日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

アイセックの件についてと公表されたコメント

2012-08-22 | その他あれこれ
一昨日の拙エントリー「ルーマニアで女子大生が殺害された件とアイセックという団体について」は、2ちゃんねるに複数のスレッドが立つなど大きな反響をいただき、転送先のBLOGOSサイトを含め賛否多数のコメントを頂戴しました。特にアイセックに関して、一部拙エントリーの主張に対する誤解もあるように思われますので、今一度整理しておきたく思います。

小職の主張を分かりやすくまとめると以下の2点に集約されます(ただしアイセックからの文書コメント公表前時点で申し上げています)。「大人」「こども」という表現は、組織の「あるべき」を示す目的で使用しましたが、議論が感情論に流されやすいので今回は一切使用しません。

①今回の事件に関して再発防止の観点から、被害者自身の落ち度検証とは別に、学生運営による非営利集団アイセックの海外インターン・シップ派遣運営について、その問題点の有無と改善策について今後十分な検証がなされる必要がある(必要に応じて政府関係機関の監視強化も検討課題)。
②被害者のインターンシップ派遣アレンジの当事者であるアイセックが、今回の件に関して会見の開催はおろか一部隠ぺいと言われても仕方のない行為の疑義も含め積極的な情報開示をしていないことは、事件に関する直接責任云々だけでなく道義的責任上からも許されることではなく、組織運営の常識を逸脱している。

①は平時のリスク管理の問題、②は有事の危機管理の問題です。念のために申し上げておきますが、私の主張は特定の思想的背景を持って申し上げておるものではなく、またアイセックつぶしでもアイセックに個人的な恨みや嫌悪を持って語っているものでもありません。あくまで小職の職業的な見地から、組織運営と言う観点で再発防止に向け「あるべき」を申し上げているに過ぎません。

一部の方からのコメントには、「アイセックは確固たる国際組織であり、国際人材育成において素晴らしい実績を残すなどの実績からみても、責めをおうような組織ではない」「アイセックのこともよく知らないで、勝手な憶測で批判をするな」というものがありました。小職の見解はあくまでアイセックの実績がいかなるものであるかにかかわらず、一般論として人命に関わるようなリスクを負う組織活動が、今現実に尊い人命を失うような事件にかかわっている以上、再発防止の観点から上記の2点は最低限勘案すべきということであります。

さらに一般論で申し上げれば、組織運営上の問題点を洗い出す場合に、組織の過去の実績と言うモノに惑わされることが最も正確性を欠くことにもつながります。また、有事の対応こそが本当の意味での組織の実力を社会に示す場でもあり、過去の素晴らしい実績の数々や名誉も、有事の誤った対応一つで一瞬にして失われてしまうものなのです。その意味で、上記2点のポイントの2点目については、早急かつ明快な対応が求められているとの意図をもって前エントリーを執筆したものでもあります。


なお20日の夜になって、ようやくアイセック・ジャパンから以下のような短いコメントが発表された模様です。

<アイセックジャパン コメント>
ルーマニアに渡航した邦人女性が同国内で亡くなられたとの報道がなされておりますが、当団体ではご遺族のご意向を踏まえ、本件に関して一切の説明を差し控えさせて頂きます。
2012年8月20日
特定非営利活動法人アイセック・ジャパン


このコメントについては、組織の対応としてどうなのか以前の問題として、自己の組織が直接かかわった事件で被害者の尊い命が失われているにもかかわらず、故人に対するお悔やみの言葉ひとつもないという事実に愕然とさせられました。私はこのコメントから、アイセックの組織として大きく欠落している何かを感じずにはいられません。これが3つめの問題点ではないでしょうか。

皆さんは、どうお考えになりますでしょうか。