goo

文楽~舞台という名の宇宙を垣間見る~

数年ぶりで文楽を観た。
幕見席という、最後列の1、2列の両脇わずか16席。
ここだけは、1時間から2時間、1,000円から1,500円程度で
約4時間半の文楽の一部、何幕かだけを
楽しめる。

この幕見席を初めて利用したが、
意外によかった。
文楽は背丈60センチ程度の小さな人形だし
動かす人形遣いの表情もみえないから
おもしろさは半減と思っていた。
ところが、
舞台袖の太夫と三味線とは
ちょうど対角線上、最も遠い席になるが、
逆に舞台全体の空間を感じることができると発見した。

ここにあるのは、動の美学というより静の美学。
人形が、感情極まり、動きが止まる、
あるいは、スローモーションのようなゆっくりとした動きになったとき
逆に、人形の内面のこころの激しい動きが
どれだけ観客に伝わるか、
いい舞台なら、三味線、太夫、人形遣いの3者がつくりあげる
世界、宇宙に観客も入り込める。

だから、太夫が数人並んだ幕よりも
太夫1人、三味線1人の方が私は好きだ。
まさに一騎打ちという凄みが出る。
言葉に頼らぬ美の追求。

初めて文楽を観た友人が
意外におもしろかった、と顔をほころばせて言った。
太夫の唸る義太夫節がお経の響きに似ていて、
年をとるほど、好きになる人が多いのもわかるとも。
新しい世界を見つけて楽しんでもらえることほど
うれしいことはない。

幕見席はなかなか空いていないかもしれないが
これ以外に、2等席というのが2,800円であって
正面の最後列2列だそうだ。
これなら、映画2本分。

再発見の小さな楽しみ。
また機会を見つけて、いってみようと思う。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« No631『雷桜』... No632『クロッ... »
 
コメント
 
 
 
Unknown (えどやん)
2010-11-05 21:09:22
私も1日に第1部「嬢景清八嶋日記」「近頃河原の達引」を見てきました。お猿さんが飛び回ってましたよ。
今回は比較的動きは少なかったですが、もう見て聴くだけで贅沢です!
 
 
 
えどやんさまへ (ぱらぱら)
2010-11-06 00:06:13
コメントありがとうございます!
「見て聴くだけで贅沢」との言葉、そのとおりですね。久々にあの空間に身をおいて、また足を運びたくなりました。映画ファンで文楽もお好きな方を見つけて、とてもうれしいです。
1部では私の好きな吉田蓑助さんと桐竹紋壽さんが出ておられるので、夜の部に入れ替わったら幕見席か2等席で、挑戦してみようと思います!
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。