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等身大のライブ~それぞれに思いを込めた演奏の数々~

土曜の晩、もうひとつのライブに出かけた。
「月の夜に会いましょう」と題して、
西宮のMusic Bar TREK。

阪急高架下の小さなこじんまりとしたお店は、
手作り感いっぱいのあたたかな空間で、
ギターの弾語りから、シンセサイザーの弾語りまで、
生演奏ばかりで、個性豊かな歌い手さん達が奏でる、
色とりどりの音楽世界を楽しんだ。

歌は、聴き手と演奏者、歌い手さんとのいわば共同作業。
演奏者は、聴き手がいることで、聴いてもらうことで、
向こう側、音楽の世界にたどり着ける。
本番の力。
歌の向こうに、夕陽だってみることができるはず。

歌い手さん、それぞれに物語があって、
曲に込めた思いが、演奏の合間に語られる。

音楽というのが、
その人の日常の生活、日々の暮らしの中から、
生まれてくるものだということを、あらためて感じた。

朝、起きた時に聞いた雨の音が歌になる。
メロディにつながることのすてきさ。

カバー曲もあれば、自作の歌もある。
それぞれの曲を聴いているうちに、
ふと、夕方の商店街のざわめきを思い出した。
夜のとばりが下りてくるまでの、あたたかなひととき。
コロッケをほおばったり、八百屋をのぞいたり、
てづくり感いっぱいの演奏を聴くのは、ちょっとそんな商店街にいる気分に似ている。
いろんなお店があるように、いろんな曲の世界がある。
あちこちをのぞいているうちに、
身体の力みが抜けて、
自然やさしい気持ちになれる…。

私のような一観客から見たら、
舞台の上の演奏者たちは、
いわば、“音楽に愛されてしまった人”。
音楽が、その人を支える一部になっている。

性同一性障害のシンガーソングライターのERENAさん。
女性でいられることの嬉しさを、ストレートに歌いあげる。
それぞれの曲が、ERENAさんの人生経験の中で紡ぎあげられてきたもの。
私の好きな曲は「それぞれの神様」。

Panasmileさん。
音楽を愛する心、曲に込めた熱い思いが伝わる。
初舞台で極限まで緊張してても、歌詞がとばなかったSmileさんは
きっと今日いちばんの頑張り屋さんのヒロインだ。
客席からみえないエールを送ったけれど、届いただろうか。
切ない歌が心にしみる。
届かない思い、届けたい思いの狭間で揺れる私を見つけた。

生演奏のあたたかさは、音楽の醍醐味。
緊張感も、生演奏ならではの、得難い何か。
客席のひとりひとりに、歌を届けたいという思いが
痛いほどに伝わる。

日曜の生誕祭のように、
踊りやすい、のりのりの、いけいけどんどん、のライブもいいし、
こういう小さくて静かなライブもいい。
ちがった形で、客席と演奏者が、あたたかな音楽の世界を共有し、一緒に楽しむ…。
音楽への熱い思いは変わらない。

私はライブが終わって、あわてて帰ったけれど、
あれから、演奏者たちの中で、セッションが生まれたとのこと。

打ち込みもいいし、生演奏もいい。
観たいのは、聴きたいのは、人と人、人と音とのぶつかりあい、融合する姿だ、きっと。
やっぱりライブは生きものだと、実感したひととき。

そういえば、日曜のライブで、
ロックのような激しい曲を、打ち込みをバックに、
ひとり舞台で歌った女性ボーカリストのCOSTAさん。
カバー曲をふくめ、知らない曲ばかりだったが、
夢をかなえるために、
東京に行く時にいつも聴いている曲です、と言って
カバーで歌ってくれた曲は、
そのお話が導入になって、すっと心に入ってきた。

曲についてのちょっとした話が、音楽と観客との橋渡しをしてくれることがある。
そこに人間を感じるからなんだろうなと思う。

やっぱり音楽っておもしろい。

(写真の、ちらしの上の、青い花の折り紙は、
Panasmileさんから観客一人ひとりへのおみやげ兼お手紙。
お花を開くと、ライブに来てくれたことへの感謝の気持ちが、
きれいな手書きの文字で書かれていた。
てづくりのあたたかな気持ちを感じ、心がいっぱいになりました)

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