日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

“目からウロコ”!オフショア・ファンドのお話

2008-07-28 | ビジネス
今日はとあるプライベート・バンキング(PB)金融の専門家の方にお目にかかり、彼が扱う驚きのオフショア・ファンド(外国人に対する租税環境の優遇されている国または地域で運用するファンド)のお話をうかがいました。

ファンドの名称はドミニオンファンド。英国の年金を運用するウィズプロフィット・ファンドを原資産とするファンドです。株式、債券、そして商業不動産に分散をして運用しているそうですが、株式相場の変動に大きく左右されることなく、長期的に安定運用を実現しているそうです。昨今のサブプライム問題も影響を受けず順調な実績を続け、その実力に金融界では日増しに評価が高まっているようです。

ドミニオンは、決して怪しいファンドの類ではありません。原資産のウィズプロフィット・ファンドは、業界最大手クラスのノルウィッチ・ユニオン(SP格付けAA+、ムーディーズ格付けAA)とプルデンシャル(SP格付けAA)が運用しているのですから。

では、株式、債券、商業不動産に分散投資していながら、相場の変動に大きく左右されないのはなぜでしょう。原資産のウィズプロフィット・ファンドは、聞くところによれば18世紀の終わり頃に英国で発明されたファンドで、世界でも類を見ない「損益平準化」という驚異の仕組みを生みだしたファンドだそうです。実はこの「損益平準化」という仕組みこそが、相場の変動に大きく左右されない秘密なのです。

「損益平準化」?聞きなれない言葉です。目標利回りを越えた年の利益の一部をリザーブ口座に留保しておき、将来的に目標利回りを下回った場合、留保しておいた利益の一部をリザーブから回して目標利回り以上を確保するといったものだそうで、これにより長期的に安定したスムースな利回りを得る事ができきるというのです。

ウィズプロフィットは、実に過去100年間のどの5年間を取り上げてもマイナスのパフォーマンスがない投資を実現しています。これを受けてドミニオンは元本保証商品になっていますから、安全第一の日本の資産家も納得のオフショアファンドであると言えるのです。こんなすぐれた運用が、古くから英国の年金運用では行われていたとは、本当に驚きのお話です。

さらにさらに、リザーブ口座にある留保分が増大すると、その一部を特別ボーナスとして顧客に還元するという、ボーナス配当もあるようです。ちなみに、今年2月にノルウィッチ・ユニオンは約34億ユーロのボーナスを支払う事を発表しています(利回りで10%超相当!)。しかもこのファンド、購入手数料なし、管理手数料年1%台のみの太っ腹!実績利回りからみる運用利回り目安は5年で200%だそうですから、為替リスクも十分吸収可能な上、タックスヘイブン運用で利殖分は非課税と、とにかく、いちいち素晴らしいファンドなのです。銀行時代に年金保険とかの、いわゆる個人投資家向けの長期安定運用狙いの商品を売っていた身からすれば、まさに驚きの連続でした。

このドミニオンファンド、日本でも買えるのかと質問すると、残念ながら答えはノー。なんでも、こんな年金用ファンドが一般の目に触れてしまったら、英国では古くからこんなに優れた年金運用をしてきているのに日本の年金運用はどうなってんだ、という批判を免れえない総務省が、ただでさえ集中砲火状態の今、絶対に許さないんだとか。ただし日本では買えないものの、海外でなら日本人でも買えるそうです(海外送金で購入可だそうですが、まずは海外(香港で可)に口座を作りに行くのが前提とか)。ちなみに、最低ロットは5万(ドル/ユーロ)からだと聞いています。

欧米では一般的なファンドが、日本では今日話を聞いた彼のような購入方法を知るごくわずかのPBブローカーからしか紹介されておらず、国内ではごくごく少数の資産家が利用するにとどまっている商品なのです。世界のプライペート・バンキング・サービスは本当にすすんでいます。それに比べて、悲しいぐらいにPB金融後進国の我が国の実態を、思い知らされた気分です。
まさに目からウロコのお話でした。