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No1178『闇のあとの光』~不可解で不思議な世界~

この週末、久しぶりに新作から時代劇、旧作と
何本も映画を観た。
暑がりなので、夜、半袖を着ていて風邪をひいた。
暑いような寒いような、
でもやっぱり寒いのに、汗だくとくるから、
夏風邪は扱いにくい。

土曜日、十三の七芸に『闇のあとの光』を観に行った。
公開初日に行くのは、どきどきする。

メキシコのカルロス・レイガダス監督。
一言でいうと、
こんな風変わりな映画をよく公開できたなあと思った。
カンヌ映画祭で監督賞を受賞しているとはいえ、
物語を描くことを排し、映像勝負という感じで、
私のような、のんきなお客は寄せ付けない…。
シネフィル好み?の作風。

次々とスクリーンで展開していく映像は、
美しい世界もあれば、何これ?というような映像もある。
(一番強烈で、私がついていけなかったのは、サウナのシーン)
「サイケデリックな狂詩曲」というコメントが的確な気がする。

映像の端が、にじんだような、ゆがんだような
独特の映像。
きれいではあるが、いまひとつゆがみが気になった。
観ていて、少し、置いてきぼりにされた感じ。

映像にもっと魅力を見いだせれば、
ついていけたのだろうが、
正直、私は・・・・よくわからなかった。

ただ、雷の音はすごいと思う。
冒頭、3,4歳の少女が、広い平原を
犬や牛の群れの中を、行ったり来たりする。
キャメラは、少女の姿を、同じ高さで追いかける。
そのときの、夕方、だんだん暗くなる空やあたりの風景の感じや、
遠くで雷が鳴っている感じは、すごくリアルで
心に残っている。

真っ赤な角の生えた悪魔のような何やらが
部屋に入ってくるアニメのシーンも
怖いけれどきれいだった。

映画が終わって、外に出て、
「こんなん、私には、わからへん!」と
思わず、ひとりで、背伸びをしながら
独り言で叫んでしまったら、
少しすっきりした。

わるくはない、たぶん、よくできた作品なのだろうけど、
私には、理解及ばなかった。

ちらしに掲載されていた監督のインタビューの言葉で、
「私にとって写真、絵画、映画そして音楽とは受けとめる芸術だと感じる。
それと違い、文学や演劇は示すものだ」

「視覚の個人的体験は音楽の個人的体験と同様にとても強力なものだ」

とあった。なんとなくわかるような気がした。
文学ではなく、音楽に近い映画なのかもしれない。
思い切り不協和音が連続した音楽…。

帰り道、夕方でも、まだ明るく、天気もよかったので
久しぶりに、十三から大阪まで歩いて帰ることにした。

こういう気分になるのは、
映画がよかった時で、後味に浸りたい時。

本作についても、いろいろ書いたが、後味はわるくなかったということ。

金曜日のライブの余韻や、
今見た映画のわけのわからなさなど
いろんなものを、心の中でふわふわさせつつ、
空中庭園ビルまで歩いた。

写真は、十三大橋。
いつもは、道路の右手を歩くけれど、
初めて左手を歩いた。

この橋は、いつもとてもすてきで、
すぐ横を阪急電車が行ったり来たりする。
轟音をたてて通り過ぎていくのも、心地よく、
京都線、神戸線、宝塚線と、
電車が一斉に重なるようにして走っていくのは
とても映画的。

電車が過ぎ去ると、一瞬の静寂が広がり、
自動車の走行音も、気にならなくなる。

橋梁の向こうを過ぎ去る人も自転車もきれいにみえる。

川向うに梅田のビル街が見えて
大阪に住んでいてよかったと思うような、
ちょっとしたすてきな風景が広がる。

 『親密さ』の夜明けの橋を男女が歩くシーンは、
この十三大橋でもできるなあと、いつも思う。

コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (さきたろう)
2014-06-19 01:40:13
十三大橋の開放感、いいですね。
今度渡るときは、右側を歩き
気が向いたら橋のたもとを下ってください。
チャップリンの壁画、覚えてるでしょ。
以前紹介した、高架下です。
というのも、いよいよ中津再開発で高架下一帯が
立ち退きを迫られているようで。
レトロな下町の風景を目に焼き付けておくのも一考かと。
阪急中津駅のどんつきを右へJR貨物船沿いを歩けば
空中庭園もすぐです。

http://nakatsu-pierrot-harbour.jimdo.com

風邪、大丈夫ですか。
夜更かしは控えめにして、
はやく治してくださいね。
 
 
 
Unknown (さきたろう)
2014-06-19 01:43:20
JR貨物船www
 
 
 
お礼 (ぱらぱら)
2014-06-19 22:46:05
コメントありがとうございます。
いつもは、十三大橋の(大阪に向かって)右側を歩くので(野球の練習してるのも見れるし)、ぜひ中津も行ってみます。
帰りしか歩く気にならないので、そのためにも、いい映画を上映してもらわなければ、ですね。
JR貨物線の下は、空中庭園ビル近くで、横切っただけですが、ちょっと不気味な感じで、女の子のにぎやかな笑い声が聞こえてくる居酒屋かカフェみたいなお店があったり、おもしろい感じでした。
今度、早めの時間にうろうろしてみます。

風邪、心配かけてすみません。書いてると、とりあえずは元気が出てくるので、書きたい映画もたまっているしずーっと書いていたいのですが、本当に寝なきゃ治らないですね。
 
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