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No359『ミラクル7号』~少年のくるくる変わる表情に釘付け~

アジア版「E.T.」というには、
ちゃちで小さなゴム人形。いったいこれは何?
おそるおそる観始めたが、
さすが『少林サッカー』のチャウ・シンチー監督。
少年と、ミラクル7号こと愛称7(ナナ)ちゃんの、
不思議な友情の物語を、コミカルに、
笑いを満載して、届けてくれた。

父親は建設工事の現場労働者で、
靴もゴミ捨て場から拾ってくるという、貧乏な父子家庭。
勉強が大切という父の信条で無理して入った私立学校で
仲間達に馬鹿にされながらも、
寂しさや悔しさにじっとたえる少年。

少年が出会ったナナちゃんが、とにかくユニーク。
わけのわからない生物。
E.T.というよりは、ドラエモンのようで、
でも、そうでもなく、
胴体が樹脂ゴムのようで、自由に形が変わり、
手足ができてアクションしたり(それが影絵で写る!)
とても楽しい。

少年を演じる子役がすばらしい。
横顔の輪郭がきれいで、
子供なりに、ちゃっかりしていて、
テストでは、楽していい点をとりたがったり、
ズルしたり、茶目っ気豊かで、ひょうきん者。
笑って、泣いて、怒って、すねて、
ああ、こんな子供、いる、いる、という感じで
とても親しみをもてる。

ナナちゃんは何もしゃべらない。くぅくぅと鳴くだけ。
少年にとって、ナナちゃんは、友達というより、可愛いペット。
いろんな願いを聞き遂げてくれるはず、というナナちゃんへの期待が
次々と失望に変わる。幻滅の連続。
でも、少年は、自分の思いこみに、過ちに気がつく。
少年のまっすぐな心持ちに打たれる。

結局のところ、
ナナちゃんが一体何物なのか、
ほとんど説明せず、読者に委ねたところがいい。

少年がナナちゃんを心からいとおしく思い、
ナナちゃんも、少年を大切に思っていることが
言葉でなく、行動で、表情で伝わる分、いっそう涙ぐましい。

父子の愛情もたっぷり描かれ、涙なしではみれない。

“起きたらそばにいてほしい”
“目を閉じて、3つ数えたら、目の前にいてほしい”、
それが愛なんです。

最後は、観客への大サービス。

私もナナちゃんに会いたい!

いっぱい笑って、いっぱい泣いて、
ぜひ、週末の混んだ映画館で観て
皆の笑い声を聞きながら、楽しんでほしい。
きっと元気がでる作品です。
もちろん、☆は5つ(満点)です。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
新作は☆を付けて、旧作は☆を付けないという方針かと思っていましたが、 (ライリー警部)
2008-07-01 12:20:52
☆、ないですね。
 
 
 
うっかり・・ (ナルタキ)
2008-07-01 22:58:57
ご指摘ありがとうございます。
最近、新作を観ることが少なくて(笑)、☆をつけるの、うっかり忘れてました。
もちろん、これ、☆5つです。
ぜひ、観てください!

私と違って、ちょっとひょうきんで、よくしゃべる、おもろい甥っ子(5歳)が、名古屋にいるのですが、彼と一緒に観たらさぞ楽しいだろうなあ、一緒にミラクルごっこ、できるなあと想像するぐらい、なんだか、とても楽しかったです。
 
 
 
観ました。 (ライリー警部)
2008-07-02 09:39:52
吹替版ですが・・・・・・。
 
 
 
どうだったでしょう? (なるたき)
2008-07-05 23:33:08
吹替版というと、また感じが違うと思うのですが、どうだったでしょうか。
なんか、いろいろセリフを付け足して、雰囲気が変わっていないか、心配ですが。
私は根が子供だからというか、なんか、もう1回観たいぐらいに、なんだかとっても楽しくすてきな世界でした。もしもう一度観るなら、観客の子供達の反応を感じながら、観たいですね。
 
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