映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
No1397『砂丘の敵』~捕虜をコックに認めるか~
知人からお借している「リュミエール・シネマテーク」のビデオの最後の1本(5本目)。
1941年、ヘンリー・ハサウェイ監督。(白黒映画です)
原題は『Sundown』。日没という意味で、邦題とはまるで違う。
5本のうち、私には、一番、ピンとこなかった作品。
でも、ジーン・ティアニー演じるジアがとにかく美しい。
男性諸氏なら、きっと彼女を観ているだけでいいかもしれない。
冒頭、小さな飛行機が東アフリカの上空を飛んでいて、
その下を動物たちが走っている。
ジアは洋服姿で乗っている。
陸地に降りると、原住民たちが丁重にお出迎えして、
ジアは靴を変えて、原住民たちに囲まれて歩いていく。
知らない間に、現地のエキゾチックな服装になっていて、
この人誰かしらとなる。
英軍駐屯地に着くと、
男たちは、みな、ジアの美貌にクラクラ。
ジアは、混血で隊商をやっていることがわかってくる。
駐屯地の司政官クロフォード(ブルース・キャボット)は、気の向くままのんびりやっているが、
ドイツ軍の武器が、原住民の間に出回り、きな臭くなっている。
新しく少佐(ジョージ・サンダース)が赴任して、上司になる。
クロフォードは、イタリア人の捕虜パリーニ(ジョセフ・キャレーア)の腕を見込んで、
コックとして自由に働かせていたが、
少佐は、来て早々、いちゃもんをつける。
捕虜は捕虜として閉じ込めておくのがルールと言う。
クロフォードもパリーニも抵抗するが、上司だから仕方なく従う。
でも、いろいろあったのち、
結局、少佐も理解して、コックとすることを認める。
パリーニも、腕をふるうのが生きがいなんて言って、3人が仲直りする。
パリーニの扱いをめぐる3人の言い合いがなんだかおもしろかった。
少佐が認めたのは、きっと自分も美味しいものを食べたいからではないだろうか。
クロフォードが、少佐に、この基地では、日没の時間が気分がいいとか言って、
二人が、寝椅子にのんびり座るシーンがいい。
映画は、このあと、原住民に反乱を起こさせようと原住民に武器を売る密売商人を
見つけるため、クロフォードが敵地に乗り込んで、捕まえられたり、
スパイや、銃撃戦へと派手に展開していく。
少佐が、最後、活躍するが、自らも命を落とす。
少佐の父親(サー・セドリック・ハードウィック)がイギリス教会の主教(司教)で、
最後は、その教会へと場面が移り、
聖歌隊が歌っているという終わり方がなんだか不思議な気がした。
「傷だらけの映画史」という蓮見重彦さんと山田宏一さんの対談本も一緒に貸していただき、
読んでみたが、お二人の会話も、この作品に関しては、
俳優や女優の話に終始していて、あまり映画の話に踏み入っていない。
白黒のカメラはきれいで、アカデミー賞に撮影と美術がノミネートされていた。
しかし、地理関係がよくわからず、どこで何が起こっているのかが不明で、
あまり話に入り込めなかったのが、ピンとこなかったわけの一つかもしれない。
【補足】
ジーン・ティアニーは、調べてみたら、ルビッチ監督の名作『天国は待ってくれる』のヒロイン役の女優さんでした!
主人公がパーティで一目惚れして相思相愛になり、いとこから奪うほどの美人さんです!
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