日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

経営のトリセツ53 ~ 管理者必須!「3つの管理」

2009-02-20 | 経営
管理者の育成は中小企業にとって、共通の悩みどころです。

最近は管理者研修や管理者育成プログラム策定の相談が、際立って増えているように感じます。100年に一度の大不況到来とともに“生き残り”を賭けて「少数精鋭化」「人的効率化」が必須課題となりつつなる現在、中小企業組織でも管理者育成への取り組みは避けては通れない道になっているようです。

通常、管理者教育の場で具体論に入る前に私が最初にお話するのは、「管理者の意識」「管理の意味」「管理のポイント」の3点です。「管理者の意識」の話はよくある初歩的なお話ですのでここでは省き、さらに「管理のポイント」はイコール私が提唱する「五感管理」の話ですので他に譲るとして(下の※ご参照)、ここでは管理者教育の際に意外に忘れられることの多い「管理の意味」について少しお話してみます。

「管理」すなわち「マネジメント」は、その奥行きの深さゆえ、管理者のレベルに応じた様々な解釈でその意味を伝えることが可能です。ここではごくごく初歩的と言える「担当者との違い」という非常に分かりやすい視点での説明を紹介します。この場合「管理者の管理」は、「「管理者」であるから求められ担当者には求められない『3つの管理』という仕事である」と説明します。ではその『3つの管理』とは…。

まず1番目は「業務の管理」。これはもう当たり前のことですから、ここでの細かい説明は不要であると思います。簡単に一言で言っておくと「自分のことだけじゃなく、チームとしていかに実績を上げるか、いかに顧客によろこんでもらうか、を考え実践すること」です。具体的行動としては、「実績の管理」と「部下の育成」に直結します。

2番目は「時間の管理」。「時間の管理」とは「常に締切意識を持つ(持たせる)」ということです。自分がおこなうすべての行動や計画、部下に対するすべての指示、チームで動くすべての事柄に、「いつまでに」という「締切」を課すことです。実は「時間の管理」こそが「管理」という意味では一番大切なものでもあるのです。上に立つものが下の者を「管理」する際に、「管理のモノサシ」が必要になるのですが、「時間」という常に客観性を失うことのない「モノサシ」はぶれることがないので、「管理」を習慣づけるのに最適なツールであるのです。

3番目は「感情の管理」です。「管理者」は組織の1ポジションとして業務を遂行する訳で、個人的な感情で判断をしたり物事をすすめたりするのは好ましくありません。例えば「管理者」が感情的に部下と接することは、良いにつけ悪いにつけ評価の不公平感を生むことにもなります。部下に感情的にモノを言ったり接したりするのも、物理的ポジショニングで上に立っている立場の人がするのことは極力控えないと、思わぬ事態を招くことにもなります(パワー・ハラスメント発生はその最たるものです)。コミュニケーションの中で万が一部下が感情的にぶつかってきても、「管理者」はそれを感情で返すことなく、相手の立場を汲んだコミュニケーションを心がけることが大切です。

この「感情の管理」ができるか否かこそが、「管理者と担当者を明確に線引きするポイント」でもあります。言い換えれば、「感情の管理」ができるようになってはじめて、“一人前の管理者”であるとも言えるのです。実は中小企業経営者の中には組織のトップでありながら、この「管理者の3つの管理」ができずに社内を引っ掻き回している人が間々います。経営者の場合、3つのうち「業務の管理」はOK、「時間の管理」もだいたいよし、でも「感情の管理」がおぼつかないというケースが意外に多いようです。「感情的行動」は、ロジカルに物事をすすめる際の最大の“敵”であることをお忘れなく。

中小企業経営者や管理者の皆様にはぜひとも、この「管理者の3つの管理」の観点でご自身をよく振り返っていただきたいところです。「3つの管理」で気がついたご自身の不十分な点を改善すると組織が案外うまく回って、懸案が解決したりするものです。

※「五感経営」「五感管理」について
→http://blog.goo.ne.jp/ozoz0930/e/4e286c1208aea3fd2d26a5dcc2f279e4

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