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No1422-1『ROMA/ローマ』~ある家族と家政婦の少女の再生の物語~

何日も前に観たのに、この映画のいろんなシーンがとても印象深く、
愛おしく思い出されるのは、なぜだろう。

GWの最終日に、和歌山の温泉に行った時も、
ぼーっと、この映画のことを思い出していた。

冒頭のショットから、
地面のタイルのような感じのところを映していて、
クレジットが流れる間、ずっと固定カメラ。
ブラシでこすって、掃除をしては、水が泡とともに流れてくる。
ここはお手洗いかなあ、なんて思ったりしてると、
水面に、一瞬、空がうつりこみ、
天井がないとわかる。
その空に飛行機が飛んで行くのが写って、その音もわずかに聞こえたりして、
おもしろい。
こちらが興味をもってのぞこうとすると、
それを妨害するかのように、
またざあーっとバケツで流したような水が泡とともに流れてきて、
水にうつった空をこわしていく。
この繰り返しもひきつけられる。

住み込みの家政婦の少女が、車庫を掃除しているとわかるのだけれど、
どうして掃除しているのかが、話の流れでわかってくる。

主人公の少女が働いている家が舞台で、
その家族は、父親、母親、息子たちと一人の娘。

父親が車庫に車で入ってくるシーンがすごい。
車が大きくて、車庫ぎりぎりで、
車体が壁をこすりそうになっては、バックする。
車の中で流れているのは美しいクラシックなのに、
運転の仕方は、強引で乱暴で、対照的。
車の運転の仕方で、その人を想像させるおもしろさ。

車から降りて、初めて登場した父親は、
車庫のあちこちに散らばる、犬のふんに怒り、
妻に当たり、
妻は、雇われ者の少女に当たる。。。

妻が、夫の出張を見送るときに
いきなり後ろから抱きつくシーンは、どきりとした。
2週間の出張だから、と手を離す夫。

妻が、やたら神経質な女性だと思っていたら、
夫は帰ってこなくなる。

この映画は、女性の映画でもあって、
妻が、ただの神経質な女から、
しっかりと働き、子ども達の面倒をみる母として
自立していく様がわかる。

少女が、妊娠したというくだりがもう一つのストーリーになる。
妊娠した相手は、知らぬ存ぜぬで、とおすひどい若者。
赤ちゃんのベッドを買いにいった先での学生運動、デモの喧騒と、
破水してかつぎこまれる病棟の緊迫感は、こわいほどだった。

そして最後の海のシーンはただもう圧巻。

監督が「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロンとわかり、納得。
強い女性を描くひとです。

ラストも余韻を残し、よかった。
主人公が、シーツかを干すために
屋上への階段をあがっていく。
初めて、カメラが、屋上のほうへと上がっていくなあと思ったら、
彼女は、屋上へいって、姿がみえなくなり、
カメラは、そのまま、階段や建物で切り取られた空をうつしたまま、
エンドロールが流れ出す。

飛行機が空をとんでいくのが見えて、冒頭のシーンを思い出させ、
街の音が聞こえて、深い余韻が残った。

 全く予備知識ゼロで行ったので、
イタリアのローマが出てくるのかと思いきや、
舞台はメキシコ。

観に行ったのは、5月3日。連休の真ん中。
のんびりやっていたら、
シネマート心斎橋の上映時間に間に合うくらいに家を出られず、
サンサン劇場でレイトがあるのを発見し、
久しぶりに行ったら、
チケットを機械で買うようになっていて、
機械音痴の私は、焦りながらも、スタッフに教えてもらってなんとか買えました。

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