静聴雨読

歴史文化を読み解く

クロード・シモンを読む・1

2008-03-08 05:12:40 | 文学をめぐるエッセー
亡くなったフランス文学者・松尾国彦がクロード・シモンを研究していたことを知ったのは、彼の遺稿集「松尾国彦論集 スタンダール プルースト クロード・シモン」、2004年、講談社出版サービスセンター、を眼にした時だった。それまで、私にとっての松尾はスタンダリアン(スタンダール好き・スタンダール研究者)としての彼であり、確か彼の卒業論文もスタンダール論だったと記憶している。

その後、松尾がクロード・シモン研究にのめり込む様は、「松尾国彦論集」の多くのページが、クロード・シモン論とクロード・シモン「アカシア」の試訳(未完)とで占められていることからもわかる。690ページ中の578ページがクロード・シモン関係なのだ。

何がクロード・シモンと松尾を結び付けたのか、それを知りたい。それで、クロード・シモンを読んでみることにした。

クロード・シモンはアラン・ロヴ・グリエ、ミシェル・ビュトール、ナタリー・サロートと並ぶヌヴォー・ロマンの担い手であるが、今まで一度も読んでみようと思ったことはなかった。「ヌヴォー・ロマンは難解だ」という定説が障壁だった。

ここで、クロード・シモンの作品で日本語訳のあるものを創作年代順に並べておく。

1945年 「ペテン師」(松崎芳隆訳、集英社)
1957年 「風」(平岡篤頼訳、集英社)
1958年 「草」(白井浩司訳、新潮社)
1960年 「フランドルへの道」(平岡篤頼訳、白水社)
1962年 「ル・パラス」(平岡篤頼訳、集英社)
1967年 「歴史」(岩崎力訳、白水社)
1969年 「ファルサロスの戦い」(菅野昭正訳、白水社)
1970年 「盲いたるオリオン」(平岡篤頼訳、新潮社)
1973年 「三枚つづきの絵」(平岡篤頼訳、白水社)
1989年 「アカシア」(平岡篤頼訳、白水社)
2001年 「路面電車」(平岡篤頼訳、白水社)

これらのうち、何作か読んでみたいと思うのだが、今のところ、確たる成算はない。なにしろ、クロード・シモンは難しいのだ。 (つづく。2008/3)


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1 コメント

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Le Tramway (しゅん)
2016-12-28 18:16:19
突然失礼いたします。

クロード・シモンの『路面電車』を原文と翻訳を突き合わせて読んでいます。
私は英文学でモダニズムを専攻していますが、訳者の柳瀬尚記が高く評価している平岡篤頼訳のものから選びました。所々、誤訳もありますが、長さとしても短く、それほど難解でもありません。

オススメさせていただきます。
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