日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

公務員制度改革断行へ!人事院の反改革主張は首相自ら退けよ!

2009-01-28 | ニュース雑感
第2次補正予算案をめぐる衆参の両院協議会で、意見が一致しなかったことを受けて、河野衆議院議長が、衆議院の議決が国会の議決となることを宣告し、補正予算が成立しました。これで、すでに国民の大半が「無意味なバラマキ」と口にしている「定額給付金」がいよいよ実現の運びとなる訳です。

こんな流れの中で麻生さんの人気は下降線の一途なのですが、今日は補正予算案可決成立よりも、麻生内閣にとっても国民にとっても重要なニュースがその陰で報道されています。政府の国家公務員制度改革推進本部顧問会議(座長:御手洗経団連会長)が27日会合を開き、平成24年までに行う公務員制度改革の工程表の最終案を大筋で了承した、というもの。その目玉である幹部職員人事を一元管理する「内閣人事局」は「内閣人事・行政管理局」へ名称変更され盛り込まれています。

このニュースの注目点は、このような発表の陰で、同局への機能移管をめぐる甘利明行政改革担当相と人事院側の交渉は現時点で決着がついていないと言う点です。人事院の幹部職員人事という最重要機能を内閣に移管することに対して、谷公士総裁(写真右)は23、26の両日に甘利氏と会談、「政治主導が強まれば公務員の立場を守る仕組みも必要だ」「公務員の公正・中立性が阻害される」とまぁ本末転倒な詭弁を弄し、27日には河村建夫官房長官にも同様の主張を繰り返していると言うのです。公務員制度改革に真っ向戦う、既得権保守のあまりに醜い反発劇であります。

そもそも、「官僚=国家公務員」は営利団体の考え方が全くない訳です。民間企業であるならこのご時世で赤字解消、無駄遣い削減、効率化促進等見直しを求められれば、上から下までがあらゆる手を尽くして「聖域なき改革」を推し進めるでしょう。なぜなら、それをしなければ彼らに待ち受けるモノは「倒産」の二文字であり、働く彼ら自身が生きていけなくなるからです。しかしながら、営利団体職員でない彼らには、「いかに利益を生むか」という感覚がなく、「倒産」のない「親方日の丸」体制に寄りかかって、「分かったふり」「やったふり」で常に既得権保守に走るのです。許せんでしょ?

今回の人事院総裁の執拗な反発劇は、幹部職員人事権が既得権を失う大きなきっかけになりかねない“ぬるま湯”官僚組織防衛の“肝”であるからに他ならず、すなわち裏を返せばこの点こそまずもって現段階での公務員制度改革の“肝”でもあるのです。河村氏は、谷総裁との会談後の記者会見で「最終的には首相の裁断をいただくことになる」と、首相裁定に持ち込まれる可能性を示唆したと言います。麻生さん、チャンス!首相としては、ここで一発「何が何でも改革すべし!」と明確な指示を下すなら、下降一途の支持率が多少なりとも上向くことも考えられなくもないのですが…。

この問題の首相裁定に言及された麻生さんは記者団に、「その段階ではない。河村、甘利両氏で調整する段階だ」と引き続き推移を見守る姿勢を示したといいます。無駄な定額給付にはあんなに意地を通していながら、公務員制度改革には煮え切らないこの態度。先の、官僚OBが省庁のあっせんで天下りを繰り返す「渡り」を首相の承認で可能とした政令の容認も含めて、よほど官僚に気を遣わなくてはいけないような“弱み”を握られているとしか言いようがありません。それもしかして頭の“弱み”?