映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
No1421-4『幸福なラザロ』と『ROMA/ローマ』の旅~ラザロ篇。人の心の美しさと醜さ
遠くに行きたい。
どこか知らないところに旅に出たい。
と思いながら、大阪にいますが、
まじめに早く起きれたので、
京都の出町座で、再見したい映画が2本とも上映されるということで、
行ってきました。
1本目は『幸福なラザロ』。
最後の、バッハのコラールが流れるところは、もう涙があふれてたまりません。
終わって、セカンドハウスで、遅いランチを食べてから、
鴨川の川べりで、休憩しました。
川のせせらぎの音、
とんびがやたら鳴いていて、
あちこちで、いろんな人が語らう声が風に乗って届き、
目の前の新緑が眩しいくらいに目に映り、
頭の中では、映画の中で最後に流れた
バッハのBWV 721コラール「おお主なる神、われを憐れみたまえ」
https://youtu.be/k3CNS2iK790
が、ずっと鳴り響いていました。
そして、ふと鞄の傍らをみたら、
桜の樹の折れたのが落ちていて、
ラザロのパチンコを思い出さずにはおれなかったです。
写真だけ撮って、その枝は置いていったのですが、
もう一本映画を観てから、
やっぱり思い出にほしくて、
薄暗くなったところ、探しにいったら、見つかりました。
ポケットに入れて帰ったら、ラザロみたいだなあと思いながら、
鞄にしのばせて、電車で帰りました。。。
映画の教会のシーンで演奏されている曲が知りたくて、
耳を凝らしたのですが、知らない曲でした。
エンドロールの、音楽の曲名が出てくる画面に目を凝らし、
かろうじて読み取れたのが、「BWV853」。
これは、ラザロとタンクレディが歩くシーンで繰り返される曲です。
平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第8番 変ホ短調 BWV853
再見して、
やはり、ラザロの立ち尽くす姿が心に残りました。
雨の中、タンクレディを置いてきたことが気になって、
まるで自分を罰するかのように立っている。
教会で音楽を聴いたあとも、心ここにあらずのように立ち尽くしている。
そして、最後の銀行で、
狼とラザロが、まるで目と目が合うようなショットが繰り返され…。
タンクレディの真っ赤なジャケットは派手すぎて、荒野に似合わず、
道化師のような存在に思え、
だましたり、ひどいことばかりしてるけど、憎めない。
人の醜さ、邪悪さも、この映画はしっかり描いています。
なけなしのお金をはたいて、高価なケーキを買っていったアントニアが、
落ちぶれたタンクレディの妻に、ケーキを差し出すところは、
ただもう、アントニアも、ラザロの影響を受けたとしかいいようがなく、
この映画の象徴するのが、慈悲というか慈愛のこころだと思います。
現代の狭苦しい住処で、ドアのところで、お月さまの代わりに鍋の底を上げ下げして、
狼の遠吠えが聞こえたところの、
時代が交錯するシーンは、涙がでるほどに美しく、
たとえ現実が救いようがなくつらくても、
人のこころには美しさがあって、
いつでも、別の美しい世界とつながっていると信じさせてくれる、
そういう気がしました。
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