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音楽の散歩道119「美しいピアノの軌跡」~辻井伸行さんのこと~

寝転がって本は読めるけれど、ピアノは弾けない。
最初に入院した時、
偶然、鞄にピアノのレッスンの宿題が入っていたので、
元気もあったし、五線譜をひろげて、熱心に音符を書き込んだりしていた。
2回目の入院では、単語帳まで持ち込んで、
コードを覚えようとしたり、
あふれる情熱だった。

しかし、退院して、
いつでも練習できる環境になると、
そんなガッツはどこへやら。

練習したいなあと思いながらも、
ごろごろ寝転がって、本の世界を徘徊。

今月になって、そろりそろりと練習を始めたら、
ワクチンのせいか、腱鞘炎の再発のきざしか、
手首がすぐ痛くなり、困ったものだ。

しかし、うまくなるためには、
初心に戻って、ハノン練習曲からだと
ネット動画で、ハノンの練習の仕方を検索していて、
ふと目に入ったのが、
ピアニスト辻井伸行さんの動画。

2009年のアメリカのヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで
日本人として初の優勝を果たしたときの
渡米から受賞までの過程を詳しく記録した動画が
YouTubeにあり、3部作を全部一気に見てしまった。

コンクールの課題に、
弦楽奏者4人との室内楽から、
指揮者のいるオーケストラとの協奏曲まであって、
辻井さんは全盲の身で、
どうやってタイミングとか、コンタクトをとるのか、
観れば観るほど、驚きだった。

演奏したあとの、
子どものように、純粋な嬉しそうな表情と興奮した声、
彼の奏でる音のきれいさとで、
なんだか目頭が熱くなることしきり。
アンコールで弾いた、自分で作曲した曲もすばらしい。
オーケストラで一緒に演奏している人たちや
観客の表情も心に残った。

一度観始めると、次々と観たくなり、
ちょうどテレビで、
森山良子さんの「ミュージックフェア」にも出演と知り、
しっかり観てしまった。

知人に、スケートの羽生くんの大大大ファンがいるけれど、
はまるって、こんな感じなのかなと少し思った。

にしても、いちど、彼の奏でるピアノを生で聴いてみたいものだ。
難曲よりも、彼自身が作曲した素朴な音楽が聴きたい。

頭の中に楽譜があるって、どんな感じか、
自分も、そういうイメージで弾いてみたら、
ちっとはうまくなれるかしら、
なんて無謀なことを思ってみた秋の夜長である。

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