日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

ソニーもパナもユニクロも、ホンダに続け!

2013-05-17 | 経営
ホンダのF1復帰のニュースは本当に素晴らしい。心より同社の英断に拍手を送りたいと思います。

私はF1ファンでも車マニアでもないのですが、日本を代表する国際企業がその企業文化を確認しつつ外に発信を続けていくことは、日本経済の発展にとっても大変重要なことであると思っています。08年にホンダがF1からの撤退を決めた時に我が国がおかれていた経済状況から企業の台所事情は痛いほど分かり、それを批判することはできませんでしたが、非常に残念な気持ちで一杯でした。

思えばリーマンショック後の不況下における日本企業の円高、デフレ、国際的な価格競争に引きずり込まれての大苦戦は、筆舌に尽くしがたいものがありました。その中で失われていったジャパン・スピリットが日本の元気をより一層奪っていったことは確かであり、ホンダのF1撤退は、まさしくその“沈みゆくジャパン・スピリット”の象徴であるかのように思えたものです。

先週、長嶋さんへの国民栄誉賞授与式にからんで国民的な盛り上がりを見せたことに、記録や成績に縛られることなく「明るく、楽しく、夢を感じさせる何か」を求める気持ち、すなわち「昭和の心」こそが、景気が上向きかけた今私たち日本人や日本企業に求められていることの象徴ではないのかと、書かせてもらいました。長嶋さんの再登場を国民の多くが称賛で迎えるムードから察知して、これからは「数値」よりも「夢」や「希望」を感じさせる動きを、日本をリードする大企業にはとって欲しいと思ったわけです。
◆「長嶋さんと景気回復」http://blog.goo.ne.jp/ozoz0930/e/4e8e27c58060b15e1702f5a6832db55a

思えば、ここ数年は国内の大手企業、特に「モノづくり日本」を支えてきた製造業界各社は不況とデフレと円高の脅威のさらされつつ、「夢」を負うことを後回しにしたことで競争に打ち勝つ以外に生き残りのすべを失い、国際価格競争の波にのまれつつアジアの低コスト労働力の前に完膚なきまでに打ちのめされてきました。結果、日本が世界に提示してきた「夢」や「希望」は消え失せ、ソフト面の発想に勝る海外企業の僕(しもべ)として円高下でコストダウンに苦しむ“大いなる負け組下請けモノづくり国家”の色合いを濃くしつつあったわけなのでした。

ホンダのF1返り咲きは、「夢」を追い続ける世界のホンダの復活を感じさせる本当に素晴らしいニュースであると思うのです。今度は一転「日本の陽はまた昇る」を象徴し、まだ本物とは言い切れない景気回復を確かなものにし「日本復権」に向けた大いなる狼煙となるのではないでしょうか。

あとはこれにどこ企業が続くのか、そこが重要。昭和の日本を牽引してきたソニーにもパナソニックにも、円安効果の業況好転に安住することなく頑張って欲しい。そして同時に、デフレ下の経済状況においてその業績を伸ばし、ついには国際化路線を歩み始めたユニクロあたりにも、先輩国際企業ホンダの姿勢からあるべき経営の方向を察知し、新たな時代を牽引するリーダーとして脱デフレに向けた「夢」や「希望」を利用者にイメージさせる戦略への転換をぜひお願いしたいところであります。真偽のほどはともかく、リーダー企業がブラックなどと言われていたのでは、「夢」も「希望」もあったものではないでしょうから。

今、日本企業が認識すべき合言葉は、「ホンダに続け!」ではないでしょうか。

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