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No784『太陽の季節』~つっぱった若者の存在感~

長門さん特集の1本。
石原慎太郎が芥川賞を受賞した短篇小説の映画化で、
小説のヒットとは逆に、映画の評価はあまり芳しくないよう。
でも、主演の長門裕之と南田洋子の存在感は逸品だと思う。

洋子さんは、お人形のようにきれいで
二人とも、裕福な家庭の息子と娘という設定。

若者たちが街で女の子に声をかけ、
バーでお酒を飲んだり、ダンスしたり、
海でヨットに乗ったり、とそんな浮かれ騒ぎの中で
二人は出会い、恋に落ちる。

はじめは、自信たっぷりで、
愛を自覚できなかった少女が
ふとしたことから、本気で青年を愛し始める。

青年は、そんな彼女を、かえって、うっとうしく感じ
別の女性とつきあったり、冷たい仕打ちを続ける。

青年も、本当は好きなのに、素直に表現できない。
そんな意地っ張りな思いを、長門が、みごとに表していて、
冷たく、乾いた感じにみえながら、
純情で、熱い思いを、身体の底に押し隠している。

すれちがいに終わる恋。
南田さんの、りんとした存在感。
ガーベラの花のように、美しく誇らかにすっと立っていて
でも、暖かくて弱いものも内に抱えている。
女性ゆえの強さと、
はかなさ、か弱さとが、混在した感じ。

そういう微妙な青春の時期を迎える若者たちの
肉体、表情を二人がみごとに体現している。

南田がはじめて愛に気付いたという
ヨットのシーンのきれいなこと。

今週、忙しくて、平日、映画が観れなかったので、
日曜に観た本作のギターの哀しく激しいメロディーが
ずっと頭の中でこだましている。
白黒の世界に息づく
二人の不思議な存在感は、海の音とともに、不思議に心にやきついているのだった。

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