日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

〈70年代の100枚〉№30 ~ 3人のボーカルを擁したヒット・メーカー

2008-07-12 | 洋楽
栄光の70年代を知る皆さん、「ヒット曲はたくさんあるし、昔はあんなに売れていたのに今は名前も聞かないよね」というアーティストって、けっこういませんか?本日取り上げのスリー・ドッグ・ナイトは、そんなアーティストの代表格です。

No.30    「グレーテスト・ヒッツ/スリー・ドッグ・ナイト」

スリー・ドッグ・ナイトは、ダニー・ハットン、チャック・ネグロン、コリー・ウェルズという3人のボーカルを擁した特徴的なバンドでした。一見ボーカル・グループとも言えそうな感じですが、ギター、ベース、キーボード、ドラムスの4人のバックメンが作り出す南部的な音にも彼らの特徴がよく表れていて、その意味ではやはり、トリプル・ボーカルの米国的ポップ・バンドと評するのが正解ではないでしょうか。

彼らは活動のピーク時とも言える68年からの約6年間に、ビルボード誌のTOP40になんと21曲もチャート・インさせ、内3曲がナンバーワンになっているという、半端じゃない実績を残しています。それでありながら、今の世間の扱いと来たらホントにさびしい限りです。まぁやはり、ボーカル・グループ的な安っぽさが、彼らの歴史的評価を不当に下げているように思えますね。

トリプル・ボーカル制と共に彼らの最大の特徴だったのが、自作をほとんど扱わない“カバー・バンド”だったということです。新進気鋭のソングライターの発掘や、埋もれた名曲の再生などが彼らの得意技で、ニルソン、ランディ・ニューマン、ローラ・ニーロ、レオ・セイヤーなど、まだまだ駆け出しだったアーティストたちの優れた曲を紹介するという伝道師的役目を果たしてもいたのです。

アルバムでは、71年「ハーモニー」と74年「ハード・レイバー」が出色の出来かなと思いますが、シングル・リリース中心のボーカルバンドという彼らの特徴からすれば、ベスト盤で聞くのが一番正しい聞き方なのかもしれません。写真の75年リリースの「グレーテスト・ヒッツ/スリー・ドッグ・ナイト」は、アルバム「ナチュラリー」以降のまさに黄金期のベスト盤です。このアルバムが出たときには、待ちに待った彼らのベスト盤ということで、国内発売を待てずに米盤を買いに走ったのをよく覚えています。

収録曲はすべて彼らの代表曲で、A1「喜びの世界」A4「オールドファッションド・ラブ・ソング」B6「ファミリー・オブ・マン」A7「ブラック&ホワイト」A6「シャンバラ」B7「ショー・マスト・ゴー・オン」等など、誰しも一度は耳にしたことがある、今聞いても本当に良い曲ばかりです。

CD時代になってからは、何種類ものベスト盤が出ていますが、オリジナルアルバムの大半が未だに未CD化または廃盤状態であるということからも、やはり彼らの音はベスト盤で聞け、というのが正解のようです。ちなみに、彼らのシングル盤は大抵アルバム・バージョンとテイク違いでして、彼ららしいシングル盤へのこだわりがうかがわれてなかなかおもしろいです。

ところでこの3人のボーカリスト、一人ひとりの特徴がかなり違うのかと言うと、実はそうでもないんですね。誰がどの曲のリードボーカルをとっているのか、音だけではいまだによく分らない程ですから…。トリプル・ボーカル制が特徴的ではあったものの、本当に有効であったのかどうか、今思うとちょっと疑問な感じがしています。