さて、以下に述べるのは、もう一つの「十三階段」のことだ。
東京を張りめぐらしている地下鉄の駅の改札から地上までの階段に興味がある。具体的には、何段あるのだろう、ということ。
少し、調べてみた。
東京・神田神保町駅の場合:14段・9段・22段。中黒(・)は踊り場であると思ってほしい。試しに実地に登ってみると、最後の22段の途中で息切れしてしまった。
つくばエクスプレスのつくば駅の場合:14段・12段・14段。これは息切れすることなく登りきれた。
つくば駅のもう一つの階段の場合:18段・17段。これは、最初の18段でギブアップだ。
以上から興味あることがわかった。
息切れを感ずることなく登れる階段数は「十三階段」近辺らしいということ。「十三階段」を登りきった後に踊り場で一息ついて、次の階段に備える。これがスマートな階段の登り方らしいのだ。
こういう仮説に基づいて、上記の各駅の階段設計を見比べてみると、共通した設計思想が見出せないことがわかる。
東京・神田神保町駅の場合、最後の22段を分割して、もう一つ踊り場をつくればいいことだ。
また、つくば駅のもう一つの階段の場合、18段・17段を合わせて3分割して、踊り場を2つ作れば解決することだ。
それができない背景は、建物の構造上の制約に屈服して、人間工学的な配慮(人間は何段登ったら踊り場を欲しがるか?)に及ばないというわが国社会の病理が慢延しているためだ。
東京拘置所には処刑台に向かう「十三階段」が存在しないことについて、訳知り雀が、「世の中が高齢化している中で、死刑囚も例外ではないのですよ。それで階段を登る負担を取り除くよう配慮されているのです。」という。本当だろうか? そんな訳ない。 (2011/2)