ローソンの賞与引き上げに続いて、今度はイトーヨーカドー、セブンイレブンを配するセブン・アンド・アイ・ホールディングスが給与引き上げを宣言しました。まだまだ実態の伴わないアベノミクス効果の実現に向けて、民間として後押ししようということのようです。
確かに流通各社は、所得増、景気回復によって消費者の財布のヒモが緩むことが期待でき、それによって大手流通特に食品・雑貨等の日用品を扱う業種は直接的な恩恵が期待できるだけに、真っ先に先頭を切って景気浮揚策に賛同するのは十分理解のできるところでもあります。
しかし問題は流通ばかりが脱デフレ・景気回復に向けた所得増加にがんばってみても、それだけでは本格的な景気回復には心もとない感じが拭いきれません。問題はやはり製造業。厚労省の労働力調査によれば、全就業者数に占める製造業労働人口は約16%を占めており、小売流通業とほぼ肩を並べて全産業中2位にある巨大集団です。
流通がいくらがんばろうとも、ここが好転しないことにはなんとも、本当に景気が回復するのは難しい状況であることが否めません。しかも製造業は大手企業をピラミッドの頂点にいただく伝統的な垂直連携業種であり、大手の業績が好転しない限りはとてもとてもすそ野の広い下請けにまではその影響は及ばないのですから。
さらに言えば、仮に流通業中心での頑張りで消費者の可処分所得が増え小売業の客足が増えたとしても、今の国内製造業の体たらくぶりでは、果たして国内製造業の製品が消費者に選ばれる商品になれるか否か、非常に疑問でもあります。製品の水準で海外と互角以上に戦える自動車産業あたりは、円安効果の影響での輸出伸展である程度の回復基調が見込めるかもしれませんから、やはり一番の問題は家電・IT機器製造各社ということになるでしょう。
家電・IT機器製造各社を中心とした日本製造業の大不振を、私は「iPhone不況」と呼んでいます。ここは誤解をされがちな部分ですが、別にアップルやiPhoneを敵対視しているわけではなく、あくまでこれに一方的にやられてしまっている日本企業の実情にこそ問題があるわけです。ただiPhoneはやはり歴史的に見ても日本の市場を変えた商品として、カギを握る存在なので、こんな言い方をさせてもらっているのです。
◆「iPhoneが日本の景気を悪くした」
http://blog.goo.ne.jp/ozoz0930/e/f3d2e1e664bd42ef92ff1fa0e79a3437
理屈はこうです。戦後復興の時代から高度成長にかけての日本は、やはり製造業が力強く経済成長をリードし引っ張り上げてきたという印象が強くあります。これまでの私たちの生活において、国民一人一個、あるいは一家にひとつづつ購入するような製品で、国内ブランドでない製品がマーケットをリードしてきたものがあったでしょうか。テレビ、ラジオ、洗濯機、冷蔵庫、自家用車、エアコン、腕時計…、思いつく全てモノは国内製品が基本的には国内市場を大きく占有してきたと思います。
そこに登場したiPhone。アメリカ産の製品でありながら、スマートフォンとして、携帯電話として、携帯音楽プレーヤーとして、今の存在感たるやおよそ日本の製造業各社が経験をしたことがないほどの強さを持って、市場をけん引しているといっていいでしょう。リード役を奪われたことで、日本の製造業完敗の象徴になってしまったのではないかと。いかに国際化の時代であろうとも、国内で勝てないものが海外で勝てるのかと、なるわけです。繰り返しますが、問題があるのは日本の製造業の側であって、アップルでもiPhoneでもありません。
しかしここをなんとか乗り越えないことには、下に膨大な中小企業がぶら下がるすそ野の広い日本の製造業の業況回復は到底見込めないのではないかと思うのです。決して携帯電話、スマートフォン市場のシェア奪還がすべてという話をしているのではなく、この領域で決定的なリカバリー策が打てないのなら、テレビやPC/タブレットをはじめとした海外勢にいいようにやられまっくている他の分野でも言わずもがなではないかということです(テレビ製造の回復は問題がさらに複雑で難しそうですが)。
ここに来てiPhoneも生産計画が大幅な下方修正に入るなど、いよいよ本格到来した“ジョブズ後”を迎えて正念場への段階入りを感じさせる様相でもあります。そんな状況も踏まえて、私は家電およびIT機器各社による“打倒iPhone”に向けた一手こそが、脱「iPhone不況」による我が国製造業復活の大きな旗印になるように思えますし、それなくして製造業の本格回復、ひいては日本経済の完全景気回復はあり得ないのではないかとさえ思っております。
流通・小売業と共に、日本の就業人口の大きな部分を支える製造業。流通業の積極果敢な景気回復支援策は称賛に値しますが、これを無にしないためには、我が国の産業の両翼を担う大手製造業各社のがんばりが不可欠なのです。果たして、その“狼煙(のろし)上げとしての”脱「iPhone不況」策の登場はあるのか。我が国の景気回復の本当のカギは、アベノミクスの成否ではなくそこにあるではないかと見ています。
確かに流通各社は、所得増、景気回復によって消費者の財布のヒモが緩むことが期待でき、それによって大手流通特に食品・雑貨等の日用品を扱う業種は直接的な恩恵が期待できるだけに、真っ先に先頭を切って景気浮揚策に賛同するのは十分理解のできるところでもあります。
しかし問題は流通ばかりが脱デフレ・景気回復に向けた所得増加にがんばってみても、それだけでは本格的な景気回復には心もとない感じが拭いきれません。問題はやはり製造業。厚労省の労働力調査によれば、全就業者数に占める製造業労働人口は約16%を占めており、小売流通業とほぼ肩を並べて全産業中2位にある巨大集団です。
流通がいくらがんばろうとも、ここが好転しないことにはなんとも、本当に景気が回復するのは難しい状況であることが否めません。しかも製造業は大手企業をピラミッドの頂点にいただく伝統的な垂直連携業種であり、大手の業績が好転しない限りはとてもとてもすそ野の広い下請けにまではその影響は及ばないのですから。
さらに言えば、仮に流通業中心での頑張りで消費者の可処分所得が増え小売業の客足が増えたとしても、今の国内製造業の体たらくぶりでは、果たして国内製造業の製品が消費者に選ばれる商品になれるか否か、非常に疑問でもあります。製品の水準で海外と互角以上に戦える自動車産業あたりは、円安効果の影響での輸出伸展である程度の回復基調が見込めるかもしれませんから、やはり一番の問題は家電・IT機器製造各社ということになるでしょう。
家電・IT機器製造各社を中心とした日本製造業の大不振を、私は「iPhone不況」と呼んでいます。ここは誤解をされがちな部分ですが、別にアップルやiPhoneを敵対視しているわけではなく、あくまでこれに一方的にやられてしまっている日本企業の実情にこそ問題があるわけです。ただiPhoneはやはり歴史的に見ても日本の市場を変えた商品として、カギを握る存在なので、こんな言い方をさせてもらっているのです。
◆「iPhoneが日本の景気を悪くした」
http://blog.goo.ne.jp/ozoz0930/e/f3d2e1e664bd42ef92ff1fa0e79a3437
理屈はこうです。戦後復興の時代から高度成長にかけての日本は、やはり製造業が力強く経済成長をリードし引っ張り上げてきたという印象が強くあります。これまでの私たちの生活において、国民一人一個、あるいは一家にひとつづつ購入するような製品で、国内ブランドでない製品がマーケットをリードしてきたものがあったでしょうか。テレビ、ラジオ、洗濯機、冷蔵庫、自家用車、エアコン、腕時計…、思いつく全てモノは国内製品が基本的には国内市場を大きく占有してきたと思います。
そこに登場したiPhone。アメリカ産の製品でありながら、スマートフォンとして、携帯電話として、携帯音楽プレーヤーとして、今の存在感たるやおよそ日本の製造業各社が経験をしたことがないほどの強さを持って、市場をけん引しているといっていいでしょう。リード役を奪われたことで、日本の製造業完敗の象徴になってしまったのではないかと。いかに国際化の時代であろうとも、国内で勝てないものが海外で勝てるのかと、なるわけです。繰り返しますが、問題があるのは日本の製造業の側であって、アップルでもiPhoneでもありません。
しかしここをなんとか乗り越えないことには、下に膨大な中小企業がぶら下がるすそ野の広い日本の製造業の業況回復は到底見込めないのではないかと思うのです。決して携帯電話、スマートフォン市場のシェア奪還がすべてという話をしているのではなく、この領域で決定的なリカバリー策が打てないのなら、テレビやPC/タブレットをはじめとした海外勢にいいようにやられまっくている他の分野でも言わずもがなではないかということです(テレビ製造の回復は問題がさらに複雑で難しそうですが)。
ここに来てiPhoneも生産計画が大幅な下方修正に入るなど、いよいよ本格到来した“ジョブズ後”を迎えて正念場への段階入りを感じさせる様相でもあります。そんな状況も踏まえて、私は家電およびIT機器各社による“打倒iPhone”に向けた一手こそが、脱「iPhone不況」による我が国製造業復活の大きな旗印になるように思えますし、それなくして製造業の本格回復、ひいては日本経済の完全景気回復はあり得ないのではないかとさえ思っております。
流通・小売業と共に、日本の就業人口の大きな部分を支える製造業。流通業の積極果敢な景気回復支援策は称賛に値しますが、これを無にしないためには、我が国の産業の両翼を担う大手製造業各社のがんばりが不可欠なのです。果たして、その“狼煙(のろし)上げとしての”脱「iPhone不況」策の登場はあるのか。我が国の景気回復の本当のカギは、アベノミクスの成否ではなくそこにあるではないかと見ています。