goo

No1399『タイピスト』~タイプライター早打ちアクションのおもしろさ!~

どもの頃、押入れの奥にあった古いタイプライターを見つけて、
文字を打つという行為にひどくあこがれた思い出がある。

この映画も、フランスの田舎の小さな小売店で、
ショーケースに飾ってあるタイプライターを、
夜半、こっそり、持ち出して、打ってみるという、
お店の娘ローズの姿から始まる。

テレビのドキュメンタリーで、
タイプライターの早打ち大会があったという事実に着想を得た、
女性を主人公にしたスポ根+ラブコメ。
とてもおもしろく、テンポもよいので、きゅっと引き込まれる。
気が強くて、少し変わり者で、頑固なローズがとても魅力的。

1950年代、フランスの田舎から地方都市に出てきたローズは、
小さな保険会社の社長秘書に応募し、採用される。
不器用で、ドジで、7日間の試用期間で解雇されそうになるが、
社長のルイに、タイプライターの才能を見込まれ、
大会で勝つことを条件に雇用が決まり、
ルイの個人指導のもと、特訓が始まる。

タイプライターの早打ちといっても奥が深い。
体力も要れば、たくさん本も読まなければならない。

オードリ・ヘップバーンの『マイ・フェア・レディ』を思い出す。
ローズの素質はぐんぐん伸びて、
いつしか、ローズはルイに恋をしている。
ルイもローズのことを気になりながらも、
恋することに臆病なルイは、ローズの気持ちに答えるどころか傷つけてしまう。

恋の行方も目が離せないが、
何よりおもしろいのは、タイプを打つというアクション。

パソコンと違って、
タイプライターは、一枚打ち終えたら、いちいち紙を入れ変えなければならないし、
改行のためにも、いちいち操作が要る。
この改行の操作に、焦ったり、急いだり、気持ちが表れて、観ていて、おもしろい。
大会で、大勢の女性たちが、ひたすらタイプを打つ姿や表情が楽しい。



ローズの衣装が、リボンやらワンピースやらとても可愛らしく、
女性には、胸キュンのデザインばかり。
髪型も、邪魔にならないようアップにしたり、リボンで止めたり
オシャレ心を刺激する。
大会に出場する女性たちのドレスも華やか。

ローズは、自己流で、最初、一本指で打っていたけれど、
ルイに、10本の指で打てと指導され、渋々、練習する。
タイプライターのキーに色を塗るだけじゃなく、
自分の指のマニキュアまで、キーと同じ色を塗るところがおもしろい。



ローズの試験採用が決まるシーンでの畳みかけるような映像のおもしろさ。
音楽も、少しトリュフォーの映画を思わせる。
男性ならこんな女性が現れたら、イチコロでしょう。

すてきなのは、世界大会。
舞台裏での、ルイがローズにささやく言葉を、
まわりにいたいろいろな国の代表の女性たちが、
それぞれの国の言葉で、ささやき、祝福する。
ルイの殺し文句もいい。

2012年の作品で、日本公開は2013年。
友達に薦められたけど、見逃していて、ずっと観たかった映画。

ルロイ・アンダーソンの哀愁たっぷりの名曲
"Forgotten Dreams"(→YouTube)が心をくすぐる。

予告編もぜひどうぞ→(YouTube

タイプライターを見たことがなく、イメージがわかない方は、
ルロイ・アンダーソンの楽曲"The Typewriter"(→YouTube)の演奏会で
タイプライターの実物が演奏に使われています。
とても楽しいので、ぜひご覧ください。
(この曲は、映画では使われていません。
でも、どこかで聴いたことがあるはず。
アニメの「トムとジェリー」か、はたまた、小学校の運動会かもしれません(笑))

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 無私というこ... 音楽の散歩道6... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。