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帰省第2弾~夏休みの宿題のお手伝い~

1週間前の日曜の夜だったろうか。
非通知でかかった電話をおそるおそる取ると、
こどもの声で、いきなり
「僕たち、今度の土曜日、◇◇(実家のある場所)に行くんだけど、
お姉さんも遊びに来れない?」と元気に聞こえてきた。
はじめは、面食らったが、
すぐ思い当たった。
お盆の帰省の時、会うことができなかった名古屋の甥っ子だった。
うしろで「ちゃんと名乗らなきゃ、わからないでしょ」と義妹の声が聞こえる。
いきなりのお誘いに、
タルコフスキーの『アレクサンダー大王』を元町映画館に観にいく予定が、
なんて思いがよぎりながらも、
「じゃあ、お姉ちゃんも会いたいし、がんばって帰ることにするわ」と勝手に言葉が出ていた。
「お姉ちゃん」といわれたからではないが、
こどもの口から、直接、「遊ぼう」とかいわれると、難しいとも言えないのが、
ひとりものの伯母の心境といったところだろうか。
いろいろ原稿の仕事が山積みで、半分、ひきつりながらも、
たいして何もできないまま
土曜の昼には着くつもりが、夕方になってしまった。

実家に着くなり、庭で遊んでいた甥っ子たちに会いに行くと
開口一番、「お姉さん、どうしてこんなに遅くなったの」と聞いてくる。
子どもは素直だから、
「昨日飲みすぎて、寝坊しちゃってね」とほんとのことは、いえない。
昼寝しちゃって、とか、言い訳をとりつくろう私。
とにかく一緒に遊ぼうと、バドミントンをやったりして、めいっぱい汗をかいて遊んだ。

小学4年生の甥は、お正月に会ったときには
ひょろひょろで、やせ河童のような顔と体型だったのが、
今回、顔もふっくらと丸くなり、肩もがっしりして、違う子どもかと見間違えるほどに
印象が変わっていた。
水泳教室に通っており、バタフライも背泳ぎもマスターしたところだとか聞いて、
筋肉がしっかりついたわけだと納得。

夜には、お盆の時に神奈川の甥っ子が買ってもらって、置いていった人生ゲームを出してきて
遊ぼうと騒ぐが、
花火をしたりで、時間もなくなり、
人生ゲームはお預けのまま、あっという間に寝る時間。
近頃の花火は、燃焼時間まで書かれていて、
60秒とか240秒とかあって、驚いた。わかりやすい時代になったものだ。

翌朝、いつもなら9時過ぎまで寝ているところ、
子どもたちの声が聞こえてきて、
前日、来る時間が遅くなった分を挽回しようと早めに起きた。
子どもたちのいる部屋に行くと
なんと、甥は、暑いからといって、真っ裸で、パンツもはかずに
人生ゲームの準備をしているから、驚いた。
甥っ子のうち、弟の年長組の方は、ちゃんと服を着ているのに
とんだ兄ちゃんである。
聞けば、エアコンを入れない時は、暑いからいつも裸んぼで、
原始人と呼ばれていると言う。
男の子は実に豪快なものだ。

朝、人生ゲームはまたもやお預けで、夏休みの宿題の習字を手伝うことになる。
実は、私は習字が大嫌いで、
でも、こどもの前で、そんなこともいえない。
いっぱしの顔をして、にわか習字の先生を気取ってみる。
しかし、これが難産だった。
「花火」とわずか合計11画の簡単な字を一枚書くのに10分はかかる。
というのも、少し書いては、途中で休憩し、おしゃべりをし、と
遊びながら書くので、相当時間がかかるのだ。
目をぱちくりさせたり、身体をくねくねさせて女の子みたいな真似をしたり、役者のようでもあり、
床の上に寝っころがったりもするので、
さっさとまじめに片付けるよう言っても、なかなか聞いてくれない。
1時間かけて、やっと6、7枚書けた按配。
挙句の果てに、
「どうして、おねえさんも、寝っころがらないの?」と聞いてくる。
実は、強い眠気に襲われ、必死でこらえていたところだったので、
子どものあまりの能天気さに、あいた口がふさがらない。
思わず笑いながら、
「こっちだって、寝ころがりたいに決まってるでしょう。
君の練習をみるために我慢してるんだよ」と笑いながらも
本音が出てしまった。
そばにいた義妹が
「お姉さんは、あなたのためにみてくれてるんだよ」と加勢してくれ、
さすがの甥っ子本人も、照れ笑いしていた。

結局、あれこれ叱咤激励を繰り返して、なんとか1枚提出できるものが完成。
私もほっと安心した気分で、夏休みの終わりを実感。
結局、人生ゲームも1回だけやって、終了。

前回、神奈川の甥っ子と遊んでいて、
私が形勢の不利なことが何ゲームも続いた時、
甥っ子がマス目の指示を全文読まずに、幾ら払うとか、もらうだけ読むので、
せちがらい、とか、おもしろくないと文句を言って、ちゃんと
どういう理由で払うのかとか、全文読むように言った私が、
今回は、二人の別の甥っ子を前に、
いっぱしの顔をして、幾ら払うとか、もらう、とかに躍起になっていた。
まことに大人とは、勝手な生き物であると反省しつつ、
勝負には、負けたので、よしとしようか。
そうして、もう8月も終わり。
汗でなく、冷や汗が流れないよう
原稿や仕事も片付けなければならない、そんな毎日である。

 

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