肌の上手い監督さんが現れた。
3月8日火曜の午後9時から上映あるほか、
4月から東京で公開され、全国でも順次公開の予定だそうです。
乞うご期待。
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