goo

No1395『生きるべきか死ぬべきか』~反ナチを笑いでくるんだ傑作コメディ~

リュミエールのビデオシリーズの1本。
エルンスト・ルビッチ監督の傑作コメディ。
何度観てもおもしろい。
1942年、戦争中に、堂々と反ナチスのコメディ映画をつくるなんて、アメリカはすごいと
随分前に、貸してくれた方が言っておられた。

タイトル「To Be or Not to Be?」は、「ハムレット」の名セリフ。
この深刻なセリフを、劇中、一番の笑いのシーンに変えたところがさすが。

冒頭、ワルシャワの街にヒトラーがいきなり現れたというシーンから始まる。
一体、どういうこと?と思うと、ナチスのゲシュタポ本部が映り、
どうなるのかしらと、どきどきする。
冒頭のシーンも、しっかり笑いに回収されてしまうのが楽しい。

ワルシャワの劇団が「ゲシュタポ」という演劇を上演しようとしていたところ、
上演中止が命じられ、ワルシャワは、ナチスに占領されてしまう。

劇団員が、ナチスになりすまして(まさに、ナチスの将校を演じて!)、
ナチスの将校たちをだまし(手玉にとって)、
ポーランドの反ナチ地下組織が一網打尽にされる危機を乗り越えようとする。

次々とピンチが訪れるが、チームワークで体当たり。
時には裏目に出ることもあるが、機転を生かして乗り越える。
つけひげ騒動には大笑い。

劇団の主役夫婦だけでなく、ずっと兵隊役だった脇役の二人にも、
ヒトラーや、シャイロック(ヴェニスの商人)を演じる場がめぐってくる。
しかも、本当に命をかけての大芝居。
演出の老人もしゃかりきだ。

全編にからんでくるのが、タイトルの「To Be or Not to Be?」。
劇団の主演俳優と、その妻の看板女優、妻に一目惚れした大ファンの青年将校との三角関係。
「To Be or Not to Be?」は、妻と将校との暗号であり、
夫の嫉妬が、全編にわたって、終始笑いをもたらす。

夫婦が、最初に、上演ポスターにどちらの名前が上になるか、やりとりがあったり、
夫が、ささいなことで俳優としての自信を失ったり、
大根役者といわれて傷ついたり、
ナチス将校にまで、自分の名前が知られているかどうか確認したり、
人間くさい、デリケートな面が描かれ、楽しい。

きっと、この映画を見終えたら、あなたも「To Be or Not to Be」と言ってみたくなるにちがいない。
そのとき、何が起こるか?は、映画を観てのお楽しみ。



この映画は、2014年の神戸映画資料館での
はたのこうぼうのアメリカ映画研究会
でとりあげられてました→そのときの感想

【追記】
そういえば、ナチス側も笑いでは負けていなかった。
ゲシュタポの参謀本部長エアハルトは、すぐ上手にだまされてしまうし、
笑いでごまかしたりするけれど、
自分が失敗すると、すぐ部下の「シュルツ!」って呼んで、
シュルツに、お前が悪いんだ、みたいに叱る。
この呼び声も劇中、何度も繰り返され、ギャグみたいで可笑しかった。
演じているのは、シグ・ルーマン。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 初めての体験... No1396『64... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。