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梅干しと塩~温泉旅その3~

「梅干しと塩です」
素泊まりで泊まった宿で、
朝風呂に入って、いそいそと荷物をまとめていると、
宿の主人が部屋をノックして、
小皿を手渡してくれた。


小皿には、梅干しと塩。
こんなこと初めてで、
素泊まりで、食事を提供しない代わりに、
せめて梅干しと塩で
旅人を送ろうという宿の心配りなのか。

それにしても、なぜ塩なのか
不思議に思いながら
梅干しを食べ、
塩をなめると、なぜか甘い。
こんな甘い塩があるのだなあと、ひとりで感激しながら、
きれいに食べなければと平らげた。

しかし、塩にしては甘すぎる、
これは砂糖かもしれないと思い、
バス停まで送っていただく時に、
宿の主人に尋ねたら、
あっさり砂糖だと言われた。

部屋数はそれなりに多いわりに、
連休終わりの平日とあって、お客は3名ほど。
四万温泉のどこもが、高級宿の中で、
素泊まりで安く泊まれた。

部屋にトイレがなく、共同トイレだからか、
さびれた感じが否めず、
漫画や文庫本がたくさん置いてあり、
湯治がメインの宿と思われた。

楽しみにしていた川べりにある露天風呂は、雨のため入れず、
内湯では、こおろぎが鳴いていて、
一緒に歌の練習をした。

草津から少し東寄りにある、
四万(しま)温泉にきたのは、
尊敬するエッセイスト川本三郎さんが
薦めていたから。

ひなびたところと思っていたが、着いてみて驚いた。
平日のランチだし、蕎麦でも川魚でもどこでも行けると思っていたら、
なぜかガイドブックに出ているようなお店は、
どこも大混雑で、行列。

かろうじて、入れた蕎麦屋が、
昼過ぎの閉店前の最後の一人。
幸運と思ったが、40分以上待たされた。

えらいこっちゃと思っていたら、
共同浴場は、ガラガラで、
温泉目当てではなさそうで、
ちょうど現代アートの
中之条ビエンナーレの会場になっていたせいだと
あとでわかった。 

宿は、温泉の一番奥にあり、
宿のご主人がバス停まで迎えにきてくれて、
夕食も、バス停そばの食堂まで
送り迎えしてもらい、とてもありがたかった。
食堂「あすなろ」では、ひさしぶりに
地元の名物の豚肉で、とんかつ定食を食べた。

昼に、散歩して、奥四万湖と、四万川ダムを見たが、
びっくりするくらいに高くて、
高所恐怖症の私はこわごわに写真を撮った。


いつか黒部ダムに行きたいけれど、
これで十分かもしれない。



奥四万湖は、
水量が多いと、もっとブルーになるそうだが、
グリーンでも十分美しく、
草津の湯畑のエメラルドグリーン色を思い出した。

5月頃の放流の前が一番美しい時期で、
15mは水位が上がると、もっと青く、もっと深くなるとか。
人気もなく、きれいなところでした。

 

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