映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
No1422-2『幸福なラザロ』と『ROMA/ローマ』の旅~ROMA篇 毎日が冒険…
2019-05-20 / 映画
映画を観に行くって孤独な試みだなあと、
出町座のスクリーンを前に、
腕組みしたり、思い思いに映画が始まるのを待ってるお客さんの姿を見て思う。
でも、映画にどっぷり浸って、
映画館を出る時、
映画の中の登場人物のありようや風景が心に深く刻まれ、
ささやかな出会いができたような気がして、
さみしさがまぎれる。
出町座で『ROMA/ローマ』を観終わって外に出ると、
ちょうど、商店街を、
「御霊祭り」(ごりょうまつり)の神輿(みこし)が
威勢よく通り過ぎていくところだった。
映画の中でも、よく主人公の家の前を
パレードが通り過ぎたり、物売りや、いろんな人が通り過ぎていたから、
なんだかシンクロするものを感じて、嬉しかった。
河原町通りにでると、車の通行規制をしていて、
次の神輿が、90度方向転換して、
狭い出町商店街へとに曲がって入って行くところだった。
その後ろを、神官のような服装の老人が二人、
馬に乗ってついてきていて、パトカーもいた。
パトカーの人が、何か指摘するかのようにメガホンでものを言うので、
道路を見たら、
アスファルトの上に、何やらいくつも馬の糞が落ちていた。
なんだか映画みたいだわと思ったら、
和装の男の人が、あわてて、ほうきと袋を持って出てきて、
手際よく、糞を掃いて、ちりとりに入れて、片付けていた。
きっと馬が街中を歩くお祭りでは、必ずこういう人がいるのだろう。
大事な仕事だと思うと同時に、
映画の中でも、家政婦の少女クレオが、
雇用主の飼い犬が車庫に落とす糞を掃除していて、
これまた不思議なシンクロがおもしろかった。
この映画では、店で流れたり、画面の中の音楽を除いて、
全く音楽がつかわれておらず、街の音がすごく心に残る。
映画の冒頭のシーンは、タイルというよりは、コンクリートで、
最初、何も写っていない。
でも、水がまかれることで、水たまりができて、
初めて、空が水面に映し出されることに、再見して気が付いた。
なんだかこの感じがすごくよかった。
空が映しだされる瞬間、
さらに水がまかれて、空が壊れる瞬間に居合わせる気がした。
全く音楽がつかわれておらず、街の音がすごく心に残る。
映画の冒頭のシーンは、タイルというよりは、コンクリートで、
最初、何も写っていない。
でも、水がまかれることで、水たまりができて、
初めて、空が水面に映し出されることに、再見して気が付いた。
なんだかこの感じがすごくよかった。
空が映しだされる瞬間、
さらに水がまかれて、空が壊れる瞬間に居合わせる気がした。
大好きなのは、海のシーンだ。
車窓から、最初に海が見えたとき、
子ども達が皆、海へ行きたいと言って、
車窓から、最初に海が見えたとき、
子ども達が皆、海へ行きたいと言って、
母は、願いを聞き入れ、車を浜辺へと乗り入れる。
一斉に海へと駆けよっていく子ども達。
まさに、ああ、海が見えるよ!!!という気持ちがあふれる。
映画は、波が大きな音をたてて打ち寄せるのを
丁寧に描きとっていて、次のシーンを予感させる。
このクライマックスの海のシーンの前の、
夕食のシーンが重要な展開になる。
一斉に海へと駆けよっていく子ども達。
まさに、ああ、海が見えるよ!!!という気持ちがあふれる。
映画は、波が大きな音をたてて打ち寄せるのを
丁寧に描きとっていて、次のシーンを予感させる。
このクライマックスの海のシーンの前の、
夕食のシーンが重要な展開になる。
母は、3人の男の子と1人の女の子たちに、
言わなければいけないことがあると前置きして、
あることを告げる。
子ども達は、父の不在が決定的になったことを知り、
涙ぐむ男の子もいれば、みんながしょんぼりしている。
言わなければいけないことがあると前置きして、
あることを告げる。
子ども達は、父の不在が決定的になったことを知り、
涙ぐむ男の子もいれば、みんながしょんぼりしている。
でも、母は力強く言う。
稼ぐために新しい仕事にも就いたし、冒険しよう!と。
この「冒険」という言葉がすごく心に残った。
稼ぐために新しい仕事にも就いたし、冒険しよう!と。
この「冒険」という言葉がすごく心に残った。
このあと、もう一つ、重要なシーンがある。
デザートのアイスを、家族が食べているすぐ向こうで、
結婚式が開かれていて、
幸せいっぱいの花嫁花婿が、楽しそうに仲間たちに祝福されている。
デザートのアイスを、家族が食べているすぐ向こうで、
結婚式が開かれていて、
幸せいっぱいの花嫁花婿が、楽しそうに仲間たちに祝福されている。
このとき、母は、自分も、数年前には、同じように楽しい結婚式を挙げたことを
思い出さずにはいられないという気がした。
もくもくと疲れた表情で、アイスを食べていて、
なんだか、まだもやもやしているような雰囲気。
思い出さずにはいられないという気がした。
もくもくと疲れた表情で、アイスを食べていて、
なんだか、まだもやもやしているような雰囲気。
そして、翌朝、出発前に、もう一度海に入りたいという子ども達。
波打ち際だけ、と言われたのに、どんどん海に入っていって…。
この波打ち際から海の中への長回しの長さもさることながら、
全部、逆光で撮っていてすごい。
抱き合う家族の向こうから、太陽の光が輝いているのが見える…。
波打ち際だけ、と言われたのに、どんどん海に入っていって…。
この波打ち際から海の中への長回しの長さもさることながら、
全部、逆光で撮っていてすごい。
抱き合う家族の向こうから、太陽の光が輝いているのが見える…。
帰りの車中、家族一人ひとりの顔が映し出され、
みな、どこかふっきれたような表情に見える。
家に帰ったとき、父親が持ち出しため、
本棚がないことに気付いても、
もう誰もしょげたりしない。
冒険だとはしゃいでいる男の子が可愛くて、
みな、どこかふっきれたような表情に見える。
家に帰ったとき、父親が持ち出しため、
本棚がないことに気付いても、
もう誰もしょげたりしない。
冒険だとはしゃいでいる男の子が可愛くて、
波が15メートルだったと祖母に語るそばから、
2メートルくらだと、兄に訂正され、
子ども達が仲良く旅の報告を祖母にしている。
クレオに、スムージーつくってとお願いしたり、
子ども達とクレオの距離がさらに縮まり、
クレオが大切な家族の一員になったことを感じる。
そうして、クレオは、いつものように屋上に、子ども達のシーツを干しにいって、
日常が始まる…。
2メートルくらだと、兄に訂正され、
子ども達が仲良く旅の報告を祖母にしている。
クレオに、スムージーつくってとお願いしたり、
子ども達とクレオの距離がさらに縮まり、
クレオが大切な家族の一員になったことを感じる。
そうして、クレオは、いつものように屋上に、子ども達のシーツを干しにいって、
日常が始まる…。
いつものように、飛行機が空をさえぎっていき、
観客は、冒頭とは、違った角度で、飛行機の音を聞くことになる。
観客は、冒頭とは、違った角度で、飛行機の音を聞くことになる。
人生は日常であり、日常は冒険でもある。。。。
起こってしまったことは仕方がない。受け入れるしかない。
でも、後ろを振り返っていても仕方ない。
新しい自分に、新しい毎日に、わくわくしながら向き合おう。。。
ということを映画は、それとなく教えてくれる。
映画の前半では、母は、随分長い間、精神不安定で、いらいらを抱えていた。
夫のことを嘆く電話を、息子に立ち聞きされ、思わず息子の頬を打ち、
クレオにも罵声を投げるシーンがある。
だからこそ、後半の妻の変わりぶりに涙する。
起こってしまったことは仕方がない。受け入れるしかない。
でも、後ろを振り返っていても仕方ない。
新しい自分に、新しい毎日に、わくわくしながら向き合おう。。。
ということを映画は、それとなく教えてくれる。
映画の前半では、母は、随分長い間、精神不安定で、いらいらを抱えていた。
夫のことを嘆く電話を、息子に立ち聞きされ、思わず息子の頬を打ち、
クレオにも罵声を投げるシーンがある。
だからこそ、後半の妻の変わりぶりに涙する。
再見して、長回しの多さに感嘆した。
冒頭も実は、固定カメラで水たまりの変化を長回しで映したあと、
タイトルロールが終わると、そのまま、カメラはゆっくりと上がって、
奥行きのある車庫を映し出し、クレオの姿をとらえたあと、
クレオが掃除道具を片付けて、歩いていくのをしばらく追いかけていく。
冒頭も実は、固定カメラで水たまりの変化を長回しで映したあと、
タイトルロールが終わると、そのまま、カメラはゆっくりと上がって、
奥行きのある車庫を映し出し、クレオの姿をとらえたあと、
クレオが掃除道具を片付けて、歩いていくのをしばらく追いかけていく。
ほかにも、部屋のあちこちの電気を消していく姿を延々と長回ししたり、
歩道を走っていく姿を追いかけた横移動も多かった。
歩道を走っていく姿を追いかけた横移動も多かった。
なんだかすごく濃密な時間を、
クレオや家族といっしょに過ごし、その変わっていく姿を見ていたような気がして、
クレオや家族といっしょに過ごし、その変わっていく姿を見ていたような気がして、
その軌跡は、深い感動とともに、私の心に刻まれた。
私も、この母のように、後ろをみることはやめよう。
私も、この母のように、後ろをみることはやめよう。
過去は過去。これからをつくるのは自分。
思わず過去を振り返りたくなったら、この映画のことを思い出そう。
この映画の思い出に浸るのは、しあわせな記憶にちがいないから。
思わず過去を振り返りたくなったら、この映画のことを思い出そう。
この映画の思い出に浸るのは、しあわせな記憶にちがいないから。
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